Made in China 2025成功のカギを握る半導体産業

Made in China 2025成功のカギを握る半導体産業 – 記事

一年ほど前、中国共産党の総務部は全土の政府各事務所に対し、所内で使用している既存のコンピューターのハード及びソフトウェア・プログラムを国内産のものに差し替えるにはどれくらいの時間が必要かという、デッドラインを報告するようにという指示を受けました。
他国産のテクノロジーに依存することでの情報漏えいを恐れる意味もありますが、自国がグローバル・テック市場におけるビッグプレーヤーの地位を確立するための地場固めの意味もあります。

この目標達成の成否を握るのが、中国の半導体産業であると言われています。
特に、2018年4月にアメリカ商務省が、中国最大のテレコム・ハードウェア及びスマホメーカーのZTEに対し、同社がイラン北朝鮮に対する制裁違反を犯したということを理由に、アメリカ産のテクノロジーコンポーネント及びOSの利用を禁止したことで、自国でのテクノロジー開発はMade in China 2025達成のための、最重要事項となりました。

中国の半導体産業の歴史


中国政府は1960年代には半導体に関する研究機関を設立していましたが、中国最初の国産チップが中国工程院のNi Guangnanを中心とするチームによって開発されたのは、1999年のことでした。
2000年、上海にGrace Semiconductor Manufacturing(グレース半導体製作所)が設立され、16億ドルのチップ工場をオープンしました。しかし、Graceが初めて利益を計上したのは2016年になってからです。

中国政府は半導体の国産化を進めるため、2014年6月に「国家IC産業発展推進ガイドライン」を公布しました。同ガイドラインでは、2020年までにIC産業の売上高の伸び率を年平均20%以上とする目標が設定されました。国内半導体企業への投資や世界に通用する半導体企業を育成するため、2014年9月に国家IC投資産業ファンドを立ち上げ、2018年3月末時点で計52社に投資をしています。その中には、ファウンドリの中国最大手である中芯国際(SMIC)、ZTEのICチップ開発子会社の中興微電子などの有力企業が含まれています。

中国半導体メーカー

中国産のCPUが世界市場の主流となるには、まだ時間がかかるようですが、世界の市場で注目を集める半導体メーカーも現れてきています。

Shanghai Zhaoxin Semiconductor(上海兆芯集成電路有限公司)

Zhaoxinは上海政府とVIA Technologies(VIAテクノロジーズ)のジョイントベンチャーで、2013年に設立されたx86互換CPUの製造企業です。Windows 10とも互換性のある国内初のx86互換CPUマイクロ・アーキテクチャを開発したと発表しました。
同社のSoC(システム・オン・チップ)は、Lenovoのラップトップなどで採用され、中国の政府機関などで主に使用されています。

Huawei Technologies(ファーエイ・テクノロジーズ)

世界最大のテレコム設備メーカーであるHuaweiは、2019年1月7日に、ビッグデータに対応するCPU及びサーバーをメディアにお披露目しました。
Kunpeng 920と名付けられたCPUは7ナノメートル・プロセスを使用することで、プロセッサー・パフォーマンスのベンチマークを25%向上することに成功しました。
同社のプレスリリースによれば、パフォーマンスの向上に加え、電力使用量を30%削減することにも成功したということです。
この新しいチップは、日本SoftBank Group Corp(ソフトバンク)傘下の英国チップ設計会社ARMのアーキテクチャをベースに設計されています。

Hangzhou C-SKY Microsystems(杭州中天微系統有限公司)

2018年4月に中国eコマースの最大手Alibaba Group(アリババ・グループ)傘下に組み込まれた、エンベデッドCPUの設計・製造企業で、2001年創業の、自社のインストラクション・セット・アーキテクチャを採用した、中国で唯一の組み込みCPUボリュームプロバイダです。
Alibabaは同社を買収することで、自社でのチップ開発始動の足掛かりをつかもうとしています。

現在中国の半導体製造市場は、外国勢である韓国Samsung Electronics(サムソン)と米Intel(インテル)の3D-NANDフラッシュメモリ量産工場、韓国SK Hynix(SKハイニクスD)RAM量産工場が主流となっています。
中国工程院のNi Guangnanの言葉を借りれば「デスクトップやラップトップに使われるCPUの中国の技術は、技術先進国に比べ10年は後れを取っており、ZTEに対するような技術移転の禁止措置が取られたら、すべての計画が簡単に崩れてしまう」、という状態です。中国がこの分野で世界のリーダーになるという目標を達成するためには、最新製造技術や知的財産権の確保に加え、国内での人材育成が重要な課題となります。

知的財産権保護のための中国の最近の取り組み

海外企業が所有する知的財産権の中国での流出は、米中貿易摩擦論争で大きな焦点の一つとなっています。アメリカが強く主張するこの懸念を払しょくする手立てとして、全国人民代表大会常務委員会は外国企業が保有する知的財産権保護及び、海外企業が中国企業に投資する際に技術移転を強要しないことなどを含む、法整備を早急に進めていることを、2018年12月24日付のSouth China Morning Post(南華早報)電子版が伝えています。
これは、2015年に商務局が発表したドラフトの改定版です。2015年当時の改訂版は、法制化までには至っていませんでした。前回と比べ大きく前進したのが、知的財産権の保護を明文化していることです。

中国政府は、米国との貿易戦争などの外的リスクを相殺するために、経済の安定化と国内市場の発展を最優先事項としています。
2019年初頭から、米中の貿易摩擦に対する活発な再交渉の動きが見られ、この結果が半導体のような高度技術を必要とする分野にどのような影響を与えるのかが注目されます。

≪参考資料≫
https://www.scmp.com/business/article/2165575/made-china-2025-how-new-technologies-could-help-beijing-achieve-its-dream
https://www.scmp.com/tech/big-tech/article/2180942/huawei-unveils-cutting-edge-chips-and-servers-aimed-handling-big-data
https://www.scmp.com/economy/china-economy/article/2179368/china-drafts-law-protecting-foreign-intellectual-property-and
https://www.scmp.com/business/china-business/article/2147434/chinas-long-march-soul-nations-digital-future-faces-ever
https://en.wikipedia.org/wiki/Zhaoxin
http://en.c-sky.com/

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