アメリカにおける「3Dプリント」の歴史:定義や概念、また今後の展望 – その②

1.「アメリカ」で「3Dプリント」についての企業向けサービス

アメリカで企業向けの3Dプリントビジネスには、大きく3タイプあります:

  • 3Dプリンター製造・販売(3Dプリントを実装するシステムを製造し販売):Stratasysや3D systemsがアメリカの2大メーカーで、売上高は2社で6億ドルを超えています。
  • 3Dプリント再販(3Dプリンター、3Dスキャナー、そして3D素材とフィラメントを再販):3D Central VA、3D Herndonなど、アメリカ中に多くの再販企業があります。
  • 3Dプリントサービス (3Dプリントを請け負う):Shapeways、Sculpteoを始めとした企業がこのサービスを行っています。

アメリカで最も多くのベンダーが手がけているのは3Dプリントアウトサービスです。これはスタートアップ企業も参入しやすいため、多くの企業がアメリカ各地に存在しています。彼らは顧客のプロジェクトやアイデアが3Dモデルになるのをサポートします。その具体的なサービス内容はまず顧客の要望をヒアリングし、それベースにCADソフトウェアでデザインを行い、使用するマテリアルを選択して3Dプリンターで出力し、それを顧客が希望する場所に搬入して完了です。

さらに3Dプリントサービスのベンダーの中には、クラウドベースで顧客が保有する3Dプリント工場の受注、生産、出荷といった業務プロセスを合理化するサービスを提供している場合もあります。

2. 「アメリカ」での「3Dプリント」導入例

1)New Balance:ランニングシューズ

ファッション分野では広告目的のプロトタイピング製品以外にも、3Dプリントを活用した製品の発表が始まっています。その一例が2016年にアメリカで限定44足発売となった、米New BalanceのZante Generateです。これは3Dプリントで作成された、世界初となるランニングシューズです。

3D Systemsとの独占的な協業により、同社が開発したゴム状の粉末であるDuraForm® Flex TPUを3Dプリントシューズの製造に利用しました。

3Dプリントの利点を活かし柔軟かつ剛性があり、軽さと耐久性の最適なバランスを、複雑な蜂の巣状の新しいミッドソール構造で実現させました。驚異的な柔軟性を持つそのミッドソールが、最高のクッション性を提供し、アッパーには非常に柔軟性のあるFresh Foam Zante v2を採用しています。

2) Field Ready:人道支援

Field Readyは技術を通じて物流を変革し設計した新しい方法で、人道的支援および再建支援を行なっているアメリカの非営利かつ非政府団体です。Field Readyでは人道援助のために設計された3Dプリントによって作成されたレスキュードローンなどを利用しています。

2015年にネパールの地震で発生した壊滅的な被害を受けて、Field Readyではチームを遠隔地に配備し、簡単な医療支援を必要としている被災者のために、3Dプリントで医療用品を作成しました。またシリアでは難民キャンプの子供達の手の平均サイズに対応できる、丸型の形の石鹸を3Dプリンターで作成しました。

3) Local Motors: 自動車

2015年に世界初の3Dプリントされた自動車を発表した米Local Motorsのマイクロマニュファクチャリングと呼ぶビジネスモデルは、ユーザーが望む少量生産車を小規模な工場で短期間で造り出すものです。実現すれば、購買、製造、物流、販売という現在の製造業の流れが一変します。3Dプリントを使う意義は、低コストでリサイクル可能な材料を使用することにあります。

Local Motorsがこの自動車全体の構造の3Dプリントにかけた時間は、たった44時間だけでした。もちろんまだ枠組みのプリントができた段階ですのでモーター、バッテリー、パワートレインなどの電気部品は印刷されていません。

米Fordやグローバル自動車製造メーカーのVolvoやBMWは、ラピッドプロトタイピング、実験用部品の製造、および製造用の治具や治具の作成に、3Dプリントを使用しています。独メルセデスベンツでは、現在他のトラックメーカーと毎年100,000以上の3Dプリンタのプロトタイプを作っています。

3. 「アメリカ」での「3Dプリント」の今後の役割

多くのアメリカ企業が3Dプリントを選択する理由とは、環境保護を考慮しながら安価で無駄のない生産をシンプルな製造工程で行い、リサイクル可能な材料で大きさや重さに制限がない製品を作り出したいのです。

3Dプリントはこれまで想像もできなかったものを作り出すことを可能にするツールです。3Dプリントを利用する企業はこれからも増えていくことでしょう。そして今後3Dプリントが航空宇宙から自動車、医療、ファッションまで多くの業界でまもなく本格的に活用されるようになるでしょう。

ダイレクトメタルプリンンティング(DMP)の進化

DMPとはダイレクトメタルレーザー焼結としても知られ、品質の高い複雑な金属部品を 3D CAD データから造形する技術です。この最先端の技術が従来の切削や鋳造のテクノロジでは不可能な、困難な形状がある金属部品の生産を可能にします。

DMPの高速化と高性能化が進むと、それに伴って多くの新技術が登場しています。その結果3Dプリントが可能な、高い性能特性を持つ金属合金の数は増加します。 そして従来の設計および製造プロセスでは不可能だった、高性能で軽量化が可能になるでしょう。

この進化により航空宇宙、自動化、およびメカトロニクス産業に欠かせない、複雑で非常に詳細な製品が、少ない費用でまもなく生産可能になるでしょう。例えば車の修理を必要とするならば、その場でスピーディに印刷された車の部品を、安価で購入することができるようになります。さらに航空宇宙エンジニアは同じ技術を使用して宇宙船用の治具や備品を製造するようになりますので、その影響は驚くべきものになるでしょう。

ヘルスケアおよび医療機器などの分野では、すでに補聴器、歯科用器具、股関節置換術、医療用インプラントおよび外科用器具などの作成に3Dプリンターが使用されていますが、DMPによってさらに高性能で優れたインプラント作成ができるようになります。

DMP分野の主要企業の米GEでは、今後数年間でDMP事業だけで年間売上高が10億ドルを超えると予測しています。

4. 「アメリカ」での「3Dプリント」によって今後どんな暮らし方になっていくのか(消費者側の変化)

工場で利用が増えるだけでなく、アメリカでは3Dプリントによって消費者の生活を変えていくことが考えられますが、具体的にどのようなことが期待できるでしょうか。3Dプリントの有識者の意見を次にまとめてみました。

1. 3Dプリンターで人間の臓器を作成

今後3Dプリンターにより患者自身のDNAを使用して、オーダーメードの臓器を作成可能になることが予測されています。これが実現すれば医療に与える影響は大きいです。そして再プログラミングされた幹細胞を使用して人間の臓器をプリントできるようにすることで、臓器の修復ができるようになります。つまり人が心臓発作を起こしたり移植を必要としたりした場合には、心臓を交換するのではなく、心臓を修復することができるようになるということです。

2. キッチンには3Dプリンターが常備

将来3Dプリンターを利用して、いつでも望みの食品の作成が可能になると考えられます。つまり家にいながら主食からビスケットやピザなどのスナックを、3Dプリンターで作れるようになるわけです。食品の作成だけではありません。水道の蛇口に不具合が起きても業者を呼ばずに3Dプリンターで新しい部品を作成して、すぐに修理ができてしまうのです。近い将来3Dプリンターが一般家庭のキッチンの定番商品になるのではないでしょうか。

3. 旅行の際にはポータブル3Dプリンターを忘れずに

海外旅行に出かけたとき、歯ブラシがホテルのアメニティの中になくて困ることがありますが、ポータボル3Dプリンターが実用になれば、旅行先でも必要なものを全て3Dプリントすればすみますかrあ、手持ちする日用品は最小限でよくなるのです。

こんな時代はもうそこまで来ています。