【IoT用語集】GNSSとは?

はじめに

GNSSとは、「全地球衛星測定システム」(Global Navigation Satellite System)のことを指します。地球上のある特定の位置を人工衛星・電波受信機および電波標準局の三地点から電波を送受信することにより計算し位置を算出するシステムです。各種位置情報提供サービスに用いられます。
 
およそ2万キロメートル上空を飛行する衛星から発信されている電波の発信時間と受信時間の差分およびこれからみちびかれる受信機までの距離情報をいくつか組み合わせて現在位置を算出します。これにさらに電波標準局の電波を基準として使うようにすることで誤差を地上で修正することが可能になります。
 

各国のGNSS

GNSSは宇宙空間の有効活用計画として国家プロジェクトとして推進され、また民生目的・軍事目的双方に利用可能であることから大国が牽引して開発がすすんでいます。
 
GNSSには、グローバル衛星群を構成要素とするシステムと、地域限定衛星群を構成要素とするシステムがありますが、前者はすでに普及し民生利用度の高い米国のGPS(1970年代より開発開始)をはじめとして、ロシアのGLONASS(1982年より人工衛星打ち上げ開始)、ヨーロッパのGalileo(1999年に開発開始)、中国のBeidou(2012年より運用開始)があります。

日本のみちびき(2018年よりオープン利用開始)、インドのIRNSS(2013年より人工衛星打ち上げ開始)は、後者に分類されます。
 
人工衛星はコストが高く、投資金額に比すれば寿命が短いといえおおむね10年くらいでその使命が終わります。そのため、各国間で衛星の相互利用をおこなうMulti-GNSSが構想され、実際にGPSとみちびきは技術的に相互互換性があり、今後のみちびきによるサービスにおいても相互に利用が予定されています。

Multi-GNSSは、国家間の協定により年ごとに利用が拡大される基調にあります。多国間の連携により、宇宙開発になかなか技術力を発揮しにくい国においても測量という点では人工衛星をもつのと同様のアドバンテージを享受できることになります。
 

測定の方法・技術

GNSSで行う位置情報の測定は、人工衛星から発信される観測地点で電波が受信される時間差から軌道距離を算出し、これによってできる2つの点と観測地点を結んでできる三角形の一片の長さを三平方の定理により算出するという比較的にシンプルな原理をもとにして行うものです。
 
しかし、電波は一定の範囲にバッファをもって放出されるものであり、かつ、地形や建物による反射・他の電波干渉をうけるため誤差が生じやすくなります。そこで、複数の衛星・複数の周波数帯を使い、原子時計や地上標準電波局を使った補正でより正確性が担保できるようにしています。
 
たとえば米国のGPSは、4つの衛星からの電波発信により、距離・速度を測ることで観測者の位置を知る方法をとっています。測量を複数の衛星とものの距離を測ることをより重視して行うか、または、基準局による補正を重視するか、各国のシステムでどちらに重きを置くか、若干異なる対応をしています。実際には、基準局を利用しないと誤差を補正することは難しいとされます。
 
衛星は1つの軌道上を少なくとも4-5個は飛行し、さらに複数の軌道を持っているのがどのシステムにおいても通常であって、観測者がいつでもどこでも正確な位置情報が図りやすいようにしています。今後、どのGNSSもシステム当たりの衛星数を増やし、より正確性・信頼性・継続性、そして可用性を上げる傾向にあります。
 
通信の方法・技術
民生用GNSSの通信は1200メガヘルツ帯~1500メガヘルツ帯を中心周波数帯として行われます。電波方式は、CDMA等の民生用の電波方式が用いられます。人工衛星と観測者までの距離情報については、誤差が数メートルと非常に精度が高いものとなっています。
 
衛星の高度・電波方式・周波数帯のすみわけにより、民生利用・軍事利用が峻別されています。
 
特徴
高精度 正確性とデータの信頼性が上述のように高いものとなっています。
継続性 衛星のライフサイクルを利用することにより、継続的利用が可能になります。
高可用性 人工衛星によるサービスは、複数の衛星の利用により、24時間365日止まることがないようにしています。
 
多彩な受信機とサービス
受信機には専用受信機・非専用受信機があり、各GNSSが提供するサービスと連動することができます。日本のみちびきの例でいうと、測量サービス以外に、災害時安否確認サービス・船舶や飛行機に位置情報を提供するサービス等のサービスが提供され、各種対応受信機によってセンチメーター単位の位置補正も含めサービスを利用することができるようになっています。
 
現時点においては、GPSを用いたスマートフォン・スマートウォッチ・カーナビのような小型の家電端末とアプリケーションソフトウェアの組み合わせにより、地図アプリでの位置表示・ライフログアプリなどを使ったスポーツでの利用・高齢者医療・外回り営業時を含めた勤怠管理・災害時救出のための位置情報提供など、人の位置を可視化するサービスが多彩なものとなっています。
 

まとめ

GPS=GNSSといった認識がまだ一般的である状況ですが、国家間協調により、今後位置情報サービスはより一層正確性・信頼性・可用性を上げていくものと思われます。誤差がどれほど克服できるのか技術的に注目されます。
 
位置情報サービスはすでにGPSにより消費者に一般的なものとなっていますが、位置情報の高度の正確性を前提にしたサービスは、まだ私たちの生活を変える可能性を大いにもつものと期待されます。