【IoT用語集】MEMSとは?

はじめに 

MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)=メムスは、センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基盤の上に微細加工技術によって集積した機器のことを指します。

電子顕微鏡レベルのミクロン単位の環境下で電子回路を必要とする際にセンサ・アクチュエータを用いて実験・製造・加工などを行えるようにしたシステムです。現在IoT端末の小型化が急務であり、その中で注目される技術です。

開発の歴史は1951年までさかのぼりますが、その後のMEMSの応用範囲は大変広いものです。

最小構成要素

  • 半導体および電子回路 
  • センサ 
  • アクチュエータ=入力されたエネルギーを物理運動に変換するもの
  • ガラス・シリコンといった基盤

を最小の構成要素とします。ミクロン・ナノミクロンといった単位の大きさのMEMSも近時では登場しています。

開発経緯

1951年、RCAの開発したブラウン管テレビ用のシャドーマスクが原型で1967年に開発された共振トランジスターが世界初のMEMSとされています。半導体・センサ分野で古くからマイクロデバイスの需要があり、応用分野を広げている経緯があります。

とくに圧力センサでは、日本の豊田中央研究所が半導体圧力センサを1957年に開発した実績があり、MEMSは日本でも強みのある技術の一つです。半導体の歴史とともにMEMSも歩んできたのが2000年以前の動きであるとまとめることができます。

2000年代以降は、ナノテクノロジー・バイオテクノロジーと言われる横断的な先端分野でMEMSがその発展をけん引しているため半導体が産業界の「コメ」とすると、MEMSは産業界の「マメ」と呼ばれるほどその位置づけは重要です。

代表的な市販機器

  • プリンタヘッド: 特にインクジェットプリンタ用
  • 圧力センサ
  • 加速度センサ・ジャイロスコープ
  • 光スキャナ (ガルバノメータ)
  • AFM用カンチレバー
  • 流路モジュール
  • デジタルミラーデバイス(DMD)
  • HDDのヘッド
  • DNAチップ
  • 光スイッチ
  • ボロメータ型赤外線撮像素子
  • 波長可変レーザー (共振器を可変長化する)
  • 光変調器

代表的アクチュエータの種類

  • 静電力
  • 電磁力
  • 圧電効果
  • 熱歪み
  • 化学反応

応用分野

  • 高周波・光応用 例)レーザー・マイクロ波などを使った微小な工業製品を製造するためのデバイス技術
  • 医療 例)能動カテーテル ドラッグデリバリーシステム 今後の実用化が期待されるものとしてインプラント人工透析
  • 流体 例)マイクロ流路チップ・バイオ回路による測定で生体物質分析・食品成分および水質管理に利用する
  • 宇宙 例)宇宙用高性能マイクロスコープ
  • 生化学 例)マイクロセンサを用いた血液検査・成分分析など

注目が集まる背景 

IoTデバイスとMEMS
現在IoTデバイスおよびIoTゲートウェイデバイスとして最も市場出荷量の多い端末は、スマートフォンです。その機能として多くの機器に標準装備されている加速度センサ・ジャイロセンサは、現在代表的なMEMSの一つです。

たとえば、ウォーキングの際の歩数を計測する機能はスマートフォンにいまや標準装備されていますが、歩数のカウントは加速度センサにより行います。

写真の手振れを修正するのはジャイロセンサーで傾きがわかるためですし、ポケモンGOのボールはジャイロセンサーで方向を定め、モンスターに向かってボールを投げることができるのです。

ヘルスケア端末として利用されるスマートウォッチやVRゴーグルなどその他のウェアラブルデバイスにも加速度センサ・ジャイロセンサが使われています。

これらの実用例に見るように、IoT端末はデバイスを通じてデータを集めクラウドでビックデータとして蓄積し、たとえば消費動向・気象予知・在庫ないし生産管理、その他の目的で分析されますが、「センサ」はIoT端末でデータを収集する際に直接に機能します。MEMSは、このようにしてIoTに必要不可欠な技術になっています。

② 日本での動き 

  • 経済産業省MEMS戦略 ロードマップ

古くから圧力センサの分野で開発がすすめられたMEMSは、IoTに不可欠な技術といえ圧力センサを最初に開発した日本においてIoTの最先端技術を戦略的に活用しようという政府主導の動きもみられています。

経済産業省のMEMSの戦略ロードマップにおいては2000年~2005年前後に単機能MEMSから高度化単機能MEMSへ、2010年以降高集積MEMSからIoTの発展を意識した高付加価値・革新的MEMSへといった年次での技術革新が見込まれており、知財・人材開発・インフラ助成などMEMS関連技術への支援が打ち出されており、実際に多くの研究開発事業が産学ともにサポートされています。

課題と展望
日本のMEMSの強みは、医療や流体・生化学応用といったバイオテクノロジーの分野に近時では顕著にみられていますが、3D、成形技術への応用・製造コストといった点で海外での市場競争上の課題があります。

また、付加価値の高いIoTサービスの多くは、海外に発信源があるため知財・資金調達の面での課題も指摘されています。もっともIoTサービスは、ユーザーのフィードバックによる改善スピードの速さが従来の技術分野とくらべ際立っているので今後の展開は、ユーザーがカギを握るものと考えられます。

まとめ

上記に見たようにMEMSは半導体とともにその歴史がありますが、応用範囲が極めて広くセンサ・アクチュエータとの組み合わせを最小構成要素とすることから、データ収集が必須の要素であるIoTサービスへの利用が大いに期待されています。

IoTは、第4次産業革命とまで言われるインパクトをもつだけにMEMSに関する技術も発展させることが期待されています。今後の動きに注目していきたいものです。

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