【IoT用語集】Brilloとは?

はじめに

Brilloは、Googleが2015年5月29日に発表したIoT向けのOS製品の事です。オーブン・照明・玄関チャイムなど、家庭用の機器に登載するために作られたもので、1デバイスに1OSで対応する低スペックでシンプルなOSです。

Brilloは、既存のAndroid OSを大幅に簡略化したOSです。Brilloは有名な洗剤の名前でもありますが、原義の「そぎ落とす」のイメージと同様Android OSの本質的部分しか残していません。

各種のデバイスだけでなく、スマートフォンへのBrillo向け接続プラットフォームであるWeave、エンド機器同士の接続プロトコルであるNest Weaveが後から発表されましたが、Brilloコンポーネントの一部として搭載するのではなく連携を予定していました。

特徴

Brilloは、Androidを大幅に簡略化した構造を持っていて、Karnel、HALといった下位レイヤーのみを残しているということができます。実装はチップセット・マザーボードにBrilloを組み込み、これらをハードウエアに搭載することにより行います。

小型でシンプルな構造のため搭載は容易に行うことができます。外部とのインターネットによる連携は、スマートフォンなどのゲートウェイを経由してWeaveでクラウドに接続することにより、スマートホームなどのIoTソリューションが提供できるようになります。

WeaveとNest Weaveへの期待

2015年の発表当初WeaveとNest WeaveはBrilloのコンポーネントの一部とされていなかったことについては前述のとおりですが、この点によってGoogleの目指しているIoTソリューションの全体像が見えにくい状況となっていました。

しかし、ゲートウェイとの接続を確保するWeaveが登場しその後のエンド機器同士の接続を確保することができるNest Weaveの登場により、家電端末からクラウドまでの接続について展望ができるようになるとディベロッパーの関心を徐々にひきつけることとなります。

Brilloの限界

BrilloはIoT家電機器に搭載できるよう小型でかつ構造的にも最小構成のシンプルなOSではありますが、最終目標とするIoTソリューションを提供するには機能がシンプルすぎ拡張性にも見るべきものがなく、ディベロッパーの目からもWeaveとNest Weaveの登場によっても限界が克服できないように見えました。

メーカーやソフトウェアベンダーの多くが、AllSeen AllianceやOIS(Open Internet Consortium)そしてこれらのコミュニティが統合されたOCF(Open Connectivity Foundation) いったオープンソースコミュニティに参加し、そこで作り上げた技術力においてすでに先行しています。

IoT端末をつかったソリューションの提供のためすでにある程度成熟した端末実装用技術をライバル陣営が手に入れ、応用の羽を広げている時期にBrilloが発表されたのです。

このことが「GoogleはIoTの世界で出遅れている」とのマーケットの反応を生んだことは否定できませんでした。

Brillo の発展形、Android Thingsの登場

こうした状況の中、ついにBrilloの発展形として2016年12月14日に発表されたAndroid Thingsは、API・アプリケーションパッケージを提供しAndroid OS端末に提供されていたAndroid SDK, Android Studio, Google Play, Google Assistantなどの魅力的なサービスをサポートしています。

これらのアプリケーションとサービスとデバイスの組み合わせにより、ソリューションの可能性を広げることができます。

また、APIからアプリ開発を行うディベロッパーの自由度もC/C++でもJavaでもAndroid Thingsのためのコードが書けることも手伝い格段に改善されたといえます。デバイス側の発想からAndroid OSのサービスの可能性も同時に広げているといえ、開発のエコシステムが機能することが期待できます。

エコシステムという意味においては、ハードウェアデバイスとして、Intel Edisonや、NXP Pico、Raspberry Pi 3などのミニPCもサポートしているため、これらのハードウェアのコミュニティの技術力をも吸収することができるといえます。そして、WeaveもThingsの登場とともに、クラウドとの連携が強化されています。

ソリューションベンダー・メーカーの反応

Googleが2014年サーモスタットベンチャーであるNestを買収したことにより、BrilloにもNestから移転した技術の強みが生かされ、Android Thingsはサーモスタット・センサ・温度調節・エネルギーコントロール分野のIoTに強みがあるとされています。

このことからソリューションベンダーは、Google Thingsを通じたデータ収集・データ分析ないし解析の分野に期待しています。IoTを通じて、より市場の需要を正確に予測するビッグデータビジネスへの扉が本格的に開くことになりそうです。

また、大手の家電メーカーではなくデザイン志向のつよい中小の家電ベンダーが相次いでGoogle Thingsの採用情報を発表しています。

ゲーム業界からはAndroid Play経由のソフトウェアとゲームアクセサリの連携に熱い視線が注がれ、さらにQualcommはGoogle Things向けチップセットを提供開始するなどBrilloの発表後約2年を経て、各分野からの注目が集まっています。

まとめ

BrilloからAndroid Thingsへの変化のなかで、IoTに関してオープンソースコミュニティ陣営の強みとApple・Googleの強みが徐々に色分けされてきているのが見えており、ソリューションベンダーは敏感に反応しています。

データ中心のIoTとの色合いが強いBrilloおよびAndroid Thingsについては、クラウドでデータを抱えれば抱えるほどセキュリティに課題が残るとのジレンマもあります。

しかし、ビッグデータについては、その使用に対する期待も大きいところであり、また、セキュリティはIoT全体の課題ともいえます。ITジャイアントGoogleがどのように今後解決策を提示するのか今後に注目です。