コネクテッドカー - アーバン・トラフィック・マネージメントのテストベッド

コネクテッドカー - アーバン・トラフィック・マネージメントのテストベッド – 記事

近年、自動運転車両とともにコネクテッドカーという言葉がメディアによく登場するようになりました。
コネクテッドカーとは、ICT端末として機能を持つ車両を指し、車両自身の状態のみならず周囲の状況(混雑・事故)などの様々なデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析し、最適な経路を紹介したり、周囲の開き駐車スペース情報などを提供するものです。安全性・快適性・環境への配慮の面などでも新たな価値を生み出すことが期待されています。

2017年1月からロシア、2018年4月からは欧州で、通信機能を備えた自動緊急通報システムの搭載が義務化されており、今後普及が加速すると予測されています。
一言で『コネクテッドカー』といっても、そこには5つの異なる“接続”があります。これらは、(1)車両とインフラ、(2)車両同士、(3)車両とクラウド、(4)車両と歩行者、そして(5)車両とすべてのモノ、です。

今回は、このコネクテッドカーを介したアーバン・トラフィック・マネージメント(CVUTM)のテストベッドを紹介します。

テストベッドの概要

コネクテッドカーでどこかに出かけようと思ったと考えてみてください。目的地をデバイスに入力するとCVUTM IoTシステムがその目的地までの最適な経路とかかる時間などを提案してくれます。実際ドライブを開始すると、車両は周辺環境のデータ(道路工事・渋滞・故障/事故車両など)を収集し、クラウドで解析された代替え経路やスピードを落とす必要があることなどをドライバーに教示してくれます。
これにより、ドライバーのストレスの軽減、快適性や安全性の向上、目的地までの移動時間の軽減ひいては大気汚染の軽減などを達成することが可能になります。

テストベッド・リーダー:Infosys(インフォシス)
同社は、インドに本社を置く世界有数のITコンサルティング会社です。近年はデジタル・トランスフォーメーションに特化し、デジタル・ソリューションに注力しています。

サポートメンバー:Bosch Software Innovations(ボッシュ・ソフトウェア・イノベーションズ)、Real-Time Innovations (RTI、リアルタイム・イノベーションズ)
Microsoft(マイクロソフト)がクラウドサービスを提供

課題:交通渋滞とトランスポーテーション・ネットワークの麻痺は、新興国や発展途上国などの市民の都市への流入が顕著な国々では特に深刻な問題となっています。
2015年に行われた調査によれば、交通渋滞を原因として31億ガロンの石油と70億の時間が無駄にされている、という結果が出ています。これは1600億ドル(コミューター一人当たり960ドルの無駄です。)

テストベッドの目標:本テストベッドの目的は、車と車(V2V)及びと車からインフラ(V2I)へのテクノロジー、センサーフュージョン、IIoTプラットフォーム、クラウドインフラ及びエッジ解析を使用したコネクテッドカーを特徴とする、スマート道路交通エコシステムを作成することです。それにより、道路の渋滞を回避し、道路上での異常なイベント(故障や事故など)を自動的に検出し、交通の協調的な移動を可能にします。
将来的には、自律走行車と自動運転車の両方がこのエコシステムに参加し、道路の混雑を最小限に抑え、全体的な運転者と歩行者の安全性の向上を目指すことを目標とします。

テストベッドの焦点:このテストベッドは、クラウド分析、エッジ分析、機械学習技術、およびV2V / V2Iテクノロジで強化されたIIoT対応のエンドツーエンドのスマートモビリティエコシステムの実現に焦点を当てています。自家用車及び商用車のスムーズな交通を効率的に移動させる為に必要な多くの前提条件のうちの1つは、道路渋滞を評価/分析し、予測し、防止し、道路上の異常なイベントを自動的に識別し、地点間のスムーズな移動を可能にすることです。これらの目標を達成するために、段階的なアプローチを採用します。
経路や最適な速度に関するアドバイスは、クラウドで可能になった産業型インターネットシステムによりモータリストに提供されます。
将来的に自動運転車両が行動に導入された暁には、これらの情報を活用して最適なスピードや経路変更が必要な際にノーティスを発したりすることで、スムーズな交通の流れを実現させる予定です。

商業的な実益:スマートシティのアーバン・モビリティに必要な、快適なドライビング、渋滞による時間の無駄を省く、大気汚染の軽減による市民の健康、などの課題への対処;近隣、自治体、都市の規模でコネクテッドカー-IIoT統合アーキテクチャの機能についての洞察を提供;自動運転車両の時代の到来に備えての、スマート・コネクテッド・エコシステムの実証の場として活用;などに加え、将来需要の増加が見込まれるカーシェアの効果的なサービスの導入などにも実益を挙げられると考えられています。

コネクテッドカーの本格的実用化に際する課題

社会の利便性、快適性、環境や市民の健康/より快適なライフスタイルへの配慮、などにはコネクテッドカーと社会インフラの交信がもたらす利点には大きなものがありますが、その一方で解消すべき課題も多くあります。
まずは、利用環境の整備。これには、ロードサイド・ユニットの拡充、LETダイレクト及び5Gネットワークなどの通信環境の提供、などがあげられます。
この環境整備には、様々な業界や政府がかかわってくるため、横の連携、もとても大切なものとなります。
また、車両が常時クラウドと交信していることによる、個人情報の管理、現在位置の特定、サイバーアタックの脅威なども大きな懸念材料です。

IICでは、このテストベッドを通じて、様々な課題を浮き彫りにし、分析・検証を重ねることで、人と車そして都市のインフラにとって快適な環境実現への提言作成を目指します。

≪参考資料≫
https://en.wikipedia.org/wiki/Connected_car
https://www.iiconsortium.org/connected-vehicle-urban-traffic-management.htm
https://en.wikipedia.org/wiki/Infosys