【IoT用語集】HEMSとは?

はじめに

HEMS(ヘムス)とは、 Home Energy Management System=ホームエネルギーマネジメントシステムの略です。エネルギー消費量の全体を可視化し、一元管理することを目的としている技術です。多数の機器を構成要素としているシステム全体を総称してHEMSといいます。

電気家電製品に内蔵されたセンサーにより自動でエネルギー消費量を測り、視覚化する計器類が組み合わされてできています。これらの機器はIEEE1888プロトコルを用いて無線接続することが可能ですのでコンピューターネットワークにより接続し、コントローラが機器の出力を上下させることができます。

計器データはサーバに蓄積されますが、家全体のエネルギー消費量を時間ごと・季節ごとなどのパラメーターにより最適化計算し、出力することができますので、コントローラによる制御で効率的にエネルギー消費量を節約・削減することが可能になります。

機能・効果

HEMSは主に、エネルギー使用量の可視化・一元化という機能からなります。主な効果は、エネルギー使用量の抑制と地球温暖化を緩慢にすることです。

機能一覧

① 可視化
家庭内で消費される電力・ガス・水道を計器により計測します。また、データは無線ネットワークによりインターネット経由でコントローラとなる機器やコンピュータ上で数値化され、見える状態になります。

② 一元化
可視化されたデータはコンピューターネットワークにより、サーバに蓄積され、現在データが過去データと照合されます。過去のデータに比して平均値・異常値を検知し、これに合わせてコントローラ端末で制御します。

③ 可視化・一元化を促進するスマートメータ
上記の可視化・一元化は、通信可能な家電端末・計器類とコントローラといった構成要素によって実現されます。

そのカギとなる端末である「スマートメータ」は、従来型の計器を無線でコンピュータに接続できるデバイスとなっており、ホストコンピューターに無線接続されスマートフォン・タブレット端末等のモニタで視覚化・コントロールすることにより可視化・一元化を促進します。

現在、家庭内に設置するデバイスについて、HEMSの共通規格であるECONET規格対応の機器を利用することにより家の外からでもエネルギー消費量がコントロール可能です。

効果

① 省エネ効果・地球温暖化対策
最も家の中で効果的にエネルギーを可視化・削減できるのは、電力であり、機器として蓄電器・太陽光発電機などの発電機を組み合わせることにより、地球温暖化・災害対策にも効果を発揮するものと言われています。

そのため、一般住まい用には補助金があり、政府が2030年までに家庭エネルギー消費量をゼロ化する計画(ZEH=ゼロネットエネルギーハウス計画)の中ですべての家に導入を目指す目標を定めるなどして、普及を目指す技術となっています。

② HEMS導入のインセンティブ=電力自由化
日本においては、2010年以降電力料金の上昇が続きさらに2011年の東日本大震災の発生による電力不足の議論から、10社電力供給体制の見直しが検討されました。2016年4月の法令改正により、新電力が市場に参入可能になりました。

同時に電力料金プランもピーク時電力を安くして、削減することにインセンティブを持たせるプランが数多く登場することになり、消費者側からの選択肢が大幅に増えました。どの電力会社・料金プランを選ぶことにより、消費者側が消費量を最適化できるのかということになりますが、HEMSは最適な電力消費を選ぶ指標を提供することになります。

具体的には、HEMSを導入したうえで家の電力消費パターンにあった電力会社・料金プランを選ぶことにより、省エネと電力料金の抑制を一度に図ることができるというわけです。

③ HEMSによる国全体の省エネ効果
HEMSは、事業所におけるエネルギーマネジメントシステムであるBEMS・送電の省エネを実現するスマートグリッドと合わせると、大きなエネルギー削減効果を期待できるとされます。

政府は2030年までにZEH(ゼロネットエネルギーハウス)計画を進める一方で、実現する手段としてすべての家庭にHEMSを導入することを目標としています。

エネルギーマネジメントシステムやスマートグリッドを用いれば、理論上はすべてのエネルギー消費データをホストコンピューターに蓄積し、電力のニーズと実際の消費量を、多要素をパラメーターとして解析することが可能になります。

こうして無駄な発電も送電も削減することができる一方、小規模な太陽光発電やオフピーク電力を蓄積する蓄電器・自然発電の利用も促進することができると考えられるのです。

国が上記の構想を掲げ、自治体レベルで補助金を交付することによりHEMSは導入が促進されています。代表例として横浜市では、家庭内で設置されるHEMS機器30万円の補助金を交付しています。

まとめ

上記のように個人の家庭の電力削減のみならず、環境をよくする技術でもあるHEMSはだれもが一度は興味を持ったことがある魅力的な技術といえるでしょう。

しかし、政府の促進策にも関わらず新電力会社・料金プランの認知度がそれほど高くないこと、節約効果がHEMSの投資に比べて低いこと、それほど付加価値がないと感じられることなどの理由からHEMSの普及はまだ一桁台にとどまっています。

しかし、家庭内の身近な機器で将来実現可能であることから、今後IoTの普及とともにHEMSも普及が見込まれています。HEMS向け端末の価格もコストが削減されていくことになれば、普及の見通しができるものと思われます。