【IoT用語集】スマートヘルスケアとは?

IoT用語集】スマートヘルスケア – 記事

はじめに

スマートヘルスケアとは、ネットワークで人体に関するデータを送信し、これを受信・分析することにより、医療サービスを提供することをいいます。従来型の医療機器のデジタルデータも用いますが、ウェアラブルデバイスによるデータを用いたパーソナルケア型の医療サービスがなかでもとくに注目されています。

たとえば、センサーで心拍数を測定し、心拍数データをスマートフォンやタブレット端末、または、PCのアプリケーションソフトウエアに送信します。これらのデータを分析し、医療機関側サーバに送信するとアドバイスを受けられるサービスが一つの例です。

高齢者・アスリート・市民スポーツの愛好家・学齢期の子供などターゲットとなる層を決めてサービスを提供する例が多くなっています。

スマートヘルスケアを支えるIT技術

スマートヘルスケアサービスを分解して見ると人体データの収集・インターネットを通じた送信・分析・サービス提供の過程に分けられます。IT技術のなかでも主にIoT(モノのインターネット)技術により支えられていると言えますが、各要素を見ると次のような技術が利用されています。

  1. センサー 
    人体のデータをとるための技術です。ウェアラブル端末の中に格納され、端末の機能を通じてデータ取得することが多くなっています。

  2. ウェアラブル端末
    スマートウォッチ・心拍数計・血圧計などの人体に装着して用いるデバイスです。Apple Watchをはじめ、ウェアラブル端末に仮想現実・拡張現実技術を組み合わせたゴーグルなど多数の端末が一般市場・医療市場に出回り始めています。

  3. ネットワーク
    データを送受信するインターネット通信技術です。数種の通信技術の組み合わせを用いる例も多くなっています。典型的には、人体からPC等のクライアントデバイスに送信する際にBluetooth BLEなどの小出力・省エネ型の通信技術が用いられ、時間の経過によりある程度まとまったデータになると無線LAN等を通じてサーバに送るといった例が挙げられます。

  4. アプリケーションソフトウエア 
    人体データを処理するために、スマートフォン・タブレット・PCなどのクライアント端末にもサーバ側にもインストールされます。視覚的に統計・分析データを表示でき、他のデータと統合して表示も可能といった特徴を持ちます。

  5. サーバ
    人体データは、非常に大量になるためクラウド上にビッグデータとしておかれることが通常です。クラウドサーバ技術がスマートヘルスケアの標準技術と考えられます。セキュリティ技術と組み合わせて個人データの安全性を担保することが課題となっています。

スマートヘルスケアの担い手

〇 ITベンダー 
先に述べたような技術を提供する主なプレーヤーは、ITベンダーです。ウェアラブル端末などのHWベンダー、アプリケーションソフトウエアやサーバを提供するベンダー、クラウドサービス提供事業者など多くのITベンダーが現在スマートヘルスケアのための事業部を持っています。

電波通信事業者も広い意味でのITベンダーとしてスマートヘルスケアの重要なプレーヤーとなっています。

〇 医療技術関連メーカー・サービスプロバイダ 
現在まで画像診断・血液検査技術・医療用センサー技術などの分野でHWの製造やサービスを提供していた事業者の技術もスマートヘルスケアの重要な構成要素になっています。

ウェアラブル端末や仮想現実・拡張現実技術などの分野でITベンダーと連携をすすめ、より省コストの医療技術を提供することに注力しています。

〇 医師・看護婦・検査技師などの医療専門家 
データの利用・医療サービスの提供の段階で主要プレーヤーとなります。データの利用の在り方について最も影響を与えるプレーヤーとなり、多くのITソリューションのコンセプトを決めるコンセプトメーカーの役割も果たします。

スマートヘルスケアにより期待される効果

  1. 予防医学および慢性病の管理
    心拍数や血圧、わずかな血液から収集されるデータにより、個人の疾病の予防・高血圧や糖尿病等の慢性病の管理に生かすことができます。感染症の予防プロジェクトに利用されている先進的な例もあります。

  2. 疫学的研究の進展
    ウェアラブルデバイスにより、個人データを大量に正確に収取したうえ、集積されたビッグデータを分析できることから疫学的研究を加速度的に発展させることが期待されています。

  3. 国家予算レベルでの医療費支出の軽減
    予防医学・疫学的研究が進むと国家における健康保険予算や医療費支出を低減する効果が期待されます。

    米国ではIT技術活用による医療費削減実証実験・研究が共和党政権の時期には特に盛んに進められています。近時では研究注力分野としてスマートヘルスケア分野があげられており、国家予算が研究に充てられています。

  4. 遠隔地医療サービス・救急医療の質の向上
    センサーにより遠隔地にいても健康状態の変化を即時に医療機関に伝えることができるので遠隔地医療サービスやこれに基づく救急対応など医療の質を上げることが期待されています。

  5. アスリートの技術向上
    科学的トレーニングの基礎データとしてスマートヘルスケアにより取得されるデータが盛んに活用されています。

まとめ

以上の通り、スマートヘルスケアは、各種の医療サービスにおいてすでに実用化・実証実験が進んでいます。

また、米国のように国家レベルで盛んに取り組む例もあり、2025年までには先進国の医療の主な「受信スタイル」は医師を直接訪ねるというスタイルではなくなるという有識者の予測もあるほどです。特に注目度の高いIT技術ということができるでしょう

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