【IoT用語集】LPWAとは?

はじめに

LPWAは、Low Power Wide Areaの略であり、省電力で広い範囲をカバーする無線通信のことです。IoT=Internet of Things(モノのインターネット)を実現するために構想されているものであり、従来型の無線通信よりも省電力で広い範囲をカバーできます。

帯域については、無線局免許がいらない帯域を用いてZigBeeWi-Fiを超える100m超から100キロ単位まで長い距離でデータを伝達する通信ができる仕様となっているものも多く、携帯電話や各種無線の電波不足に対応して今までに利用されていない「電波の空き地」を有効活用することができる通信でもあります。

かならずしも無線局免許がいらないことにより市場参入障壁が低いことからベンチャー事業者も通信プラットフォームを提供しやすいといえます。

LPWAは、日本においてまだ本格実用化前で実証実験が盛んにおこなわれている段階ですが、たとえばソラコムのようなベンチャー企業がプラットフォームを提供し、これに大規模通信事業者が相乗りするといった現象がみられることや外資ベンチャーの日本市場参入が見込まれることなども特徴的です。

LPWAの規格

移動通信システムに関して、仕様の検討・規格化をおこなう国際団体である3GPPにおいて規格化として認められたLPWA規格として、

  • 2017年に本格展開の兆しがあるLoRa WAN
  • LTEベースのIoT向けネットワークNB-IoT
  • シグフォックスが世界24か国で展開するSIGFOX

などがあります。これらは、日本での実証実験や一部は実用化が始まっており、注目度が高い規格です。

無線免許が必要なLTEベースの規格は従来の携帯通信事業者により利用されることが多く、
KDDIによるCat1・CatM1・LTE-Mを利用した実証実験やソフトバンクによるNB-IoTを活用した(LoRa WANによる)を利用した実証実験といった大規模実証実験にも利用され、今後日本市場での早期の実用化および普及が期待されています。

開発の経緯

① 開発の課題
IoTはより多くのIoT機器がつながることを長らく課題としていますが、「省電力」「低コスト」の通信手段を確保することは、より小型軽量のIoT機器の開発に必須とされていました。

「通常の家電等の機器に通信のためのチップセットソリューションを埋め込めば、すぐに機器同士・機器とゲートウェイがつながるようにしたい、そして、その通信は、電力を使わず、安いものでないと困る。」これがより具体的な課題であり、いまだに技術的な改良が課題の克服のために行われています。

ところで、実際のIoT機器の使われ方を考えた時、スマートホームのように家の中でルータを通じてWi-Fiが届くということを前提に考えますと新しい帯域の通信はあまり重要性が高くないように見えます。

しかし、ショッピングセンター・工場・自治体単位などでの使い方を考えますとWi-fiではデータが届く距離が足りず、中継のための機器などを介して距離の克服を行わなければならないことになります。

その一方でIoTがWi-Fiが扱うようなデータ量を必要とするかというとそうではありません。そこで、920Mhz帯や240Ghz帯といったLPWAで使われる帯域に活路を見いだせたという経緯があります。

② 課題の克服
電波は帯域を絞り、データ転送量の極小化・データ転送の頻度などいらないものをカットしたことおよび端末側でも小型電池で動く省電力の開発・利用しない時のパワーセーフモードへの自動切り替えなどの技術的改良を加えたものが現在実用化が始まったLPWAの規格です。

通信の際のデバイスの使用電力は、「電池がいらない」レベルで行えるものまで登場して来ています。

実証実験に見る用例

2017年、日本では様々なLPWAの実証実験が行われましたが、用例を上げていきますと下記のように人が常時監視をできないところに無線機器をおいて監視を行うIoTサービスへの用例が目立っています。

これらの実証実験において効果が実証されたサービスは、2017年の後半から一部実用化も始まっています。

  • 豪雪地帯での水道管の異常検知
  • 児童の登下校の見守り
  • 社員の災害時・非常時通信の訓練
  • 農場の遠隔監視
  • 離島の水道代集計
  • 災害監視システム

将来の展望

かつて、携帯電話の領域でGSM方式の利用により携帯電話端末が爆発的に流通数を伸ばした経緯がありますが、LPWAの登場・実用化はIoTの世界で同じような効果を生むとの予想がされています。予想されるビジネスインパクトを評して「IoTでの価格破壊」などと呼ばれることがあります。

現在LPWAの規格は群雄割拠といった様相を呈していますが、今後は規格の統合・標準化も必要になってくるものと思われますし、技術を提供する事業者のM&Aなども考えられます。

さらに、通信帯域の割り当てについては、LPWAの帯域は免許がいらないというメリットがある一方で帯域資源を枯渇させないような管理方法も課題とされています。

まとめ

上記に見たようにLPWAは、IoTの普及・サービスの付加価値を上げるために不可欠の技術と言えます。500億のデバイスをつなげることができるというIoTのポテンシャルを考えるとLPWAをてこにして家電量販店の様子も町の様子も携帯ショップが変えたように一変することすら考えられます。

若干日本での開発・実用化には、遅れが見られているところもGSMの時とパラレルに見えます。こうした動きからもLPWAの今後の展開が、技術側からもマーケットサイドからも注目されています。

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