【CEATEC JAPAN 2017 海外企業】MODE

CEATEC_Mode01
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あらゆるセンサーをクラウドでつなぐ、スタートアップ企業

MODEは、アメリカのシリコンバレーにあるスタートアップ企業です。業務向けセンサーデータ収集ソリューションを提供しています。Google社、Twitter社で勤務していた日本人の上田学氏によって、2014年に設立されました。現在の社員数は7人、日本には9月に進出を果たしたばかり。「あらゆるセンサーをつなぐ。」ビジョンのもとに「SENSOR CLOUD」を中心とした製品開発とソリューションを提供しています。

SENSOR CLOUDは、セットアップと電源投入から5分でデータの収集が可能です。また、これまで利用していた機器も含めて、あらゆるセンサーメーカーの多様なタイプと連携できます。クラウド上のデータは時系列で表示され、視覚的な把握が可能です。このMODEのIoTプラットフォームを基盤として、特定の業界に向けたカスタムアプリケーションも手掛けています。

現在、IoTのプラットフォームを提供している企業は100社ほどありますが、クラウドのソフトウェアとゲートウェイ(異なるネットワークを接続する機器)のハードウェアの両方を手がけている企業は多くありません。というのは、ゲートウェイの設置は現場の地道な作業が必要になるからです。ソフトウェアとハードウェアの問題を解決できることがMODEの強みです。

CEOの上田学氏にお話をうかがいました。

スプリンクラー管理のIoTからスタート

Google社、Twitter社というふたつの世界的な企業に勤務していた経歴は、日本人としても類まれな存在といえるのではないでしょうか。16年間アメリカに住んでいる上田学氏は、次のように起業前のことを振り返りました。

「Twitter社、Google社ともに楽しい会社でしたよ。ちょうど会社が大きくなる伸び盛りの頃で、いい経験になりました。最初の頃は、だいたい1日に12~13時間ほど働いていたでしょうか」

そんな上田学氏が、ベンチャー企業を立ち上げたのは、IoTを自作したことがきっかけだったそうです。

ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたIoTの登場は「インターネットと同じぐらいのインパクトがある、これは凄いのではないか」と上田学氏は感じたそうです。あらゆる人々が注目していました。そこで自分でも何かやってみようと考え、スプリンクラーをIoTで制御する「スマートスプリンクラー」を自作しました。

「アメリカは庭が広いのですが、水不足のために火曜日と木曜日以外には水を出してはいけないことになりました。自宅のスプリンクラーは曜日の設定ができなかったことと、さらに雨が降ってきたときスイッチを切りに行くことが面倒だ、と。そこでスプリンクラーを制御するIoTを作りました。それがIoTの世界に入るきっかけでした」

実際にハードウェアとソフトウェアを組み合わせてIoTを作ることは、非常に困難でした。同じことを簡単にできるサービスがあれば需要があるのではないか。それが起業の動機になりました。

SENSOR CLOUDは、温度・湿度・CO2センサーなど、あらゆるセンサーからのデータをクラウドに収集し、時系列データベースによって見える化や監視を行います。プライベートで作ったIoTをプロトタイプとして、製品化したものといえるでしょう。

アメリカでは、古くからDIY(Do It Yourself)の文化が浸透しています。「IoTが流行っている。なんだか面白そうだ。それなら自分もやってみよう」というフットワークの軽さは、シリコンバレー特有の考え方であると同時にモノづくりの原点かもしれません。

IoT導入は「何をやりたいか」明確な意識が大切

展示ブースの訪問者も反応に違いがあったそうです。SENSOR CLOUDを高く評価する人は、実際に自分でIoTを試して苦労している人が多かったとのこと。苦労した経験があるため、MODEのようなシステムを構築することがいかに大変か理解しているからです。逆に「やりたいことが分からない」場合は、IoTの導入は困難になります。

「やりたいことは何か、明確に導入の目的意識を持っていることが大切です。技術も進化していますから、やりたいことがピンポイントで絞り込まれていれば、その実現をIoTでサポートできます」

MODEではSENSOR CLOUDのほかに、特定の業界に特化したソリューションも提供しています。その中で製造業の工場向けのものが「FACloud」です。

FACloudは、工場の機器やセンサーからデータを収集します。生産ラインからデータを24時間リアルタイムでクラウドにストリーミングし、保守が必要な兆候などを察知して、警告や警報を自動的に出します。長期間のデータをクラウド上に保存することで、停電などの予期しないダウンタイムを減らすことに貢献します。

しかし「あまり大上段に構えるのではなく、現場で知りたい情報をいかに簡単に収集できるか」を重視されているそうです。誰でも知りたい情報を数ヶ月後に確認できる目的が、設計の背景にあります。

AIや機械学習以前に、データを取得できていない工場がほとんど。情報を収集して、クラウドにバックアップすることから提案しています。そうすれば1年後以降に本格的な分析をしなければならなくなったとき、すぐ分析に着手できます」

MODEのソリューションは、ビジネスをスマートに展開したい顧客に喜ばれました。センサーなどのデバイスを自動車に搭載する作業をすべて請け負うことで、顧客の負荷が軽減したからです。一方、苦労したことも数多くあったそうです。さまざまなセンサーをつなぐことは非常に労力が必要で、ハードウェアの種類によって動作が変わったり、アンテナの問題やチップのバグがあったり、悩みは尽きませんでした。

「ただ、これがビジネスチャンスだと考えています。お客様にとって、ハードウェアの問題は落とし穴のようなもの。これをわれわれが埋めていけば、ムダな労力を使うことがありません」

センサーはアルプス電気株式会社をパートナーとして、高性能のセンサーをソリューションに組み込んできました。しかし「あらゆるセンサーをつなぐ。」ことがビジョンであり、異なるプロトコルやレガシーな検査機械など、他社製品とのコネクティビティも重視しています。

将来的には電力など日本のインフラにも導入を

接続が簡単であることに加えて、コスト削減のメリットもあります。MODEのソリューションは数百万円程度で導入することが可能で、これはGEやIBMなど大手ソリューションベンダーにおける同等のシステム導入費用の10分の1にあたります。

PoC(Proof of Concept:概念実証)に何千万円もかかると、なかなか導入も難しいでしょう。しかし、数百万円なら敷居も低くなるはずです」

大勢のコンサルタントによる大掛かりなソリューションではなく、小回りの効くソリューションをめざしているそうです。日本はもちろん海外でも導入実績があり、デバイス数では数千の導入実績があります。

日本のモノづくりについては、次のように考えているそうです。

「日本には面白い技術を持っている会社がたくさんあると感じています。しかし、それを海外で売っているところをあまり見かけません。国内では活発ですが、海外では誰も知らないという状況もあります。日本から世界にどんどん売り込んでいくことが必要ではないでしょうか」

世界中のお客様に売っていくこと、抱えている問題を解決すること。そのような積極的な姿勢によって、日本からもイノベーションは生まれるのではないか、とお話されていました。

今後については「将来的には日本のインフラで使っていただきたいと考えています。電力や信号など」と上田学氏。また「IoTは日本にとってチャンス。ソフトウェアだけでは日本のプレゼンスはあまりありませんでしたが、ハードウェアに強い日本の企業がIoTの分野で活躍できるのでは。しかし、IoTという言葉にあまり踊らされないことが大切かもしれません」とのことでした。

日本人によるシリコンバレーのスタートアップ企業MODE。今後の事業展開に期待できそうです。