【IoT用語集】 AllSeen Allianceとは?

はじめに

AllSeen Allianceとは、LinuxOSの普及・促進を目的とするLinux Foundation(リナックスファウンデーション)のことです。2000年設立の後援と発起人のQualcom他、23社の参加によりIoT(Internet of Things)の実現を目指して、2013年12月に設立された団体です。

ネットワーク規格であるAllJoynを技術の中核としてQualcomm,、ソニー、シャープパナソニック、ハイアールなど、世界的ITベンダー・家電メーカー200社近くが参加しました。

AllSeen Allianceの技術的中核AllJoyn

AllJoynは、IoT(internet of thing)を相互に接続するオープンソースのネットワーク規格です。AllJoynは、クラウドを介在させないP2P型の相互接続技術であり、機器同士を直接デバイス内にあるAllJoynコアライブラリを利用して接続させることができる点が特徴です。

データは、XMLで送受信し、データの伝達はGet/Set などシンプルなメソッドを使って行います。

AllJoynコアライブラリは、OSや物理層の上におくことができるうえ、照明・家電など、デバイスごとに必要となるサービスフレームワーク(CDM Service, Common Device Model Service)がありますので、デバイスのメーカーは、OSの有無や種類を問わずAllJoynを実装することにより、デバイスを他のデバイスと相互に接続させることができます。

AllJoynQualcommによって開発されましたが、コードベースでAllSeen Allianceに寄贈され、オープンソースプロジェクトとして運営されています。

現在実用化されているスマート家電は、従来のライセンス型によるクラウドサービスを介在させることが多く、接続するクラウドサービスが違うと相互に接続ができなくなるためこのことが機器間の接続を妨げる一つの原因となっています。

しかし、AllJoynのようなP2P型の相互接続を使うと、この課題が解決でき、多くのデバイスが相互に接続できるようになることが期待できます。

標準化団体および規格の乱立と収れん

① OISの設立と標準規格IoTivity

クラウドサービスとの連携がデバイス間の相互接続を妨げる要因となっているのと同時にIoT通信規格の標準化プロジェクトもかつては、乱立の様相を呈する時期がありました。

AllSeen Allianceの設立に遅れること約8か月後、IntelSamsungを中心とするメンバー、は2014年にOIS(Open Interconnect Consortium)を立ち上げました。この団体もまた、Linux Foundationの後援により設立されたものです。

同団体でIoTネットワーク標準規格とされたのは、IoTivityです。IoTivityは、現在ある通信方式の最上位層アプリケーションとなることからすでに実装されているWifi,Blutooth などを生かして家電とゲートウェイの接続を可能にします。この点、AllJoynのコミュニケーションはWifiに限られています。

「あるものを生かすことができる」使い勝手の良さが魅力ではありますが、リアルタイムOSでもチップセットを実装することにより、P2P通信を実現できるAllJoynと比べると開発コストが家電メーカーにとっては高くついてしまう、クラウドサービスとの連携の問題点は解消されないといった課題があります。

② 標準化団体統合の動き

ところで、IoTivityのみならず、 IoTそのものの課題が多くのデバイスを相互にシームレスに接続することであることは言うまでもなく、標準化団体の統一化により、より多くのデバイスをつなぐ大目的を達成する活発な動きが生じてきます。

OISは2015年に物理的に差し込めばデバイス相互が接続される「プラグアンドプレイ」標準規格のUPnPフォーラムの資産をすべて買い取ります。UPnPは標準化団体であるDLNA(Digital Network Alliance)のデバイス検知およびコントローラ標準規格として2005年のDLNAガイドラインから採用されたものです。

DLNAはオーディオビジュアル系の通信方式標準化団体としてデジタルテレビの多機能化などを支えましたが、このあと2017年初頭に解消されています。

2016年に入ると、Open Connectivity Foundationの設立が発表されます。これはOISの後継組織ですが、ここにQualcomm、Microsoft、ElectroluxといったAllSeen Allianceのプレミアムメンバーがダイヤモンドメンバーとして加入します。

当初「AllSeenとOISが組織的に統合されるものではない」とされていましたが、2016年12月にはついに、AllSeen AllianceとOSFの合併が発表されました。その結果、ついに、IoT中核技術である通信規格のほぼすべてがOSFの管理下におかれることになりました。

AllJoynとIoTivityの統合

OSFでは、現在IoTivityとAllJoynの二つのオープンソースプロジェクトを管理しています。まだ、別の規格との取り扱いです。

しかし、この二つの規格は下位層においては互換性があることや家電・組み込みソフトウェアに親和性の高いAllJoynと既存の情報端末に親和性の高いIoTivityと組み合わせてソリューションを提供することにより、理論上はあらゆる家電を一つのゲートウェイでつなぐことが可能であることなどから最終的にはAllJoynプロジェクトはIoTivityに統合される見通しであるとされています。

まとめ

AllSeen Allianceは、Qualcommが開発した優れた通信規格であるAllJoynを技術的中核としてIoTをリードする役割を非営利の標準化団体として担ってきました。

Open Connectivity Foundationへの合併により、より多くのデバイスを接続する見通しをつけることで、IoTの課題克服に大きく貢献することとなりました。

IoTivityへの統合がすすみ、家電の接続がよりシームレスに行えるようになると帰宅するとちょうどよくお風呂が沸いていたり、料理ができているスマートホームが現実のものになり、私たちの生活の質も向上します。今後の展開が楽しみです。

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