ドイツにおける「ロボティックプロセスオートメーション」の歴史:定義や概念、また今後の展望 – その②

1.「ドイツ」にて「RPA」による企業向けサービス

システムの効率化が進んでも、自動化ができないことが残っていました。たとえば複数のアプリケーションを操作して、それぞれのアプリケーションに同じ内容を別々に入力をするといった作業は単純でも、運用が複雑なオペレーションなどですが、RPA (Robotic Process Automation) を導入することで自動化が可能になりました。人間がそれまで行なってきた、キーストロークやマウスクリックなどの単純作業を、ソフトウェアロボットが代行したり代替してくれるのです。

RPAでは明確な規則に従った高頻度、大量、単純な反復作業が向いています。ここで例を挙げてみましょう。ある業務システムでは得意先のマスタデータが変更されると、複数のデータベースで手入力で更新する必要がありました。1日に何度も発生する単純なコピーアンドペースト作業です。RPAでならその作業をまるで魔法を使ったかのように、次々と同期します。そして人間はもっと重要な仕事に注力することが可能になります。

コンサルティング企業のPwCではRPAの生産性について、ビジネスを最大30%増やしながら、コストを最大75%削減すると発表しています。当然のことですが、ソフトウェアロボットは1日24時間1年365日作業することが可能でエラーも起こしません。人間のように休憩は必要なく、産業ロボットのように油をさす必要もありません。

代表される著名なRPAプレイヤーのほとんどは、UiPathのようなアメリカ企業ですが、ドイツに現地法人を設けて、同じサービスをドイツ企業に提供しています。

そしてRoboyo、ALMATO、EUROGROUP Consulting のようなRPAサービスを手がけるドイツ企業が成長しています。こういった企業では、大手RPA企業の認定トレーニングパートナーになったり、導入コンサルタントを担当しています。

2. 「ドイツ」にて「RPA」を使用した消費者向けサービス

ネットショッピングの普及で顧客は自宅にいながら、速やかに注文した商品を受け取れるようになり、顧客の購買意欲が高まりましたが、企業側での手作業での処理は変わることがありませんでした。商品が注文されればされるほど処理には繁雑になり、人件費によりコストが大幅に増加しました。

RPAを使用するとこの処理プロセスを自動化できるようになります。従業員によって注文が確認されると、ソフトウェアロボットは注文を文書化し、自動的に基礎となるデータベースの在庫を調整します。さらに顧客への請求額の自動支払いを手配することができるのです。

ソフトウェアロボットはまた24時間365日、迅速で便利なカスタマーサービスを可能にします。顧客が注文を出すとすぐにロボットはそれを記録し、顧客に処理の状況と予定配達時間に関するリアルタイムの更新を送信しますが、配達してプロセスが終了にはなりません。さらには注文後に顧客からフィードバックを得ることも可能になり、顧客満足度向上につながるのです。

3. 「ドイツ」での「RPA」導入企業例

ドイツでもここ1-2年でRPAを導入する企業が急速に増えています。ここで事例紹介を共有したいと思います。なお1つ目はドイツ企業ですが、2つ目はヨーロッパ企業ということでご了承下さい。

1.ドイツの大手保険会社

A社では、複雑なビジネスプロセスと販売組織を通じて年間80億ユーロの保険料を処理しています。A社にとって変化の激しい保険市場で競争力を維持するための唯一の方法は、可能な限り費用対効果の高い方法で、商品を提供できる運営力を追求することでした。

しかし従業員が手作業に要する時間は企業の収益性を損なうものであり、改善が求められていました。さらに新たな地域への事業拡大により、業務プロセスは繁雑になり、顧客を満足させられるサービス提供が困難になりました。単純で繰り返される業務オペレーションを最適化し、人員を追加することなく、ますます複雑化する業務プロセスを円滑に運用するために、A社ではオーストリアTricentis社のTricentis RPAを導入することになりました。

Tricentis RPAはITに強くない従業員でも簡単に操作ができました。その結果手作業だった20のプロセスが自動化ができ、フルタイムで働く従業員8人は単純作業から解放され、クライアントサービスなどの、より戦略的な仕事に時間を避けるようになりました。

2.製造業のヨーロッパ企業

B社ではベンダーのマスターデータ管理の過程で、複雑なデータ検証セットを実行できる自動化ソリューションを実装しようとしていました。このプロセスにはヨーロッパ28カ国および非ヨーロッパ諸国のベンダーの作成、変更、ブロックの延長、重複チェックさらに各国の様々な規格の検証が含まれます。

自動化する以前このプロセスは完全に手作業で行われていましたが、エラーが発生しやすく運用コストが高くなっていました。さらに SAPでの仕入先処理では、複数の事前チェックを実行する必要がありました。

そこでB社ではUiPathの導入を決めました。その結果全てのフォームからデータを自動的に抽出し、各国の規格を検証し、SAP における確認プロセスまで自動化しました。 自動化によりプロセスは合理化され、効率性はマニュアルエラーと再作業時間の100%削減により向上し、データ処理と運用パフォーマンスの品質が即座に向上しました。

4. 「ドイツ」での「RPA」の今後の展望(企業側の変化)

ドイツ企業の従業員を対象にした調査によれば、2人中1人の回答者がRPA導入のメリットを理解していることがわかりました。またISG Automation Index によると、米国、英国、フランス、ドイツの調査対象企業の約72%が、2019年までに本番稼働またはパイロットプロジェクトのテストとしてRPAを使用したいと考えていました。この理由は明白です。ソフトウェアロボットは速く、柔軟で持続可能であるので、RPAの可能性は間違えなく莫大です。しかしRPAで成功するためには、明確な戦略と包括的な方法論が必要です。

ドイツでは大企業を中心にRPAの導入が増えていますが、期待した成果を挙げられていない会社も多々あります。うまくいかない企業の問題点は準備不足とRPAの機能に対する知識不足でした。

RPAの導入はプロセスの理解やビジネスケースの検証の欠如とともに、誤ったプロセスの選択によってひどく妨げられたり、失敗することさえあります。成功には、徹底したプロセス分析と強固なガバナンスの枠組みが必要です。

RPA導入の前に全社での業務プロセスや全従業員の役割など見える化し、RPAに代替させる業務を明確にする必要を理解する企業が増えることで、RPAは本来の役割を果たせるのです。

5. 「ドイツ」での「RPA」によって今後どんな暮らし方になっていくのか(消費者側の変化)

RPAを導入すれば、BPOより低コストでより信頼性の高い代替手段であることを認識できます。つまりBPOベンダーが提供するより低いコストで業務を行えることになるのです。スイスのある調査会社によれば、BPOベンダーの費用は、アメリカイギリスオーストラリアのRPAライセンス費用よりも約90%高くなり、RPAソリューションはフィリピンを拠点とするBPOベンダーよりも約50%、インドのオフショア労働者よりも34%安いことを明らかにしています。ドイツでも多くの企業がBPOに委託していた業務を、社内運用に切り替えていくことが考えられます。

RPAは決められたルールでの作業は得意ですが、例外処理はできませんし、自分で判断を下せません。社内に業務が戻ってきたならRPAを「教育」する人間が必要になりますので、BPOに職を奪われた人に仕事が戻ってくると想定できますが、単に元の仕事に戻るのではなくて、単純作業からは解放され、より戦略的な仕事内容になるでしょう。

その他の点としては、すでにお話したネットショッピングなどのオンライン取引は、学習したRPAによりさらに迅速に正確になるため、商品が届くまでいらいらすることが減ります。企業側では単純作業から解放された社員が、顧客対応に前より時間がかけられるようになりますので、顧客サービスの向上につながることでしょう。

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