【IoT用語集】スマートシティ

はじめに

スマートシティとは、情報通信ネットワークを中心的なインフラストラクチャーとする持続可能な都市構想であって、①エネルギー効率の高い都市 ②環境負荷の少ない都市 ③情報通信により、住民サービスの質を高めている都市といった構想を実現する都市のことです。
一定の定義付けがなされているわけではありませんが、たとえば、日本では豊田市・横浜市のスマートシティ実証実験が著名ですし、アムステルダム・ダブリン・コロンバス・バルセロナ・マンチェスターなどの都市およびシンガポールが実例として挙げられます。
日本では経済産業省・地方自治体・国土交通省が中心となって実証実験を各地で行っています、

スマートシティのフレームワーク

スマートシティは先述のとおり、多数の要素からなる都市構想ですが、いくつかのフレームワークにより実現されるものと考えられています。技術フレームワーク・人的フレームワーク・データマネジメントフレームワークなどがあげられますが、技術フレームワークについて、主に実証実験が展開されています。
技術フレームワークを構成する主要な要素として、下記の要素があげられます。

  1. エネルギー最適化技術
  2. 高度道路交通システム
  3. 住民サービスのデジタル化

それぞれの要素を支える技術とそれぞれの効果について具体的に見てみましょう。

  1. エネルギー最適化技術 スマートグリッドスマートホーム
    スマートグリッドスマートホームは、IoTのセンサ技術・スマートメータによる計測技術を中心にして、「必要な時に必要なだけ電力を送電・消費する」電力消費量最適化技術です。これらの技術を都市単位で導入することにより、省エネルギーを実現でき、災害の非常用電力供給を円滑に行える見込みです。エネルギー消費量を最適化することは、高度交通システムとも相まって、温室効果ガスの削減にもつながります。

  2. 高度道路交通システムITS
    ナビゲーションシステム・業務車両や高齢者の安全運転の支援・道路情報の提供・交通管理の高度化およびオンデマンド化など、情報技術を中心として、道路交通をより円滑に行わせるシステムの総称をITSといいます。ITSの利用により、渋滞の解消・道路安全性の向上・道路を利用したパーソナルモビリティなどの新交通システムの導入・緊急車両の運行の円滑化など、多くの効果が期待されています。自動運転車向けシステムの実験も行われています。また、ITSによれば、道路の交通量そのもののコントロールもできるようになることから、NOx削減などの効果も期待されています。ITSもその大部分がIoT技術により実現されることが期待されています。

  3. 住民サービスのデジタル化
    スマートフォン端末で受けられる行政サービスの拡充を図る・オンデマンドで行政相談に応じるなど、各種官公庁への来庁がなくても住民サービスが受けられる・調査などのために博物館・図書館のアーカイブへのアクセスが必要な際にも、PC・スマートフォンなどの端末からできるようにし、ひいて情報公開を円滑に進められるようにするなどの、高度情報化社会にふさわしい住民サービスを提供することができます。

スマートシティのロードマップと協力企業の動き

スマートシティは、

  1. 計画立案 目標設定
  2. 目標を達成するための導入技術・業者の選定
  3. プロジェクト推進
  4. 担当者・住民への教育啓蒙活動

のフェーズごとに分かれて導入や実証実験活動が行われます。計画立案段階で、例えばシンクタンク・コンサルティングファームへのアウトソーシングが行われ、さらにITベンダーへの受発注活動が②の段階で行われ、SIerやコンサルティングファームへのアウトソーシングが③④のフェーズで行われるなどして、民間業者への発注が盛んにおこなわれています。
IBM・マイクロソフト・シスコなどの大手ベンダーも公共部門専門部署と自治体の連携を強めており、また、中小の二次請ベンダーの需要も拡大するなどして、スマートシティは景気を刺激する効用が認められています。その一方、巨額の予算が動くこと・公共事業の失敗は納税者の強い批判を浴びがちなことから、1つの実証実験や自治体での導入を通じて、各ベンダーはニーズにあったプロジェクト運営のノウハウを蓄積し、他の実証実験・自治体に横展開するなどして、スマートシティに関するナレッジは「エコシステム」による効率的利用が行われています。

スマートシティの課題

スマートシティの主な課題としては、次のような問題点があげられています。

  1. IoTにより集められるデータとプライバシーの保護の問題。
  2. ビッグデータの処理速度・信頼性の確保 とくにクラウドをもってしても、膨大なデータ量が自治体全体で集まることからくる諸問題の解決。
  3. 予算が大きいことに比して、効果が顕著ではないとの評価の克服。

とくに①については、情報の暗号化や匿名化をどこまで進めるべきか、標準規格化も含め、近時の関心が強いところであり、②については、分散処理を行うエッジコンピューティングが必要とされていることの理由になっています。

まとめ

スマートシティは、目標とするところがおおむね各都市で共通のものになっていますが、どのように実現するか・標準規格をどの点において設定するか、いまだに多くの議論が行われています。途上国においても需要の拡大が見込まれて日本からの技術の移転にも期待が集まるところです。国内外双方、今後の動きは注目すべきものと思われます。