【IoT用語集】Virtual Reality(バーチャルリアリティ・仮想現実・VR)とは?

はじめに

Virtual Reality (バーチャルリアリティ・仮想現実・略してVRとも呼ばれる)とは、現実をウェアラブルデバイスや、投影機などの電子機器を通じて、人工の環境の中で現実世界を表現し、あたかも現実世界で起こっていることと本質的に変わらないものとして、人間の五感に認識させることをいいます。その理工学的技術を指してバーチャルリアリティということも、環境自体をバーチャルリアリティということもあります。
五感・平行感覚・前庭感覚への刺激と、実時間とバーチャルでの時間との互換性・3Dの空間であること・自身がバーチャルリアリティの中で知覚可能であることが現在バーチャルリアリティ技術の本質とされるところです。
バーチャルリアリティとよく似た概念として、現実にさらに現実ではないことであるが、それらしく思える事象・情報を付加する技術を拡張現実=Augmented Reality またはAR、複合現実=Mixed Realityといいます。再現・シミュレーションは過去の現実のデータに基づいている、ということができますが、Virtual Reality の場合は、必ずしも現実に実際に起こったことをもとにして人間に知覚させることは本質的要素ではありませんので、厳密には意味が異なる、ということができます。
また、バーチャルリアリティは、しばしば、そこにいない人に遠隔であたかもその場にいるような近くをもたらすことも伴っていますが、遠隔地と同様に空間認知できるようにする技術は、テレイマージョンと呼ばれ、バーチャルリアリティとしばしば区別されます。

バーチャルリアリティ概念の始まり

SF作家スタンリーGワインボウムが、1935年に、ゴーグルの中に現実の情景が映し出される有様を、“Pygmalion’s Spectacle”の中で描いており、これがコンセプトとしてのバーチャルリアリティを始めて描いたものと言われています。その後何度も仮想現実の空間がSF作品には登場し、SF作家の好んで描く題材となります。トータルリコール・マトリックスなど、ハリウッド映画でも人気が出たSF作品にも登場しています。

バーチャルリアリティ技術開発の歩み

バーチャルリアリティ技術は当初映像を中心に検討され、1962年アメリカ合衆国で、視覚のほか他聴覚・触覚・嗅覚の「再現装置」として開発されたのが最初のバーチャルリアリティ技術と考えられています。ウェアラブル端末は、1968年にユタ大学で開発されたものが最初のものです。テレイマージョンを伴うものとして最初の技術は、MITにより提供され、コロラド州アスペンの散策を体験させる、というプロジェクトとして始まっています。
ウェアラブル端末がバーチャルリアリティを表現する手段として最適か、それとも周囲に投影することが最適か、ということは長らく論争の種となっていますが、投影型のバーチャルリアリティ技術としては1991年にイリノイ大学で開発されたCAVE,1997年に東京大学で開発されたCABINが著名です。
バーチャルリアリティ技術が超えるべき壁は、人に大量の情報を知覚させることであり、1990年代のコンピューター技術においてはなかなかコンセプト通りの表現を実現させるだけのキャパシティがコンピューターにはありませんでした。しかし2000年代に入り、Googleにストリートビューが導入されると(2007年)、ゲームやパラシュートの特殊な訓練用のバーチャルリアリティ技術に再び注目が集まり、多くの技術投資が行われました。
2016年になると、HTC Vive ・PlayStation VRの登場を見るようになり、ついに実用・大量生産端末にバーチャルリアリティ技術が導入されたため、VR元年、と言われる年になりました。

バーチャルリアリティ技術が必要とする学術知識・使用領域

バーチャルリアリティは人間の五感に訴える技術であるため、情報工学(プログラミング・通信技術・セキュリティなど)・医学・認知心理学・芸術学・生物学等、きわめて多くの領域の知識や技術を必要とします。応用領域としても、現在はゲームやアトラクションの体験・遠隔地の体験などの用途に限られていますが、今後は医学・心理学領域への応用が期待されているほか、人間の知覚の謎の部分の解明にも役立つのではないか、とされ、多くの仮説が検討されています。

現在のVR端末が抱える問題点

VR酔いや、知覚が未発達な児童に対する悪影響・依存性がオンラインゲームと同様に指摘されるなど、健康リスクが指摘されているほか、今まで行われている投資に対して、エンタテイメント領域以外では、本当に役に立つ技術であるか成果からみると疑問、といった指摘もあります。今後、例えば、外科医の訓練用・交通関係の事故防止用の訓練のために役立つ技術として普及していくには、どれだけ人間の本物の知覚にバーチャルリアリティ体験を近づけることができるか、注目されているところです。

まとめ

バーチャルリアリティ技術は期待感が大きい反面、人間の知覚に訴えかける技術であり、健康リスクも懸念されること、また、「もう一つの現実」と現実の社会の境目があいまいになりがちであることから技術的進化を素直に歓迎されているばかりとは言えない側面があります。しかし、ロボティクスとの組み合わせ・人口知能との組み合わせにより、人間の手に負えない危険や困難に対する一つのソリューションとしての可能性は模索され始めたばかりといえ、今後の展開が注目されています。

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