Industry 4.0から始まる第4の産業革命の現状を紐解く

Industry 4.0から始まる第4の産業革命の現状を紐解く – 記事

Industry 4.0と第4の産業革命を同じものであるとする考え方も、異なるとする考え方もあります。その中では、Industry 4.0の主目的が製造業のデジタル化・自動化を促進するものであるのに対し、第4の産業革命は製造業以外の産業も対象としている、というのが最も単純化した定義かと思われます。勿論、現在ではIndustry 4.0は製造業で培った手法をそれ以外の産業でも活用していることは広く知られていますので、その差はごく小さなものである、といえるでしょう。
最近の海外のネット記事でもIndustry 4.0と第4の産業革命を同一のものとした前提のものが多くみられます。
今回は、このIndustry 4.0と第4の産業革命の現状とその可能性について、Deloitteが行った世界11か国のエグゼクティブを対象とした調査結果を中心に紹介します。

Deloitte(デロイト)グローバルサーベイ

世界最大の会計事務所の一つであるDeloitteが、世界11か国の製造業やオイル&ガス、マイニング及びパワーセクターのエグゼクティブ360人以上に行ったデジタルトランスフォーメーションに関する調査結果が、2018年10月に発表されました。

この調査結果によれば、組織は事業にインパクトを与えるデジタル・トランスフォーメーションの可能性に期待はかけていますが、戦略、サプライチェーン・トランスフォーメーション、人材の準備度、投資へのけん引役の4つの分野で組織の計画と行動がハーモナイズされていないことが明らかになりました。
4つのパラドックス(戦略、イノベーション、サプライチェーン、人材)に関する調査結果のまとめは以下のようになります。

戦略パラドックス

回答者の94%はデジタル・トランスフォーメーションは組織にとって至上命題だとは理解しています。同時に68%の全回答者(50%のCEO)はこれを利益を増やす方策であると考えています。これは、調査回答者が事業の改善を戦略的成長と関連付ける可能性がある一方で、研究開発主導の新製品やビジネスモデルに起因する収益の成長をデジタル化と関連付けるとは限らないことを示しています。
多くの人は、デジタル変革をビジネスを成長させるのではなく、保護するための「防御的な」投資と見なしているようです。小さな規模から始めて、防御的な支出以上の投資を行うことで、新しい組織の能力が解き放たれ、組織がイノベーションへの道を進むことになります。

イノベーション・パラドックス

デジタル・トランスフォーメーションは基本的に生産性の向上とオペレーションのゴールを達成するための手段だと理解されています。これは、突き詰めて考えると、テクノロジーを活用して既存のタスクをより効果的に完了することです。
ただし、イノベーションへの欲求が高まるにつれて投資効果(ROI)が向上する可能性があるため、組織は投資の推進力を拡大する必要があります。ほとんどの組織は、まずIndustry 4.0のテクノロジーを採用して、既存の事業の進め方の効率を高めようとします。
しかし、投資の重要な推進力としてイノベーションを採用している競合他社から取り残されるようになるにつれて、クロスロードに立たされることになります。
調査結果からは、イノベーションを重視している組織は、運用や生産目標に重点を置いている組織と同じくらいデジタル変換からの大きなROIを認識していると報告しています。
ここから、Industry 4.0の手法をイノベーションに活用する重要性が見えてきます。

サプライチェーン・パラドックス

調査に回答を寄せたエグゼクティブの多くが、将来の投資分野の筆頭にサプライチェーンを挙げています。しかし現状を顧みると、サプライチェーンをイノベーションの源だと考えているのは34%にしかすぎず、チーフ・サプライチェーン・オフィサー(CSCO)の中でサプライチェーンがデジタル・トランスフォーメーションの意思決定においてカギとなると考えているのは22%に過ぎません。組織がデジタル化に成功するためには、CSCOの役割を高め、サプライチェーン機能をより広い戦略目標の範囲内で調整するように努めるべきでしょう。

人材パラドックス
調査回答者は、デジタル・トランスフォーメーションを推進するにあたって組織内には十分な人材がそろっていると答えています。デジタル化に対応するために大胆なスタッフ構成の変更が必要になると回答したのは全体の15%に過ぎません。
しかし、適切な人材の確保、トレーニング及び再教育は組織や文化が直面するデジタル化の課題の最大のものの一つだと思われています。
自らがデジタル・テクノロジーを日ごろから使用している度合いが高いほど、組織内には十分な人材がそろっているという回答率が高いことが分かりました。

Industry 4.0活用のカギ

インダストリー4.0の可能性を引き出す鍵は、意思決定を促進するためにコネクテッドアセットからの情報を完全に活用することです。これは、フィジカル – デジタル – フィジカル(PDP)ループとして知られるプロセスです。回答者の90%は、自分の組織はフィジカルの世界からデータを収集していると答えていますが、これを実際に解析する能力が組織内に備わっていると答えたのは、その半数程に過ぎません。
デジタル・トランスフォーメーションに投資する初期の目的は、このPDPループを完成させることでしょう。
Deloitteの調査から、対象となった製造業、パワー、エネルギーセクターなどでは、Industry 4.0がもたらす可能性に対する理解は得られていることが分かりました。
より関連性が高く、即応性があり、インテリジェントなオペレーションを構築することで、障壁を乗り越え、インダストリー4.0が理想とするものを真に具現化する道筋を見出すことができることでしょう。

≪参考資料≫
https://www.manufacturingtomorrow.com/story/2018/10/unlocking-the-potential-of-the-fourth-industrial-revolution/12339/
https://www.forbes.com/sites/bernardmarr/2018/08/13/the-4th-industrial-revolution-is-here-are-you-ready/#c038265628b2
https://en.wikipedia.org/wiki/Fourth_Industrial_Revolution
https://www.i-scoop.eu/industry-4-0/fourth-industrial-revolution/
https://www2.deloitte.com/global/en/pages/energy-and-resources/articles/the-industry-4-0-paradox.html#