スマート製造業ケーススタディ

スマート製造業ケーススタディ – 記事

Industry 4.0が元々達成目標としているのが、製造業のスマート・ファクトリーとデジタル化です。
スマート製造業とは、インターネットで接続された設備を使って、工場の製造工程全般をモニターするプロセスを指します。この主要なゴールは、製造工程での自動化の機会を特定すること、及びデータ解析を活用することで、製造プロセス全般のパフォーマンスを向上することです。

スマート・ファクトリーの概念が意味するところは、産業または製造プロセスが従来の標準とは異なる方法で編成されることです。インテリジェント・マニュファクチャリングの時代においては、サプライヤーやロジスティックス、さらに製品のライフサイクル管理を含む製造工程のすべてが企業間の垣根を超えて接続されるようになります。

今回は、そのようなスマート製造業3社のケーススタディを紹介します。

HIROTEC(ヒロテック)


HIROTECは1932年創業の広島に本社を置く、自動車部品(ドア、排気系部品)の設計・製作、金型、治具、組立ラインの設計・製作などを行う日本で最大級の自動車部品メーカーの一つです。
同社がIndustry 4.0の手法を導入した背景にある優先事項は、継続的な操業を確実にすることと、そして、製造施設における予定外のダウンタイムを最小限に抑えることです。

これを達成する為、同社はHewlett Packard Enterprise(HPE、ヒューイット・パッカード・エンタープライズ)パートナーであるPTCのIoTプラットフォームと、HPE Edgelineシステムを組み合わせ、予測分析機能を活用してオペレーションテクノロジーの機能を強化しました。又、インダストリー4.0の製造モデルの出現により、予測外のダウンタイムを排除して製造業務の改善を図るためには、予測分析を追加することが重要であることが明らかになりました。
HIROTECは3つのパイロットのIoTプラットフォームを完成させました。第一のパイロットは、同社のデトロイト工場にある8台のコンピューター数値制御機(CNC)からデータを収集・解析します。別のパイロットでは、自動排気システム検査ラインの遠隔可視化を実行するためのプラットフォームを実装しました。このパイロットのデータソースには、検査ロボット、フォース・センサー、レーザー測定デバイス、そしてカメラが含まれています。

更に自動車ドア製造施設の全生産ラインに対して、リアルタイムの可視化と自動でのレポート作成を実行するシステムを導入しました。
パイロットを通して、HIROTECはビジネスオペレーションに関するリアルタイムでの可視化を実現することができました。これにより同社は、効率及び生産量などに影響を与える課題に対応することが可能になりました。

このソリューションはまた、同社が排気系検査ラインのような重要なシステムの故障を予測し防止するために機械学習を利用することを可能にします。
同社は社内に生産技術研究所を設け、素材/金型/接合の研究室のみならず、ロボティック/情報技術研究室を介して、スマートファクトリーの進化を促進しています。

AW North Carolina(AWNC、AWノースキャロライナ)

AW North Carolinaは1998年創立の、日本のアイシン精機の子会社で、オートマチック・トランスミッション、及びトランスミッション・コンポーネントを製造しています。『Quality People, Quality Products』を社是に、12万平米以上の規模を持つダーラム工場では、2,000名以上の従業員が、年間60万台以上のトランスミッションをトヨタ自動車に提供しています。これは、一日当たりの生産台数が3,000台以上ということで、計画外ダウンタイムが入り込む余地はありません。個々のトランスミッションは700から800の特殊な部品から構成されており、それらにもそれぞれの厳格な規格があります。
スマートファクトリー実現の為、AWNCはCisco(シスコ)が提供する450回線のCisco Business Edition 6000ユニファイド・コミュニケーション・システムをオフィスに実装しました。

アクセスポイント、スイッチ、およびコントローラを備えたCiscoのネットワーク・インフラを設置し、安全なWi-Fi通信を12万平米を超える工場フロアをカバーしています。
更に、新型のFlexPodシステムがコンピューティング/ネットワーキング/ストレージを統合します。FlexPodに含まれているのは、Cisco Unified Computing System(シスコ・ユニファイド・コンピューティング・システム)、Cisco Nexus(シスコ・ネクサス)スウィッチ、NetApp(ネットアプ)ユニファイド・ストレージ・システム、です。FlexPodアーキテクチャは、仮想化環境と非仮想化環境の両方で、混在ワークロードに最適化することが可能です。
AWNCはCiscoの新しいシステムを導入以降、ダウンタイムが発生していないと、その効果を強調しています。
スマート・マニュファクチャリング・プラットフォームを介して、AWNCはクラウド・コンピューティングを採用し、新たなエンタープライズ・リソースプランニング(ERP)および製造実行システム(MES)を実装し、データとプロセスを自動化および分析することを達成しました。

Black & Decker(ブラック&デッカー)

パワーツール・メーカーであるBlack & DeckerもCiscoのシステムを利用し、メキシコのレイノサ工場で、可視化を向上して複雑さを軽減させるIoTソリューションを実現しました。
Black & DeckerがCiscoに求めたのは、ワイヤレス・コネクティビティです。同時にAeroscout Industrial(アエロスカウト・インダストリアル)にはエンタープライズ可視化ソリューションの提供を求めました。
ほぼすべての資材Wi-Fi無線識別タグを装着したことで、リアルタイムの位置情報システムが導入され、トラッキングが容易になりました。
AeroscoutのWiFiタグは、Programmable Logic Controller(プログラム可能なロジック・コントローラー)に統合されており、品質管理や製品が最終工程に到達した際の製品の出来栄えを監視します。これにより、フロアマネージャは生産プロセスの全工程で可視性を得ることができ、プロセスを減速または加速することで、従業員がそれぞれのタスクをどれだけ迅速に完了できるかを確認することが可能となりました。
その結果、工場では労働効率が10%ほど向上し、レイバー・クリティカルな資源のより効果的な利用を達成し、それにより利用率が80%から90%に向上しました。品質の分野でも、100万あたりの初回パス不良が16%減少しました。

≪参考資料≫
https://enterpriseiotinsights.com/20180102/smart-factory/three-smart-manufacturing-case-studies-tag23-tag99
https://www.hirotec.co.jp/eng/
http://www.aw-nc.com/
https://www.cisco.com/c/en/us/products/unified-communications/business-edition-6000/index.html