製造業でのIoTの背景と現状の課題について

IoTが巷の話題になってから数年が経過した。

ここで、あらためて製造業でなぜIoTが話題になってきたか、その背景と現状の課題を考えたい。

背景

以下の点が考えられる。

・産業用Ethernetの普及

製造業での、産業用のイーサネットの普及
(EtherNet/IP、EtherCAT、PROFINET、CC-Link IEなど)

従来、Ethernetはおもに時間保証の観点で、製造業では制御には使用できなかったが、各オープンネットワークの技術革新のおかげで、それが可能となってきた。

・センサ/アクチュエータの通信化

センサ/アクチュエータ用1対1通信路としてのIO-Linkの普及(とくに欧州)

従来、センサ/アクチュエータは、アンプ(マニホールド)形態以外では通信にのらず接点またはアナログ信号のI/O渡しで、基本は通信から切れていた。それがIO-Linkによって可能となってきた。いわばセンサ/アクチュエータレベルでトンネルが開通した感じだ(おもに、センサ/アクチュエータの通信用ICの安価化による)。

・PLCとパソコンの融合

PLC(Programmable Logic Controller:製造業専用のコントローラ)とパソコンの垣根が小さくなり、その合いの子としてのPAC(Programmable Automation Controller)やこれまでなかなかメジャーになれなかった産業用パソコンの普及が始まった。

従来、「コントロールはPLC、情報管理はパソコン」とはっきりと分かれていた。 また、パソコン用のソフトで制御しようというソフトPLCもなかなか普及しなかったが、2010年あたりから、その壁がなくなってきた(おもにはパソコンのハード/ソフトの安定性向上による)。

・パソコン/PLCなどの処理力の向上

そこで、上記によって、以下が可能となってきた。

・下位のセンサ/アクチュエータから上位Ethernetまでの通信路の開通

・そのあいだの、中心にあるコントローラがいわばパソコン(コンピュータ)化することで、制御しながら大量の情報を扱うことが容易に

・収集できるデータが大量に

さらに、2015年あたりからディープラーニング技術が台頭。

そのため、単にデータを集め、既存技術で分析したりモニタしたりするだけでなく、

集めた大量データから機械自体が「学習」することによって、従来ではできなかった高度な分析をすることも視野にはいってきた。

現状の課題

しかし、現実には、以下のような問題も顕在化してきている。

・事業/商売として成り立つか

とくに機械学習の場合、ほぼ実験に近くなり、コストが合わない。

さらにディープラーニングの場合、結果はブラックボックスになり仕様として明確にできない。

・通信速度の問題(おもに、IO-Linkの低速性と、既存汎用Ethernet技術自体の定時性のかべ)

・通信路が開通することによるセキュリティの問題

現状、これらの解決に向かって、各社や標準化団体がしのぎをけずっている状況だ。