【CEATEC JAPAN 2017 海外企業】SenseGiz

CEATEC_SenseGiz01
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コイン型センサーで製造業にも家庭にもIoT

IoTで用いるセンサーは小型、省電力が求められます。センサー自体が物理的に大きいと作業に支障が生じることになり、過剰な電力を必要するとコストがかかるからです。

2013年に創業されたSenseGizでは、コイン型センサーによるIoTアプリケーション用メッシュネットワーク構築をソリューションとして提供しています。SenseGizのセンサーは、小型で省電力型であることが特長です。製造業の工場をはじめとして、ホームセキュリティにも活用できます。

ネットワークの情報を中継する分岐点を「ノード」といいますが、故障で特定の経路が使えなくなっても別の経路でデータを転送し、自己修復によってネットワーク全体を運用可能にすることを「メッシュネットワーク」といいます。SenseGizの提供するソリューションは、コインサイズのセンサーで構築されたメッシュネットワークを使ってゲートウェイで情報を収集し、Webのパネルで分析や制御を可能にします。

福岡県に拠点を置いて日本で展開している、ディレクターのKumar Rajesh氏にお話をうかがいました。

小型で省電力型センサーの「COIN」

SenseGizのソリューションには、ハードウェアとして「COIN」と呼ばれるセンサーが用いられます。コインという名称通り、小型でコンパクトな円形の筐体で、温度、湿度、振動を感知するセンサーです。

COINは直径33mm、厚さは11mmの大きさで、Bluetooth 5によりメッシュネットワークを構築する独自に開発されたデバイスです。1Mbpsの速度で通信し、高速かつ高精度のデータアプリケーションに対応します。すべてのコインは150フィート(約46m)の間隔で効果的な通信を行い、コインを増加することで範囲を拡げられる拡張性が特長です。また、アプリケーションにもよりますが、バッテリーの寿命は1年から5年で、長期的に持続します。

このコインを複数連携させて、P2P(Peer to Peer:複数の端末による通信網)のメッシュネットワークを構成します。温度や湿度などの環境の検知、セキュリティのための侵入検知、システムや装置などの資産の監視、フェンスに用いたソリューション、従業員のトラッキングなど幅広い活用が可能です。

また、さまざまなAPI(Application Programming Interface:外部からWebサービスを利用するための仕様)に対応しているので、ユーザーは独自のアプリケーションをクラウドで構築できます。COINを使うことによって、主要な生産指標、過去の稼働状況などトレンドの解析、運用で実施すべき改善の洞察を得られます。

COINを撮影しようとすると、Kumar Rajesh氏はカメラを制止して告げました。

「硬貨を持っていませんか? どんな硬貨でも構いません。COINと並べてください。そうすれ、ばいかにわれわれのCOINが小型であるか分かります」

確かに10円硬貨と並べると、センサーが小型の洗練されたデザインであることが分かります。Bluetoothで通信しているときには、小型のLEDが短く点滅することが印象的でした。

モニタリング、セキュリティなど幅広い活用事例

SenseGizには、資産管理、物流管理、高齢者ケアなどの豊富な活用事例があります。センサーだけでなく、ゲートウェイのハードウェア、分析のためのプラットフォームも一貫して提供しています。

たとえば、食品メーカーの貯蔵室や倉庫にCOINを設置することにより、温度や湿度などの情報をリアルタイムで収集することが可能になります。収集した情報はゲートウェイを通じてWi-Fiによってクラウドに送信。クラウド上でデータを分析し、ブラウザによってPCやモバイル端末で情報を監視したり、アラートを受け取ったり、スムーズな管理を実現します。

鮮度が重要な肉や魚介類、野菜などの食品では、温度や湿度を一定に保って貯蔵することが重要です。そこで、冷凍庫の温度を監視して異常を監視し、品質を保ちます。医薬品でも高温の状態にさらすことで、薬品の有効性が低下することがあります。患者に効果のある薬を提供するためにも、温度の維持は重要です。

また、工場や物流の現場では、ベルトコンベアやベアリングなどの機材が消耗すると、これまでとは違った振動周波数を発生します。正常な状態の周波数をあらかじめ検知しておき、機械学習によって異常値を発見して警告をさせることにより、人間では感覚的に予測できない事故の予兆を未然に防ぐことができるようになります。

「製造業では、ジオフェンシングによる安全ソリューションも重要です。従業員が持ち場を離れて危険な場所に入った場合には、COINが行動を追跡して、警告を通知します。管理者もモニターを通じて、危険エリアの状況を知ることができます」とKumar Rajesh氏。

データセンターやサーバールームも、高温を避け、振動などの障害から守る必要があります。BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は最近、あらゆる企業で重視されていますが、テロリストや災害から大切なデータ資産を守り、サービスなど企業の活動をストップさせないために、センサーの設置は重要な対策のひとつといえるでしょう。

ホームセキュリティや境界のセキュリティにも

このIoTソリューションは、消費者向けの活用も考えられます。

スマートスピーカーの登場を契機として「スマートホーム」が実用化しつつあります。スマートフォンやスマートスピーカーと音声対話することにより、エアコン、テレビ、証明などのスイッチを切り替えるような試みに対して、各社が積極的に取り組み始めています。

COINは、自宅のセキュリティを強化するデバイスにも利用できるセンサーです。

振動センサーをドアに設置すれば、不正な侵入があればアラームを鳴らして警告することで、不在時の自宅を監視できます。また、水漏れの検知にも利用可能です。バスルームや下水道、エアコンなどからの情報をCOINで収集して、家全体を管理できるようになります。

自宅の周囲の壁やフェンスに取り付けると、悪質な侵入者の発見にも役立ちます。動きや振動を感知するセンサーは、自家用車やペットと、侵入を企てている人間の行為(這い回る、走る、何かをくぐり抜ける)などをアルゴリズムによって区別して、リアルタイムで警告するので、防犯の役目を果たします。

「もちろん大きなビルディングのセキュリティにも使えます」

Kumar Rajesh氏による解説から、COINによるソリューションが業種や規模の枠組みを超えて活用可能な拡がりを感じました。

庭も含めて家全体の間取りを上から眺めた仮想ロケーションマップで、家全体を監視。それぞれのCOINごとに異なるしき値を設定可能なので、まさに各家庭ごとにカスタマイズされた防犯体制を構築できます。

特定の機能に特化したIoTも必要ですが、用途に合わせてセンサーをカスタマイズできる柔軟性に魅力があります。スマートホームが少しだけ身近に感じられました。

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