【IoT用語集】NB-IoTとは?

はじめに

NB-IoT(NarrowBand IoT)とは、Low Power Wide Area(LPWA)の機能を持った通信規格でLTE技術をベースとし、データ通信量を抑えて省電力化しています。3GPPリリース13により、LTE Advanced Pro規格の一部とされているものです。

分類

LTEは、スマートフォンのような大容量の高速データ通信に利用される目的で当初は開発されましたが、次のような機能をもった通信全般がLTEに分類されます。

① 「キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)」
複数の周波数帯を用いて通信する技術で、通信速度が倍増し途切れることのない安定した高速通信が可能となります。

② 「MIMO(マイモ:Multiple Input and Multiple Output)」の高度化
アンテナと送受信機を高度化させ、一度に送るデータ(ストリーム)を増加させることができます。

③ 「CoMP(Coordinated Multi-Point transmission/reception)」
複数の基地局で協調してデータを送信するため混雑した電波状況でも通信の安定化を図ることができます。

LTE Advanced Proに分類されるNB-IoTは、上記のLTEの機能を持ちながらデータ量・スループットスケールを落とし、なおかつ、データ転送距離の長い帯域を利用、約200kHzという狭い帯域幅(ナローバンド)で通信を行い、通信速度も下り26kbps、上り62kbpsと大変低速に抑えています。

また、通信は間歇的に行われ、極力電源を利用せず約10分ごとのデータ転送を行うものです。さらにアイドル状態には、数時間の通信休止状態を作ることが可能です。一方で通信距離は、100Kmを超えることができます。

「LTEの隙間」ともいえる周波数の狭い帯域やかつてのGSM通信で用いていた「周波数の跡地」を用いており、そのためLTEをはじめとする他の電波と混線せずに通信を行うことができます。

また、信号形式はLTE通信設備を共用しても混線が起こりにくい形式となっており、さらにナローバンドであることにより干渉を防止することが可能です。

これらの特徴により、

  • 電波は届きやすい
  • 電池による長時間の利用が可能

になり、IoTデバイス搭載の非常にサイズの小さい小出力のモデムや10年単四電池を交換できないような環境にも対応することが可能になると同時に、IoTデバイスで収集したデータは確実に届けることができます。

なお、NB-IoTは、データ転送量を極限まで削減し、通信を安定させ、なおかつ、LTEの隙間または周波数の跡地を利用することにより混線も減らし、電力出力量を極小化していますが、もう少しデータ転送量を多く想定したときにはLTE-Mが向いているとされます。

LTEは、0からCat4まで各カテゴリーで用途に合わせた利用ができるように仕様が定義されています。

用例

NB‑IoTによって多くのデバイスがIoTに接続され、多くの新しいソリューションを実現します。長期間にわたり、少量のデータを間断なく通信する必要があるソリューションに用いることがNB-IoTの機能とマッチしています。

LTEベースの安定した通信機能により、ひいて信頼できるデータをIoTデバイスから収集・活用することができます。

用例として、NB-IoTを利用する適例は次のようなもので、これらの例に関する実証実験が日本各地で行われており、2017年からサービスとして一部提供開始されています。

スマートメーター・エネルギーマネジメントシステム
NB-IoTにより、定期的な少量のデータ転送を行い、ガス・電気・水道メーターの監視を行うことができます。データを分析し、エネルギー消費量を最適化する機器であるスマートメーターにNB-IoTは活用可能です。

NB-IoTの通信方式であれば、屋内・屋外問わず、長距離のデータ転送が可能ですので家・ビルといった規模から自治体1つ単位といった大きな規模でスマートメーターソリューションを導入することも可能になります。

また、HEMS,BEMSといったエネルギーマネジメントシステムの通信としてNB-IoTは向いているといえます。

スマートシティ
NB‑IoTを活用して、自治体の災害監視(崖・ため池など)、街路灯の制御、ごみ回収のタイミングの決定、駐車場の空き状況の確認、天気・異常気象・異常水位などの環境条件の監視、道路混雑状況の監視を行い、人材・資源等の公共リソースの管理に役立てることが可能です。

○ ヘルスケア
NB‑IoTは長距離接続を可能にし、ウエアラブル端末への利用にも適しています。これは、人のヘルスケアモニタリングに利用可能です。医療過疎・交通手段の乏しい地域への医療に役立てることができます。高齢者・慢性病患者へのモニタリングサービスの実用化が検討されています。

○ 農業・林業への活用
土壌・気象・病害虫の管理や水質管理に対するIoTソリューションの活用にもNB-IoTの活用が考えられます。中山間地のような地理的条件が不利な場所のモニタリング、危険な場所ないし人間が長時間いられない場所での定点観察ないし観測など人手の限界を超えて生産性を高めるための活用が検討されています。

まとめ

NB-IoTは、今までの通信が早い・多くのデータが転送できることに開発競争が展開されていた通信の世界でそれまでと異なりIoTへの特化が標榜され、IoTに不要なものを削る「機能の引き算で通信資源を活用する」通信規格です。

その利用については、すでに実用化も一部始まっており、どんなデータを私たちが生活の一部にするのかその展開が注目されます。

グローバル5G市場 – 5年間で約97%のCAGRで拡大し、2025年には251億米ドルの価値に達する見込み 世界のIoTに関するレポート公開中