【IoT用語集】IEEE 1888とは?

はじめに

スマートグリッドBEMSなど、家庭外のエネルギーマネジメントシステムの連携を行う通信の標準規格のことです。遠隔地の設備の状態や、制御のために設定される情報をやり取りするために開発されました。

東大グリーンICTプロジェクトの研究結果として開発された通信プロトコルで、正式名称をUGCCNet(Ubiquitous Green Community Control Network)といいます。2015年3月に国際標準規格ISO/IEC/IEEE 18880としても承認されています。

各ノードとなる機器における計測値ログを作成すると同時に接続されているストレージにログデータを蓄積することが可能であり、さらに共通の通信プロトコルおよび言語によりマシン間ひいては、システム間で相互にデータを参照することが可能です。

IEEE1888は国際標準規格であるため、BEMSスマートグリッドに関連するベンダーの違いを超えてデータを有効活用することができます。なお、家庭内のエネルギーマネジメント(HEMS)に関する通信規格には、Z-WaveやECONETがありますが、こちらは国際標準規格としては認められていません。

しかし、HEMSとBEMS・スマートグリッドは、無線とインターネットプロトコルを介してシームレスに接続し相互にデータを参照することが可能です。 

用途

IEEE1888は、エネルギーの自動制御をビル内で行うBEMSやより規模の大きなスマートシティ・スマートグリッドの送電制御に使われるマシンツーマシン(M2M)の通信規格であり、監視・制御は無人でコントローラにより行われることになります。

IEEE1888システムの構成要素(コンポーネント)

IEEE1888を用いたエネルギーマネジメントシステムは、以下の三層から構成されます。

  • アプリケーション エネルギーの計測データを見える化・分析・解析する
  • ストレージ  アプリケーションでの計測データを蓄積する
  • ゲートウェイ システム外からの呼び出し・システム外への発信を行う

ビル内のBEMSの場合、ビル設備の構成機器をBACNet/ZigBeeを介したビル内設備通信で信号化しゲートウェイで呼び出します。これらのデータをさらにストレージで蓄積・アプリケーションで解析することになります。上記構成要素に全体のデータの管理・検索を行うレジストリが組み合わされます。

ポイント・ポイントID

ポイントとは、各計測点と制御点のことをいい、計測点の時間・エネルギー消費データは、のちの検索のために各ポイントにユニークID(URI)が割り振られることになります。割り振られたユニークIDを基に、レジストリで検索・管理が可能になります。 

通信技術

コンポーネント同士がポイントについてのデータをやりとりする通信を行いますが、通信方式はTCP/IPに親和性を持つHTTPとXMLに依拠するものであり、通信手順の種類は以下の3つからなることが決められています。

  • FETCH 相手方にデータを取りに行く
  • WRITE データを相手方に送信
  • TRAP 相手方に将来発生するデータを送ってもらうように約束させる

機能

BEMSなどのエネルギーマネジメントシステムは、電力をはじめとするエネルギーを可視化し一元化して制御することを目的としているものであり、システムの構成要素相互間でエネルギー消費量を記録しやり取りして蓄積する機能をもちます。

この機能を実現するためにIEEE1888による通信が使われます。IEEE1888は国際標準規格であって各機器メーカーの差異を克服することができますし、インターネット通信プロトコルであるTCP/IPにXMLによる表現は親和性を持っていますので、機器間を超えてクラウドサーバーにエネルギーマネジメントシステムを接続し、極めて大量の計測データを記録・保管することができます。

このようにして一つのビルのエネルギーマネジメントだけでなく、スマートグリッドによる送電量の調節・地域全体のエネルギーマネジメントにつなげることができるポテンシャルをもっています。

危機管理・BCPへの応用

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、電力不足による生産活動停止・停滞の脅威を世界中に意識させることになりました。各企業は非常時の電力供給についてビルの発電・蓄電装置の見直しまで含めて検討することになり、各社のBCPは災害時の行動計画にとどまらずビル全体・地域全体の電力供給と消費を重要な要素として備えることを余儀なくされています。

各BEMSと発電所・送電設備まで通信で接続・制御し、発電・送電の無駄をなくして、電力供給を平準化するスマートグリッドがあらためて注目されることになりました。

IEEE1888は構想を支える中心的技術として、製造業を中心とした各社のBCPへの応用例・自治体レベルの大規模実証実験・IEEE1888規格に依拠した広域通信インターフェース導入事業が東日本大震災以降見られています。 

まとめ

1つのビル・地域におけるBEMS・スマートグリッドがIEEE1888による通信を介してひいては国レベルでの省エネ・地球環境の温暖化防止に活用可能であることから、IEEE1888は総務省により導入推進が各地で行われており、同時に国の情報通信施策のうち中心的な技術となっています。

これらの技術がどれくらいの数字に見える効果を結果として残していくのかに注目が集まっているところです。