【CEATEC JAPAN 2017 海外企業】Globalstar Inc.

CETEC_glovalstar01
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グローバルな衛星通信でモノをトラッキング

CEATEC JAPAN 2017 のUS Pavilionは、アメリカ大使館商材部が日本の企業とのマッチングを目的として、スタートアップ企業を集めました。この出展企業のひとつGlobalstar Inc.は、モバイル衛星通信のソリューションを展開しています。従業員数は本社全体で約400人ですが、日本法人は6~7人で登記を終えたばかりです。これから日本で本格的に展開を考えています。

Globalstar Inc.は、衛星通信による電話サービスや衛星通信ホットスポット「Sat-Fi」、音声サービス、データ&トラッキング製品、データサービスの分野で製品やソリューションを提供しています。取引先は政府、海洋開発や森林の伐採事業の企業、石油やガスなどのエネルギー資源関連の企業などがあります。

B to C向けの製品としては、携帯電話のサービスエリア圏外で登山やアウトドアスポーツを楽しむ人々のために、GPSで位置情報を追跡して緊急事態に対応する「SPOT GEN3」を販売。B to B向けの製品ならびにソリューションには、衛星通信システムを活用して、移動中のコンテナーや車両などを追跡する「SmartOne」があります。

日本法人の取締役CMOである,小林盛人氏のお話をうかがいました。

法制度の準備が整い、日本の展開をスタート

「アメリカは国土が広大ですから、携帯電話の電波が届かない場所が結構あります。こんなときに衛星通信ネットワークが利用されています。コンシューマ向け製品のSPOT GEN3は、アウトドアスポーツ用のアイテムとして携帯電話と同じように販売しています」

「SPOT GEN3」は、アメリカではポピュラーな製品だそうです。この製品を使うと、移動した経路をGPSで追跡して自動的に送信・保存、無事なことをメッセージで送信したり、緊急時にはS.O.Sを発信したり、人命救助に役立ちます。しかし、日本ではあまり知られていません。

「日本では3キャリアがカバーしていますが、スマートフォンがつながらない場所は、ほとんどありません。しかし、B to Bの製品やソリューションは需要があります。どこの国であっても地上のキャリアではカバーできない領域は海の上です。海の上でどうやってモノを追跡して管理するのか、ということがテーマになります」

ところが衛星通信ネットワークは、今回のCEATECが日本初公開となります。そこで、世界的には知られていても、訪問者のおよそ9割がGlobalstar Inc.の企業や製品を知らない状況でした。

このように認知度が低い原因には、これまで衛星通信に関する法律がなかったこともあります。衛星通信ネットワークは世界120ヶ国で使われていましたが、残念ながら日本には、法制度自体がありませんでした。そこで2年半かけて、法律を作るところから取り組んできたそうです。

「現在、認可取得中ですが、ようやく先が見えてきました。まずは代理店のみなさまと地道に勉強会を行っていきたいと考えています。コンシューマ向けの製品ではないので、広告展開よりパートナーとの関係づくりを重視したいですね」と小林盛人氏。今回の出展を布石として、パートナーシップを結んだ代理店とトライ&エラーを繰り返しながら、導入を増やしていきたいと考えているそうです。

黄色いケースに入れられた、オレンジ色の筐体に黒枠のGSP-1700は、CDMA方式を利用した衛星携帯電話です。IoTとはやや異なる製品かもしれませんが、最近多発しているテロや自然災害の状況を考慮すると、地上の携帯電話が使えなくなった非常事態に威力が期待されます。

近年、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は企業にとって重要な課題になりました。多くの企業で取り組んでいることは、クラウド上にデータをバックアップして、損害を最小限にとどめ、災害時に早期復旧をすることです。しかし、政府や行政、さらにグローバルに事業を展開しているような大企業では、衛星通信による連絡網の確保も考慮すべきかもしれません。

衛星通信システムを利用したSmart Oneシリーズ

製造業向けの製品としては、「Smart One」シリーズが展示されていました。これはGlobalstar Inc.が単体で販売するのではなく、IoTソリューションプロバイダーが既に販売している物流システムなどに組み込んで販売するBtoB向け製品です

IT資産管理の重要度も高まっています。PCやインストールされているソフトウェア、周辺機器、サーバーなどネットワーク関連の機器はもちろんデータベースのデータも重要な資産です。これらが不要に社外に持ち出されたり盗難に合ったりすれば、情報漏えいや不祥事として著しく企業の信頼を貶めることになります。

そんなリスク管理はもちろん、機械の稼働状況やなどの情報を監視して、追跡することが求められています。このような製造業の資産管理に役立つツールが「Smart One」です。

やや縦長で大きい「Smart One B/LP」は、機器などから電力を供給するラインパワー型のIoTです。電動/非電動、不動産(土地や社屋)/動産(資産や商品、機械、自動車、船舶)に関わらず、資産のインテリジェントマネジメントを実現します。製造用機械の状況を把握するほかに、輸送機器の位置情報、稼働情報、不正な移動や主な障害などを監視します。

「Smart One B/LP」より小型の「Smart One C」は、外部電源を使わずにリチウム電池でも稼働可能な実用的なソリューションです。12種類の報告タイミング、インターバルモードや24時間運転モードを設定でき、アンテナを必要としないこと、交換用に高価な専用バッテリー購入の必要がないことがメリットになります。

いずれにしても主要な対象は、重工業です。自動車や航空、造船、大手建設会社などの業界における利用を考えているそうです。

「自社製品はどこに?」追跡しないと不安な時代

「製造業のマネージャーは、あらゆるものがいまどこにあり、どのように動いているか、知りたいと考えるようになりました。世界中の製造業がこのことに注目しています。もちろん日本も例外ではありません」と、小林盛人氏は語ります。

かつては通信がなくても問題ありませんでした。しかし、いまでは一瞬でも通信が途切れると不安になる時代です。陸上では通信がつながっていますが、海の上ではネットワークが途切れます。陸から遠く離れてしまうと、携帯電話の通信企業がいくら頑張ってもつながりません。そこで海の上で通信できるのは衛星しかない、と。

「われわれのよいころは、すべて自社のネットワークで完結していることです。海外ではローミングで国内と同じように通信できますが、お客様の機械がどこにあるか追跡できなくなります。しかし、地下に潜らない限り、衛星通信を使えば、海外であろうと海上であろうとスマートにトラッキングすることが可能です」

今回の出展で、掘削機械を作っているような製造業のお客様から「衛星で位置情報を知りたい」という相談をいくつもいただいたそうです。特に、建設業界や物流業界で需要があるようです。コンテナーが海上を渡るときには通信が途切れてしまうため、衛星通信ネットワークを使って、洋上のトラッキングをしたいという相談が数多くありました。

「現在は、あらゆるものがつながっていたい時代です」と小林盛人氏。ユーザーの機械がどこにあり、どのように使われているのか把握していたい。そんな要望が非常に高まっています。

したがって、衛星通信ネットワークを手掛けているGlobalstar Inc.としては、モノをつなぐときに「携帯電話か、衛星通信か、ハイブリッドか?」という問いが求められます。小林盛人氏は次のように回答します。

「私は、おそらくハイブリッドではないか、と考えています。日本国内で使うときは携帯電話の通信で構いません。しかし、海外に輸出されるモノは衛星通信がよい場合があるでしょう。ハイブリッドで追跡できるタグのような何かを製品に埋め込むことが、つながっていたい需要に応えるのでは」

モノとつながって情報を収集することは、次の物流を考えるデータ収集としても重要です。グローバルなつながりを作る上で、衛星通信ネットワークは重要な技術のひとつとして考えられそうです。