干ばつのない巨大農地での安全な農業の実現を目指して - Made in China 2025

干ばつのない巨大農地での安全な農業の実現を目指して - Made in China 2025 – 記事

中国の農業省が自国の食糧供給を確保するために、5,330万ヘクタールに及ぶコネクテッド・ファームランドを創造すると発表しました。まずは、今年中に500万ヘクタールの農地を開発する予定です。14億の人口を擁する中国は2011年以降、干ばつと水害に強い農地開発に取り組んでおり、2018年末の段階ですでに4,260万ヘクタールの農地を開発済みだと述べています。

計画によれば、2020年までに5,330万ヘクタールを開発し、2022年までにはその規模を6,000万ヘクタールまで拡大する予定です。これを達成すると、コネクテッド・ファームランドの面積はスペインの国土を凌ぐ規模となります。
より高度な農業機械化レベルと改良された種類の作物と相まって、より収穫高の良い農地の建設は、中国が世界の穀物市場で有利な立場を確保するのを助けることは間違いありません。
農業省の統計結果によれば、中国の耕地の40%が劣化に苦しんでいるということです。現在、耕地の3分の2が中から低度の収穫高しかあげておらず、2分の1の耕地で灌漑施設に問題を抱えています。

人工雨による干ばつへの取り組み

2013年以降、中国は年間550億トンもの人工雨を降らせています。チベット高原で更に降雨を誘発する試みとして、2018年4月以降、最大級の人工降雨実験に着手しています。160万㎢に及ぶの広大なエリアで、年間最大100億㎥の降雨量を増やすために、チベットの山々に数万の燃料燃焼室を設置することもこの計画に含まれています。

この地域の年間最大100億立方メートルの降雨量を増やすために、チベットの山々に数万の燃料燃焼室を設置することも含まれています。平原からスプレーされた粒子は、水蒸気により周囲を凝縮させ、雲を形成するきっかけを提供します。そしてその雲が雨をもたらす仕組みです。

中国ではまた、人工降雨は空気汚染を洗浄する為にも頻繁に用いられています。
それ以外にも主要行事の前に天候を調整することは、近年中国において頻繁に行われています。2008年の北京オリンピックの前に、中国が北京の空にヨウ化銀を含む1,100機以上のロケットを打ち上げたことは大きなニュースになりました。中国政府は2020年までの間に天候調整を行う開発計画を掲げています。

安全な農業への取り組み

2017年の調査では、アメリカの国民一人当たりに必要な農産物を生産するためには0.5ヘクタールの土地が必要だと言われています。ところが、中国で一人当たりに割り当てられることが可能な農地は0.1ヘクタールしかありません。
産業化を推し進める政府の方針による農地の工業地への転換及び都市部の拡大による大規模住宅開発、それに伴う地方から都市部への人口の流出などに加え、長年の気象条件や化学肥料の多用による農地の劣化なども原因となっています。現在の中国の化学肥料への依存度は、世界平均の3倍以上となっていますが、そのおかげでようやく穀物の最低限必要な備蓄量を保っている状態です。中国の耕地の20%近くがカドミウムなどの化学物質で汚染されている、という国連の調査結果も出ています。
Office of the Central Rural Work Leading Group(中央巡視工作領導小組)幹部は2017年2月6日付の人民日報で、一刻も早く環境に優しく安全な農産物の生産拡大の重要性を指摘しています。
この問題を改善するために、中国政府は(1)市場のコントロール、(2)農地の効率性の向上、(3)農地の損失の抑制、(4)食物輸入、という4つのアプローチを採用しています。
このすべての分野でカギとなるのがテクノロジーです。

近年、中国の新興農家では、土壌に埋め込まれたセンサーからのデータを自分のスマホで受信して、マイクロ灌漑システムを運用し、温度管理管理されたコンテナの中で野菜を育てたり、ドローンを使ってコンピューターで処方された適量の農薬を散布するようなところも出てきました。

都市部への人口集中に対応するバーティカル・ファーミング

今後予測される人口増加、及び都市部への人口集中に対応するために、中国が力を入れているのが、バーティカル・ファーミングです。
中国では、季節による気温の差が大変激しい土地もありますが、水耕栽培やLEDランプ、ヒートポンプなどを利用することで、クライメイト・コントロール・テクノロジーを開発し、たとえ外気がー12℃であっても内部温度を17度に保つことが出来ます。
「計画的生産、速い成長、自動化および省力化、無農薬、スペースの最適化、および気候への影響の低減は、すべてバーティカル・ファーミングの利点です。」、と農業省の研究者は語ります。従来型の農業と比べ、自然の太陽光を利用した植物工場では、ユニットエリアごとの生産性は2倍から10倍にも増加します。人工光を活用すればこれが40倍にも増えます。これをバーティカル・ファーミングで活用した場合、1000倍の生産性を達成することも可能です。
2018年1月にはアメリカの農業スタートアップが、日本のソフトバンクやAmazon(アマゾン)CEO Jeff Bezosからの資金調達に成功し、中国で300にも及ぶバーティカル・ファーミングを建設すると発表しました。
中国では食に対する安全や環境問題への関心が年々高まってきており、今後もこの分野の成長は続くことでしょう。

≪参考資料≫
https://www.rt.com/business/451750-china-high-standard-farmland/
https://www.archdaily.com/911677/studio-nab-designs-a-floating-urban-farming-tower-for-future-cities
https://www.rt.com/business/423508-china-project-forces-rainfall/
https://www.bloomberg.com/graphics/2017-feeding-china/
http://www.xinhuanet.com/english/2018-07/18/c_137333250.htm
https://en.wikipedia.org/wiki/Vertical_farming