風力発電の最適化を目指す、Siemens(シーメンス)ケーススタディ

風力発電の最適化を目指す、Siemens(シーメンス)ケーススタディ – 記事

地球温暖化防止が、グローバル規模での課題として認識されるようになり、再生可能エネルギーへの関心が高まっています。
再生可能エネルギーとは、自然の力で補充されるエネルギー資源で、その源は太陽光・風力・水力・地熱・潮汐等で、事実上枯渇しないものをエネルギー源としているものを指します。

再生可能エネルギーを利用することの魅力は、人為的な補充の必要がない、温暖化ガスの排出量が少ない、エネルギーをそれを必要とする地域の近隣で調達することが可能、放射能廃棄物を出さない、化石燃料に代わる新たなエネルギーや製造産業になりえる、など多岐にわたります。
今回は、この中で風力発電に焦点を当て、IIC(インダストリアル・インターネット・コンソーシアム)でのSiemensのケーススタディを紹介します。

風力発電

風力発電は、風を羽根に受け原動機で発電を行うものです。風をエネルギー源に利用するという考えは、紀元前36世紀ごろには既に存在しており、エジプトで灌漑に利用されたという記録があります。
風力が初めて発電に利用されたのは、1887年スコットランドのJ.ブライスによるもので、この時には二次電池への蓄電にも成功しています。
現在風力発電は、地上及び海上で行われており、地上最大のウィンド・ファームは中国のGansu Wind Farm(6,800MW)が、海上最大のウィンド・ファームはイギリスのWalney Extension(659MW)により運営されています。

1996年から2016年の20年間で、風力発電のキャパシティは6.1GWから486.8GWへと80倍近くの成長を遂げました。2017年には、さらに10%増加し539GWを記録しました。年間の風力発電発電量は17%の伸びを見せ、世界規模での電力使用量の4.4%を占めています。EUでは、電力の11.6%が風力により賄われています。EUの中ではデンマークの風力発電への浸透が最も高く、電力使用量の43.4%が風力により供給されています。

Siemens風力発電ケーススタディ

Siemensは、風力発電が将来再生可能エネルギーの中に占める重要な役割に注目し、収益性を高め、プロジェクトのリスク軽減に取り組んでいます。風力発電の設備だけでなく、グリッド内での電力供給ソリューション、資金供給に関するコンサルティング、など風力発電を取り巻く様々なサービスを提供しています。バリューチェーンに沿った統合ソリューションを提供することで、顧客が風を持続可能な未来の有益な資産に変換する支援を行っています。
今回ケーススタディでSiemensに示された課題は、ウィンド・ファーム内に点在する何百もの風力発電機をネットワーク化し、最適化の為のコントロールを可能とすることでした。

課題:風力発電の仕組み自体はとても単純(羽根に受けた風を利用して発電する)なものですが、今日ではシステムがとても複雑になってしまっています。
それぞれのタービンには、最大1000ものセンサーやアクチュエーターが取りつけられており、ひずみゲージ、ベアリングモニター、パワーコンディショニング技術などを統合しています。ここで一番大きな課題は、これら何百ものタービン自体を統合することです。ウィンド・ファーム全体に分散型の制御システムを導入することが必要となります。

解決策:Siemens Wind Power (シーメンス・ウィンド・パワー)は、システムを統合するために、RTI Connext® DDSが提供する産業型インターネットベースのソリューションを採用しました。Connext DDSを使用した産業型インターネットを利用することで、タービン内での高速制御、アレイ全体にわたる突風の軽減、予測保守とビジネス診断のための統制センターへの統合が可能となります。

成果:RTI DDSミドルウェアが産業用インターネットベースのソリューションに電力を供給しているため、Siemensは最大500台の風力タービンでウィンド・ファーム・アレイを監視および制御することが可能になりました。
また、DDSのリアルタイム・メッセージングとサービス品質(QoS)の特性により、Siemensはウィンド・ファームを介して乱流を管理することができ、パフォーマンスと消耗が高度に分散された均一な運用環境を達成しました。
更に、RTI Connext DDSは、企業独自のアプリなど他のシステムとも円滑に統合することが可能である為、Siemensが遠隔でモニタリングを行い、ウィンド・ファーム運営上のトラブル・シューティングを行うことも可能となりました。

ヨーロッパにおいては、風力発電が2027年時点では、kWhをベースにした各電源の比較において、最大の電源になるという予測が報じられています。
このように、魅力的な風力発電ですが、最大の弱点がウィンド・ファームの立地が都市部から離れた平原や海上である為、部品やシステムに不具合が発生した場合に、その修理に膨大な費用が掛かることでしょう。しかし、石油依存からの脱却を目指す国々では、国が主体となって再生可能エネルギー関連企業を支援している場合もあり、風力発電にかかるコストも、1984年から2014年の間に7分の1程度にまで軽減されてきました。
今ではヨーロッパや中国だけでなく、中南米でも風力発電事業が拡大されてきており、今後もこの分野でのテクノロジーの進化は続くものと思われます。

≪参考資料≫
https://www.iiconsortium.org/case-studies/RTI_Siemens_Wind_Power_case_study.pdf
https://new.siemens.com/global/en/markets/wind.html
https://en.wikipedia.org/wiki/Wind_power