【IoT用語集】スマートメーター

IoT用語集】スマートメーター

はじめに

スマートメーターとは、使用したエネルギーの量をデジタルで計測し、遠隔地にデータを送ることができるメーターのことです。ホームエネルギーマネジメントシステムHEMS)やビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)においては、各機器のエネルギー消費量を個々に把握し、見える化する高付加価値のスマートメーターが利用されています。

これに対して、一般家庭の通常の電力消費量計測に利用されるスマートメーターは、通信による遠隔地送信が従来型のメーターとの大きな違いとなっています。

HEMSBEMSもエネルギー消費量を見える化し、省エネルギー化・省コスト化を推進するとともに災害時等の緊急電力需要にも備えるように設計されていますが、スマートメーターは見える化のカギとなる技術です。

通信により集積されたデータをアプリケーションソフトウェア上に表示させ、クラウドサーバに送信する「ゲートウェイ」としての機能を持っています。スマートメーターには電気・ガス・水道用のものがありますが、以下では普及率が高い、電力に関するスマートメーターについて主に記載します。

スマートメーターを支えるIT技術

スマートメーターに関連する技術要素を少し分解してみると構成要素はおおむね次の通りです。

  1. センサー
    電力消費が起こる機器に取り付けられ、電力消費量を感知します。

  2. ネットワーク技術
    消費量データを転送します。家電とスマートメーター間などデバイス間のM2M通信を省電力・省出力で行うことが課題になっています。

  3. アプリケーションソフトウェア
    消費量データをダッシュボード化するなどして「見える化」します

  4. サーバ
    大量のデータを扱うことからクラウドサーバであることが一般的です。

スマートグリッドとの関係

電力の送電・発電の段階まで視野に入れると送電の「最適化」を図るスマートグリッドは、HEMSBEMSからスマートメーターを通じて送信されたデータに基づいて送電することもできます。

さらに、発電機とスマートメーターの機能を組み合わせれば、発電装置にさかのぼって調整も行うことができます。

期待される効果

期待される効果としては、以下が挙げられます。

各家庭・事業所において
スマートメーターの利用を通して電力消費量データを分析すると省エネ・省コスト化をはかることができます。緊急時の電力の備えもスマートメーターのデータに基づいて行うことができます。

電力会社において
ピーク時・オフピーク時の電力プランをスマートメーターにより収集したデータに基づいて提案するなどサービスの向上につなげることができます。また、災害時・緊急時の電力供給の最適化につなげることも可能です。

各国の普及状況

〇 ヨーロッパ
アナログ式の電力メーターによっては電力料金を正しく確保できないといった問題を抱えていたイタリアスウェーデンでは、2000年代初頭より、スマートメーター化を強力に推進し、現在ではほぼ全戸に電気用のスマートメーターが普及しました。

これらの国々では、従来のアナログ式メーターが破損して電力料金を収受できない、電気窃盗が起こるといった事態がスマートメーターの異常を知らせる通信技術により大幅に改善されました。その他の国でも高い環境意識も手伝い、普及が進んでいます。

日本
日本でも東日本大震災を境にBEMSの設置拡大が進み、また、新電力会社の市場参入によりスマートメーターの導入が進み始めました。

現在では、通信規格の標準化問題も解決し、大手電力会社は、すべてのメーターをスマート化する作業を推進しているところです。

〇 米国
大規模停電があり、そのためスマートグリッドの導入を進めた米国でも2000年代後半からスマートメーターの導入が進んでいます。富裕層を中心として家庭でのHEMSの導入が進むと同時に「スマートシティ実証実験」を行っている州・都市などで(フロリダ・オレゴンの例)スマートメーター化が進んでいるところです。

スマートメーター活用の課題 プライバシー・サイバーセキュリティ

スマートメーターで収集されたデータについて、もしもセキュリティによるデータ保護が十分に行われないといったことが起こったとします。その結果、個人の生活でどんな機器を使ったか、いつ在宅しているのか、といったデータが自由に収集・閲覧できてしまうことになります。

また、フェアに出資をして集めたデータをハッキングにより盗用されてしまうことも重大な問題です。特にプライバシーに関する意識はヨーロッパ諸国において先鋭的であり、これらの国々では、データを統計的に処理するビッグデータについても情報の主体による同意を原則として必要とするなどデータ法制が厳しくなっています。

ヨーロッパの諸国の問題意識は、かねてよりのEU指令や2018年5月施行のデータ保護に関するEU規則によりデータの移送・利用に制限がかかり、原則として国外への移送が禁じられるといった制度に反映されています。EU規則へのコンプライアンスだけでなく、一般市民の意識に対して十分な配慮を行うことが各ソリューションベンダーの課題といえるでしょう。

まとめ

スマートメーターは、目的に従って用いれば省エネ・地球温暖化の抑制など国際的に共通の課題に対して有効なソリューションとして利用できます。

しかし、一方で、セキュリティに関する問題やデータ保護法制などスマートメーターやエネルギーマネジメントシステムを取り巻く環境は、一筋縄ではいかないと言えます。各ベンダーの知恵の絞りどころともいえ、今後の動きに注目が集まります。