【IoT用語集】CEMSとは?

はじめに

2011年3月に発生した東日本大震災をきっかけに、関東を中心に電力不足が発生しました。これは、東京電力の福島原子力発電所の事故により全国各地の原子力発電所の運転が停止し、電力供給が制限されたためです。

自宅が計画停電地域になったり、朝夕の電車が電力不足によって間引きされ通勤が大混乱になったのは記憶に新しいのではないでしょうか。

この原子力発電所の事故をきっかけに地域全体のエネルギーを管理することを目的として、マネージメントシステムが提唱されるようになりました。

これがCEMS(セムス)と呼ばれるものです。正式名称はCommunity Energy Management Systemと言い、スマートコミュニティにおける電力管理の手法のことを言います。

スマートコニュニティではないと適用できない考え方ではなく、一般的な生活シーンにおいても利用できる手法でもありますが、これからCEMSについて紹介していきます。

CEMSが提唱されたきっかけについて

もともと、このCEMSが提唱される前にも電気をうまく効率良く使うためのマネージメントシステムがありました。これが、EMS(Energy Management System)です。EMSの内容としては主に3つの管理があります。

電気の使用状況をリアルに定量化する
電気の使用状況については、家庭にも毎月明細として届いています。しかしながら、今現在の使用状況を知ることができません。これらをリアルに、定量的にわかるように管理することを言います。

節電のための制御
以前からも電気を使うことを節約するという考え方が広まっていましたが、東日本大震災をきっかけとする電力不足に対しては、相当の方々が節電に意識を持たれたはずです。

この節電のための制御についてはこまめに電気を消したり、省エネルギーの家電製品に切り替えるなど節電のための制御をすることを言います。

発電設備と蓄電池の制御
電気の発電については、需要と供給のバランスでうまくいっています。しかし、電気は基本的には貯めることはできません。

現在では燃料電池で走る車など電気を蓄える蓄電池の技術が発達してきましたが、電力の需給バランスを発電設備の状況と余剰の電気は蓄電池に貯めるという考え方が浸透してきており、これらの電力の管理、制御をしています。

これらの3つの管理をおこなうことがEMSの基本的な考えとなります。このEMSをさらに発展した考え方として、住宅のエネルギー、ビルのエネルギー及び工場のエネルギーという電力を多く使う要素を元に地域全体のエネルギーを管理することによって、全体の電力管理を総合的に行い、さらに円滑に効率よく電力を使うという考えがCEMSとなります。

この電力の管理によって、これまでの電力を作るだけという考え方から需給のバランスを考慮した管理を行うことができます。

例えば、東日本大震災の電力不足時には、毎日のように電力の需要予測が天気予報と同じくらいニュースで報道されていましたが、この需要予測において需要が予測よりも高い場合には、家庭やオフィス、工場の節電を呼びかけながら節電の制御を行っていました。

また、蓄電池の電気を使い、電力の需要と供給のバランスをとっていました。これらの需給バランスを考えながら、コミュニティ全体で管理をすることをCEMSと言います。

東日本大震災をきっかけとしたスマートコミュニティについて

東日本大震災で発生した津波により、関東、東北の太平洋側沿岸の地域においては甚大な被害が発生しました。

町ごと津波に飲み込まれた光景を目の当たりにされた方もたくさんいらっしゃいますが、町の再建には、以前のように街や住居が点在するのではなく安全な場所に集約し生活をするという考え方に基づいた復興の考え方が出てきました。

このスマートコミュニティにおいて、CEMSという総合的な電力システムが大きく貢献していくのです。実際に資源エネルギー庁においては、次世代エネルギーを元にスマートコミュニティ形成への取り組みとした社会実証実験もしており、その結果を検証しています。

CEMSとITについて

CEMSとITとは切っても切り離せないものです。ITの技術を使った電力の見える化もその1つです。また、蓄電池の制御においてもITの通信インフラを活用した情報の見える化を実現しています。

さらに、CEMSの重要なポイントである、電力の需要予測に関しては、その電力需要の予測を精度の高いものにしていくために、ビッグデータからの分析も効果的であることも結果として出ています。

まとめ

東日本大震災をきっかけに、原子力発電に頼らない電力のあり方について各地で議論をされるようになってきています。

昔ながらの火力、水力発電といったものもありますが、省エネルギーで効率良く電力を確保するためには、風力や太陽光をもとにした電力発電が今後の大きなポイントになります。

CEMSを用いた総合的な需給予測に対する電力供給のコントロールをしていくことにより、必要な電力量を必要な時に供給できるようになります。また、大きな震災が発生したとしても電力の需給バランスを元にした制御も実現できるのです。