【IoT用語集】BEMSとは?

はじめに

BEMSはBuilding Energy Management Systemの略で、ベムスと発音されます。日本語ですと「ビル用エネルギー管理システム」です。1960年代から日本でも空調の自動化などビルのコンピュータ管理は行われていました。

ビル全体のエネルギー使用量・温度調節のための設備に使われるエネルギーの制御を行うためのシステムを指してBEMSという用語が使われるようになり、センサーとコントローラおよびエネルギー消費量を見やすくする計器類が組み合わされてできています。

エネルギーの「見える化」がこのシステムの最大の目的です。センサー、コントローラ、計器等の機器類は、コンピューターネットワークで接続されます。

機器と計器・センサーの反応をネットワークで伝え、コントローラが必要に応じて機器の出力を上下させます。

主な機能・効果

BEMSは主に、エネルギーの使用量の可視化・機器のコントロール・デマンドピークの抑制という機能からなり、その効果は電力において大きくあらわれます。主な効果は、電力使用量の削減・電力代の削減と地球温暖化の緩慢化ということができます。

もう少し具体的に言うとビル全体のエネルギー効率が最適化された状態のデータを記録し、サーバコンピュータに記憶させます。すると、コントローラがセンサーと相互にフィードバックを行いながら自動的に同様の状態を作り出すことができます。

このようにしてビルが人間にとって快適である温度・湿度を保つのに最小のエネルギー消費で行うことができますので、このシステムにより省エネルギーが効果的に実現できます。

また、BEMSは地震・火災・侵入と言ったビルの安全にかかわるイベントを適切に管理することができる機能も持っている場合が多く、非常時における電力・水の供給・空気の遮断や施錠といった設備管理についても適切に行うことができます。

構成要素

BEMSの構成要素は多岐にわたりますが、大きく分けると次の3要素から構成されているということができます。

① BMS ビルマネジメントシステム ビル設備を監視制御するシステム
② EMS エネルギーマネジメントシステム 熱源・動力・照明・蓄電池・太陽光なの
  エネルギー消費量を監視制御するシステム
③ センサー類

これにさらに冗長化対応を行うグローバルコントロールサーバ、可視化されたエネルギー消費量を監視するためのヒューマンインターフェースが加わるものが代表的なBEMSの構成例です。構成要素はそれぞれ記録を作成・サーバに蓄積していきます。

東日本大震災とBEMS

BEMSに対する需要を拡大させたきっかけが東日本大震災です。当時の電力供給量の不足や計画停電により、節電が喫緊の課題となりました。これに即応できるのがBEMSです。

また、災害時の事業継続マネジメント(BCM)には、各ビルの自家発電設備やエネルギーマネジメント体制が大きく影響することが東日本大震災以来注目されるようになり、BEMSの機能を十分に確保することが優良テナントを確保する手段であることもまた意識されるようになりました。

さらに電力料金は、東日本大震災が起きた2011年以降相次いで値上げされ、ピークデマンドをコントロールすることにより割引が受けられる料金体系や新電力に対応するためのBEMSの改良・開発も進むことになりました。

中でも横浜市中心部に位置する大型小売店に導入されたスマートBEMSは、ピーク時の割高な電力料金を30%も大幅に削減できたことで同市のスマートシティ実験において注目された新技術の一つでした。

BEMSとIT技術

BEMSの各構成要素はコンピューターネットワークで接続されますが、センサーデータを機器間の違いを超えて送受信できる通信規格IEEE1888の標準化(2011年)や、システムの小型化・タブレットの活用などでBEMSにかかるコストは低廉化します。

その一方で、記録の蓄積でデータ量が増大しデータ管理コストが増大していきますが、これはクラウドサーバの活用によりコスト圧縮が図られています。

結果大きなビル管理センターを持つ最新鋭設備の高層ビルに導入されていたBEMSもより規模の小さいビルに導入が図られるようになりました。

つながる技術 BEMSからスマートグリッド

東日本大震災以降、BEMSや類似技術のFEMS(Factory Energy Management System)、HEMSHome Energy Management System)は、エネルギー利用の最適化からさらに再生エネルギーの利用、ひいては送電効率の最適化(スマートグリッド)など芋づる式に「省エネ技術のパラダイムシフト」を生んでいきました。

ビル・工場・家庭のエネルギーマネジメントシステムで見える化された電力消費は、不合理な電力消費の原因を突き止めることも容易にし、新しい技術開発のトリガーとなりました。

日本発のエネルギー技術に関連し、2010年ころから多くの特許が国内国外で出願・取得されています。特にスマートグリッドは国家的な知財的戦略の中核的技術とまで言われており、技術の標準化でリードをとる戦略が経済産業省からも発表されている分野です。

まとめ

BEMSはIT技術の裏打ちにより、2010年代に劇的に進歩したエネルギー利用の最適化技術です。東日本大震災をきっかけに、その需要も伸びています。

周辺の類似技術や関連技術とともに日本の技術革新の主力技術でもあり、今後もその動向から目が離せない技術の一つとなっています。

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