【IoT用語集】Fog Computingとは?

Fog Computingとは?

はじめに

Fog Computingフォグコンピューティングとは、シスコシステムズが2014年から提唱している概念で、ネットワーク上でデータを処理する分散処理ネットワークアーキテクチャのことです。クラウドよりもデバイスに近いノードに分散したデータ処理装置を設置し、データはLAN上で処理されます。

クラウドが雲であるのに対して、エンドポイントデバイス側を霧に見立てて、階層アーキテクチャをつくります。

デバイスとクラウドの間のデバイス側近くにデータ処理用のサーバをおく「エッジコンピューティング」と区別する場合と、エッジとフォグとを総称してフォグコンピューティングと呼ぶ場合との両方が見られます。クラウドとデバイス側で分散処理されるため、処理速度が速く、かつ、セキュリティ的にもクライドのみに依存するより堅牢です。
 

なぜフォグコンピューティングか クラウドからフォグへ

クラウドはデータ処理をアプリで行いデータの保管をサーバで行いますが、これはデータセンターに支えられている技術です。自前のデータセンターではなく、共用の大容量のデータセンターで論理的なパーティションに仕切られたストレージを使うことは、ITコストに革命的な変革をもたらしました。

すなわち、データの管理が独立に行え、かつ、大型データセンターが備えている堅牢なセキュリティインフラを1社・1名あたりでは低コストで利用できます。こうした特徴から、エンタプライズユーザーから個人ユーザーまで多くのユーザーが、クラウドサービスのサブスクリプション(月極利用であることが多い)でライセンスを受けています。

あらかじめ決められたフィーを負担することによってデータセンターにデータを集約し、集約されたフィーをもとにセキュリティに投資を行い、その結果サイバーアタック等のセキュリティインシデントからデータを守ることができます。

自社サーバストレージよりもコストメリットが高く、サイバー攻撃の激化の中で、高度のセキュリティをユーザーが相乗りで整備・確保できることから、いまやクラウドを利用することは当然のことになっています。

しかし、IoTの時代が本格的になり、デメリットも目に付くようになってきました。

クラウドの課題

① 処理スピード
デメリットの一つが、データ処理のスピードがクラウドは速くないという点です。IoTは、医療機器・ウェアラブル端末を通じて、医療用・防災用などのミッションクリティカルな場面にもサービスが提供されます。

しかし、IoTのメリットであるクラウドによる大量のデータ処理は、処理のスピードと反比例するものになっているという限界があります。医療や防災の現場においては、一刻一秒を争うこともありますが、「クラウドでは時間的に間に合わない」ことが知られています。

② 過度のデータセンター依存
また、クラウドに関してデータがデータセンターに集中することは、必ずしもセキュリティ上優位性のあることではありません。もちろん、クラウドサーバも世界中に分散させることによってリスクヘッジしていますし、データ自体を分割して処理するクラウドサービスも見られます。

しかし、より安全性をはかるなら、データをデバイス側で分散してかつ高速に処理して、いらないデータは廃棄していく道を選んだほうがあるデータセンターを狙い撃ちしたサイバー攻撃にも対抗しやすいという考え方も十分にありうることです。

解決策 分散処理型アーキテクチャ

上記で紹介した背景により、「分散処理型アーキテクチャ」をもつフォグコンピューティングがIoTサービスの質を高める、ということが認知されるようになってきました。

「分散処理」とはクラウドデータセンター内のサーバアプリのみによる処理ではなく、クライアント端末側でデータ処理を行うことを意味します。分散処理のうえ、端末側で処理する結果として得られる低レイテンシーにより、データの処理スピードが上がります。
 

Open Fog Consortium

フォグコンピューティングは、クラウドからIoTデバイスまでを少なくとも3層に階層化します。そして、フォグコンピューティングは階層を縦方向に見たコンピューティングであり、各ノードにも専門技術が要求されるため一つのソリューションに、多数のベンダーが参加して完成することが考えられます。フォグコンピューティングは目的意識を共有するコミュニティによって改良・発展することが構造上も想定されるところです。

そこで、シスコシステムズを中心として、民間企業・官公庁などもメンバーに入ったOpen Fog Consortium=オープンフォグコンソーシアムが結成されており、フォグコンピューティングを利用したソリューションを目指すこととしています。日本からも電子機器メーカー・通信事業者が30社以上この団体に参加しています。
 

まとめ

フォグコンピューティングの分散処理によるIoTサービスの即時性の確保・ユーザーエクスペリエンスの向上は重要であり、市場の注目があつまっています。

クラウドもフォグと同様に分散処理構造・シスコの提唱する階層構造図の一部であり今後も利用は続いていきますが、フォグ・エッジコンピューティングとともに、進化していくものと思われます。

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