中国の電気自動車産業を支えるスタートアップ

中国電気自動車産業を支えるスタートアップ – 記事

例年1月にラスベガスで開催される世界最大規模のIT/家電見本市(CES)は、その年の電気製品のトレンドを見据える絶好の機会となっています。
今年のCES(1月8日から11日まで開催)は、米中貿易摩擦の影響で中国企業の参加数が前年よりもかなり減ったようですが、Huawei(ファーエイ)を始めとして、四川省ベースの大小のテクノロジー企業は多くの注目を集めていました。

2019年のCESには、多くの電気自動車が展示されていましたが、CES特集を組んだ多くのカーマガジンがメルセデスや日産の電気自動車と並んで揃って取り上げたのがByton(バイトン)です。一部の論評ではBytonが早晩Tesla(テスラ)を凌ぐのではないかと言われています。
今回は中国が取り組む電気自動車産業の振興と、現在その最先端を走るBytonを紹介します。

中国の電気自動車産業

電気自動車というと、いつも話題に上るのはTeslaですが、実は中国は電気自動車の世界最大の市場で、Bayton、Beijing Auto(北汽集団)、Roewe(栄威)などの国産電気自動車メーカーが販売台数を伸ばしており、2017年の販売台数は77万台と、新型エネルギー源で稼働する自動車の世界の販売台数の半数以上を占めています。
中国政府としても、この方向性は国外からの石油輸入を削減する良い機会であり、ドイツ日本アメリカなどの既存の自動車産業に対抗し、”環境にやさしい車両“市場でのリーダーを目指す戦略としてとらえています。

Made in China 2025では、中国政府は国内の自動車メーカーに年間300万台の電気自動車の売り上げ目標(国内売り上げの80%)を掲げており、上位2社の国内電気自動車メーカーは2025年までに海外市場でのシェア10%の到達を目指しています。
この目標を達成するために、政府は多大な支援を行っており、四川省で運行している電動バスなどもその恩恵を受けています。又、電気自動車購入者に対しても積極的な補助金政策を執っており、2014年には100,000元(14,400USドル)が支給されました。(現在は60,000元に削減)

新型エネルギー車の市場で世界最大のメーカーの地位を誇り、アメリカの投資家Warren Buffetが投資していることでも有名なBYDは、自らを“自動車産業のトランスフォーマー”と位置付けています。同社会長のWang Chuanfuは、2030年までに中国全土の車両は電動式になるだろうと予測しており、このおかげで2025年までに同社の年間売り上げは、2017年のレベルの9倍である一兆元(1,444USドル)に達するだろうと語っています。

しかしながら、現状では中国の電気自動車メーカーは、大多数が低価格帯の自動車に事業の焦点を当てています。
課題の一つは、バッテリー・テクノロジーでこれが現状中国の国内電気自動車メーカーの足かせとなっています。チャージング・ステーションの数も限られており、2020年に現行の電気自動車購入補助金が打ち切られた後の市場に不安を示すメーカーもあります。

Byton 

Bytonは、2016年創立の南京に生産工場を置くスタートアップです。BMW i部門を率いていたカーステン・ブライトフェルド氏と、インフィニティの中国事業のトップだったダニエル・キルヒャート氏を中心として設立され、最初のコンセプトカーが発表されたのは2018年です。
会社設立からわずか3年目で、今年のCESで発表されたM-Byteは、スタイリッシュなインテリアや大型スクリーンなどが多くのカーマガジンの注目を集めました。同社は、今年中に中国国内市場向けの生産を開始し、来年からは北米・ヨーロッパ向けの生産を開始する予定です。

同社の電気自動車に関して、共同創業者であるダニエル・キルヒャートは「ただの車ではなく、スマートデバイスだ」、と定義します。Bytonは、自社の成功のカギは、社内のスクリーンの台数にあると考えています。フロント部分にはダッシュボードの端から端までをカバーする48インチスクリーンを備え、ハンドル部分にはタブレットが、前方中央と後部座席にはそれぞれ8インチのスクリーンが備え付けられています。これは、完全な自動運転車が主流となる未来を見据えたデザインだとキャルヒートは語ります。
スクリーンの数を増やすだけでなく、アメリカ市場向けにはAlexaと、中国国内市場向けには
Baiduを搭載し、ディープインテグレーションを実現し、ドライバーのスケジュールや個人の嗜好に合わせた音楽の提案なども可能にしていく計画です。

2019年を世界市場でも通用する電気自動車製造元年として、Bytonは積極的にプロモーションを仕掛けていくことは間違いありません。

≪参考資料≫
https://www.extremetech.com/extreme/283373-the-best-car-technology-of-ces-2019
https://www.digitaltrends.com/cars/new-cars-and-technology-features-displayed-at-ces-2019/
https://www.scmp.com/magazines/style/tech-design/article/2181031/11-futuristic-cars-and-vehicles-watch-out-ces-2019
https://www.scmp.com/business/china-business/article/2169698/made-china-2025-worlds-biggest-auto-market-wants-be-most
https://www.scmp.com/tech/start-ups/article/2181440/can-chinas-electric-car-start-byton-beat-elon-musks-tesla
https://www.byton.com/

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