2018年のテクノロジートップ10:IEEEコンピュータソサエティがテクノロジーのトレンド予測

世界最大のコンピューティング専門家組織であるIEEEコンピュータソサエティは、毎年「テクノロジーの将来予測」を発表しており、このほど待望の「2018年の技術トレンド予測」が発表されました。

IEEE コンピュータソサエティ テクノロジーの将来予測

IEEEコンピュータソサエティのプレジデント、Jean-Luc Gaudiot氏は次のように述べています。

「コンピュータソサエティの予測は、トップレベルの技術エキスパートチームの深い分析に基づいて、2018年に影響力の拡大が予測されるテクノロジーのトップトレンドを選定しました。広範なコンピューティング業界は、関連技術情報やニュースの提供社として私達に期待を寄せており、業界にテクノロジーの将来像についての情報を提供しその変化への対応を可能にするのが私達の使命なのです。」

Hewlett Packard(ヒューレットパッカード)の著名な技術者で、IEEEコンピュータソサエティの元プレジデント Dejan Milojicic氏はこのように述べています。

「テクノロジーの将来展望について、来年は最も論議を呼ぶ両刀論が明確になるでしょう。例えば、ディープラーニング(深層学習)やAI(人口知能)は多方面に展開していくいのか、或いはニューラルネットワークの領域に留まるのか?仮想通貨技術は飛躍的な進化を続けるのか、或いはバブルのように崩壊を迎えるのか?新しいコンピューティング技術とメモリ技術については、長く続いた「ムーアの法則(インテルのゴードン・ムーア名誉会長が1965年に予測した、半導体の集積度は2年で倍増するという法則)はついに崩壊を迎えるのか?と言うような議論に対して、私達は独自の2018年予測を打ち出しました。」

2018年に予測される上位10の技術動向は次のとおりです。

ディープラーニング
マシンラーニング(ML:機械学習)、より具体的に言うとディープラーニング(DL:深層学習)ですが、これは既に変革の最先端にあると言えます。既に広くデータセンターで広く採用されており(AmazonのDLに利用できるグラフィカルプロセッシングユニット(GPU)、GoogleのDL専用プロセッサ「TPU」テンソルプロセッシングユニット(TPU)、マイクロソフトのDL対応フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など)、DLはデータセンターに戻されるデータ量削減のため、ネットワークの最先端を探求しています。 画像、ビデオ、音声認識などのアプリケーションは、既に様々な分野に導入されています。 DLは、アクセラレータに大きく依存し(下記の#9を参照)、さまざまな補助機能(#6、7、および10)に使用されます。

デジタル通貨
ビットコイン(Bitcoin)、イーサリアム(Ethereum)、および新規参入通貨であるライトコイン(Litecoin)、ダッシュ(Dash)、およびリップル(Ripple)は一般的に取引通貨になります。これらの通貨はこの先、取引手段としてより広く採用されていくでしょう。 これは、価値が上がるにつれて掛け金が高くなるため、サイバーセキュリティ(#10を参照)の向上を促します。 さらに、デジタル通貨は、ストレージ(#3を参照)、クラウドコンピューティング(既に採用されている技術リストのBを参照)、IoT(Internet of Things)、エッジコンピューティングなどの他のテクノロジーと相乗的に発展するでしょう。

ブロックチェーン
広い意味でブロックチェーンテクノロジーの採用は、ビットコインの使用とピアツーピアコンピューティングの活性化に不可欠です。 私達はブロックチェーン製品を提供する企業の拡大と、IT大手企業の市場参入、製品の統合を予測しています。

インダストリアルIoT(産業用IoT)
インダストリアルIoTは最先端のDLに後押しされて引き続きエッジコンピューティングで最も広く採用されていくでしょう。インダストリアルIoTは、実際のニーズによって推進されるもので、DLによって可能になった幅広い技術的製品においても、その他のIoT利用(CとE参照)においても、引き続き採用されると予測しています。

ロボティクス
何十年もの間、ロボット研究が行われてきたにもかかわらず、ロボティクスの採用はそれほど実を結んで来ませんでした。 しかしここ数年は、消費者用ロボットと同様に、より高度な軍用および産業用ロボットの利用も、市場での利用可能性が高まってきています。 私達は、これが介護などの医療分野においてロボティクスが幅広く採用されていくと予測しています。 DL(#1)とAI(#10)を組み合わせることで、ロボティクスは2018年、さらに発展していくと予測されます。さらに、ロボティクスは倫理的にも進化を促進することになります(#8参照)。

自動車運転支援
完全自走車への道は、数多くの障害があり減速はしましたが、駐車支援、ビデオ認識、車線離脱アラーム、障害物アラーム等、限定的な運転の自動制御利用は拡大し続けています。私達はこの先 オートメーションとML / DLが自動車産業に展開され、自動車運転支援はさらに発展すると予測しています。

アシストリアリティとバーチャルリアリティ(AR / VR)

ゲームやAR / VRガジェットは昨年大きく成長しました。この先も3D映像投影や動作検出などの最新のユーザーインターフェイスにおいて、AR/VRの利用は拡大すると予測しています。 これによりプライバシー設定の対象となるメタデータを個人に関連付けることが可能になるため、サイバーセキュリティとプライバシーに関する国際的な方策が必要になるでしょう。(#10を参照)。

プライバシー、セキュリティ、信頼に関する倫理、法律、方針
DL(#1)、ロボット(#5)、技術支援(#6と7)、AIのアプリケーション(#10)の進歩に伴い、技術は社会の能力を超えて容易にコントロールできるようになりました。 既に法規制や義務については、深く分析され様々な側面で展開されていますし(IEEE標準協会の文書を参照)インテリジェントなシステムやサイバーセキュリティにも既に適用されています。 しかし、多くの産業と技術の面においての倫理的な考慮の必要が、今後はますますスピードアップするでしょう。

アクセラレータと3D
ムーアの法則の終焉と3Dへの移行により、アクセラレータはハードウェアの性能とエネルギー効率の向上を継続し、コストを削減する方法として浮上しています。 これにはアプリケーション領域の高速化(DLアルゴリズムの使用のための行列乗算など)を手助けする多くの既存技術(FPGAおよびASIC)と新しいもの(memristorベースのDPEなど)があります。 2018年はアクセラレータが多様化し、幅広く適用され、広く普及することが予測されます。

サイバーセキュリティとAI
サイバーセキュリティは、私達の日常生活やビジネスに不可欠なものになっていますが、その管理はますます困難になっています。 セキュリティ上の弱点を突く手段は非常に巧みなものになっており、IT部門はセキュリティを維持していくのに苦難しています。 純粋な自動化ではもはや十分ではなく、データ解析と自動スクリプトを強化するためにAIが必要になっています。 機械任せではなく依然として人間が行動をする必要があるのです。したがって、倫理関係の問題が発生します(#8)。 しかしAI自体はサイバー攻撃の影響を受けないので、どんなアプリケーション分野でも敵対的なトラフィックが存在する限り、AI / DL技術をより堅牢にする必要があるのです。

既存のテクノロジー:
次のテクノロジーは、既に普及していると言う認識のため、トップ10リストには含みませんでした。

  1. データサイエンス
  2. クラウド
  3. スマートシティ
  4. 持続可能性
  5. IoT /エッジコンピューティング

EEE-CSの技術者

Erik DeBenedictis(Sandia National Laboratories)、Fred Douglis(システム研究者、IEEE-CS理事会メンバー)、David Ebert(Purdue大学教授)、 Paolo Faraboschi(Hewlett Packard Enterprise)、 Eitan Frachtenberg(データサイエンティスト)、Phil Laplante(ペンシルベニア州立大学教授)、Dejan Milojicic(Hewlett Packard Enterprise科学技術者、IEEE Computer Societyの元プレジデント)
上記の技術的貢献者にインタビューすることが可能です。

2018年の終わりに、予測をレビューしこの予測が現実とどの程度一致するかを判断しますので、 2018年12月に再度こちらを確認してください。過去の予測については、2017年のテクノロジーの予測と評価に関するニュースリリースをご覧ください。

IEEEコンピュータソサエティについて

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関連リンク
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原文はこちら: Top 10 Technology Trends for 2018: IEEE Computer Society Predicts the Future of Tech