【IoT用語集】スマート・ビルディングとは?

はじめに

スマート・ビルディングとは、BEMSを導入してエネルギー消費量を最適化した省エネ型ビルディングのことです。BEMSはビルエネルギーマネジメントシステムのことですが、IoTセンサーデバイスによって、ビルの各所のエネルギー消費を検知し、スマートメーターで消費量を計測・最適化し、電力・ガスの供給装置に対して、データを送り、供給装置側では必要な量を必要に応じて供給することのできるシステムとなっています。
BEMSは、IEEE1888プロトコルを用いたデータ通信を行うことによってエネルギーマネジメントを行います。クラウドサーバに大量のデータを蓄積して分析することが一般的です。

建物の省エネ化がキーワード

スマート・ビルディングは東日本大震災後とくに発電機・蓄電器のマネジメントを行う上で、効率よく蓄電・発電と供給を行うため、導入が進められています。旧来のビルに、BEMSを導入することにより、ビル全体の省エネ化・災害対策を図ると同時に、ビルのテナントのBCPを実現するうえでもキーになるため、優良テナントの誘致にも効果を発揮することができることから、首都圏では特に注目されました。
また、現在建設されているビルについても、BEMSを導入しているか否かで賃料収入が変わってくるため、中小のビルにも積極的に導入されはじめている技術となっています。
CASBEEが環境省による建築物の「設計段階」における環境適合性評価基準であるのに対して、スマート・ビルディングが実現するのは、建築物の「運用」における省エネ化・環境負荷の軽減です。

スマート・ビルディングの歴史

スマート・ビルディングの歴史は、ビル設備集中管理システムBASに始まります。BASは、電力・ガスなどのエネルギー監視のために、1960年代からみられる技術となっています。BASは、ビル設備全般を管理するので、防犯装置・監視カメラ装置なども含めて、ビルの管理室における集中管理システムとして長らく機能していました。
さらに、インターネットが一気に普及した1990年代に入り、ビルの各部屋・各部位をきめ細かく監視するために、データによる監視をもっと活用できないか、そして、ビル管理室のオンサイト管理だけでなく、リモート管理も可能にするために、インターネット回線を使った監視システムが模索されてきたのです。同時にこのころ、ITインフラを導入しやすい「インテリジェントビル」が注目されていましたが、インテリジェントビルを一歩進めて、監視システムなどをIT技術により高付加価値のものにしたビルのことを米国などでスマート・ビルディングと言い始めたようです。
LonTalk・BACnet・IEEE1888といったビルマネジメントシステムにおける通信技術のオープン化・標準化が実現していくと同時に、2010年の東日本大震災の後の復興予算で、BEMSに対する中小ビル向け補助金が経済産業省から出され、さらに東京都も助成金を拠出することになり、首都圏を中心にスマート・ビルディングが増加していくこととなりました。

スマート・ビルディングのメリット

  1. 省エネ化・低環境負荷が実現可能
    BEMSを導入したスマート・ビルディングでは、導入前より数十パーセントの電力を削減できるといった例も多くあります。ビルのエネルギー消費を半分以上削減した例も少なくありません。このことにより、温室効果ガスの削減も達成でき、ビルの運用面での低環境負荷が実現できることにもなります。

  2. 非常時エネルギーの備蓄・発電に効果を発揮できる
    BEMSはエネルギー供給とエネルギー備蓄量を過去データに基づき最適な量に計算する機能を備えています。そのため、東日本大震災のような非常時に優先供給すべき電源を決めて、発電・蓄電装置を何パーセント開放するか、といったジャッジも災害発生時からほどなくしてできるようになっています。

  3. ピーク時電力の削減を行い、ビルの省コスト化を実現する
    電力料金は現在ピーク時電力が高く、オフピークは安い料金体系を選択できるようになっています。ビルのピーク時の電力消費量を抑えて、オフピーク時に必要な電源を利用するようにマネジメントすることができるので、デマンドレスポンス型のコスト削減を実現します。
    このように、スマート・ビルディングにはメリットが多くある一方で、初期投資は大きく行う必要があります。また、東日本大震災での計画停電・電力のひっ迫といった事態を目の当たりにしなかった地域や、BCPコンシャスな外資系企業の少ない地域においては、今一つスマート・ビルディングの知名度も低いといった問題点も指摘されています。

まとめ

現時点において、スマート・ビルディングは省エネ型・低環境負荷型ビルのことを指すものですが、ビルの災害リスク管理の機能を持つビルである側面から一歩進めて、サイバー攻撃に強い「サイバー・スマート・ビルディング」技術も登場しています。
テナント一社におけるサイバー・セキュリティ対策にはインフラの規模や個別の技術力に限界があるため、いわば護送船団方式のサイバー・セキュリティを実現しようというものです。省エネ型スマート・ビルディングも、通信技術の発達から実現できたものですが、BEMSにもサイバー・セキュリティ対策が必須であることから、サイバー・スマート・ビルディングの実例も今後多く登場することが期待されます。今後のビルマネジメントとIT技術の関係に注目がますます集まりそうです。

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