【CEATEC JAPAN 2017 海外企業】Nichi-In Software Solutions Pvt. Ltd.

CEATEC_nichiin01
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インドと日本をつないで20年あまり、製造業をITで効率化

Nichi-In Software Solutions Pvt. Ltd.(以下、日印ソフトウェア)は、1997年に設立されたインドの企業です。親会社は日本の株式会社エヌ・ディー・アールで、20年あまり日本とインドの架け橋として事業を展開してきました。オフショア開発(日本の親会社から海外企業へのアウトソーシング)を中心に、インドの日本法人に対する業務システムの導入、アプリケーションの開発、システム保守、技術者の派遣などが主な事業です。

社員数は105名、そのうち日本に25名は日本に勤務しています。現地の技術者70名の約20名は、英語と日本語のバイリンガルです。インドと日本をつなぐために、さらに人材採用を強化し、英語と日本語に堪能な技術者の育成と派遣に力を入れています。

CETEC JAPAN 2017に出展したきっかけは、イベントの目的が大きく変わったこと。去年まで、IoTのスタートアップ企業に出展社が限られていました。しかし、日印ソフトウェアは約20年もの実績があり、もはやスタートアップ企業ではありません。今年はスタートアップに限定せず、インド企業のパビリオンが設けられました。そこで日本におけるブランドイメージを維持することと、集客を目的として出展を決めたそうです。

代表取締役兼CEOのS.N.Giri氏にお話をうかがいました。

スクラッチによる開発など、豊富な導入実績

日印ソフトウェアの事業は多岐に渡ります。ソリューションでは、ERP、BI、CRM、プロセス・ワークフロー管理、人事管理などの業務用アプリケーション。さらにカスタムエンタープライズアプリやクラウドアプリケーションを開発しています。また、既存システムの移植やローカライゼーション、グローバリゼーションも事業領域のひとつです。

日本では、ソニー株式会社や三菱電機株式会社をはじめとした大企業に導入実績があります。三菱電機株式会社の場合、インドのファクトリーオートメーションのソフトウェア開発を担当しました。NC加工やシーケンサのデータバックアップなどに関わる案件です。インドの各現場から要求されるさまざまな要求に迅速に対応したこと、高品質だったことが評価されています。

「日本の文化を理解し、日本のクオリティで技術開発を支援できることが、われわれの強みです。コミュニケーションを密にして、相互理解のもとにPDCAサイクルを回しつつ、品質の向上をめざしています」

S.N.Giri氏は、そう語ります。

多くの製造業では、ERPなどのシステムを導入するとき大手ベンダーを採用します。グローバル対応だからグローバルなシステムがよいだろう、という発想です。しかしながら、実際には導入したものの、うまく稼働させることができずに、頭を抱えている企業も少なくありません。

たとえば大手ERPベンダーのシステムは、導入にも保守にも莫大な費用がかかります。しかし実用性を考えると、製造業の現場では最小限の機能さえあれば充分です。したがって、現場で要求する内容にもよりますが「何を求めているのか」を充分に理解して、日本の本社から要求された内容を理解し、現地で的確な指示を出せる企業が心強いパートナーになります。

日印ソフトウェアでは、スクラッチで独自の在庫管理システム、在庫予測計算ツール、生産管理システムを開発した実績があります。つまり、それぞれの企業の要望に合わせたシステムを柔軟に開発することが可能です。

日本の製造業に求めることは「早期決断」と「仕様の確定」

日本の大手メーカーから信頼されている日印ソフトウェアですが、S.N.Giri氏は日本の製造業の課題を2つ挙げました。

「まず、意思決定が遅いことが問題です。導入を検討する時間がかかりすぎます。決断できずに導入を諦めてしまう企業がたくさんあることが残念です」

変化の激しい現在のIT環境でビジネスを成功させるためには、チャンスを掴んで迅速に行動に移すことが重要です。

国内企業に発注するのであればともかく、海外企業に対する発注は慎重になります。特に製造業の場合、巨額の設備投資が必要です。技術革新も速いため、悩んでいる間に環境が変わってしまうことがあるでしょう。しかしながら早期決断ができないと、せっかくのチャンスを見送ってしまうことになります。

「次に仕様が変わってしまうこと。最初にいただいた仕様書はA4判の1~2枚に過ぎなかったのに、開発している間に次々と追加が膨らんで、納品したけれど赤字ということがありました」

日本のIT関連企業も同様の悩みを抱えている問題かもしれません。当初の要件定義になかった追加案件が続いて、困惑している開発者も多いのではないでしょうか。日印ソフトウェアでは、お客様の問題ではなく、技術者の理解力が足りなかったために失敗したこともあったそうです。しかし、その失敗を糧に努力してきました。

かつては、完全な設計後に開発に着手するウォーターフォール型と呼ばれる開発手法が主流でした。しかし、この方法のデメリットは、システムが完成したときには、外部環境は変わってしまっていることです。そこで最近は、工程をいくつかに分けて実装とテストと修正を繰り返してリアルタイムで開発する、アジャイルの手法を日印ソフトウェアでも用いているそうです。

「うまくいかなかったか理由は丸投げ状態に対して、こちらも確認をしなかったからです。オフショア開発の成功のカギは、密接なコミュニケーション。そのためには日本語による、いわゆる報・連・相のようなコミュニケーションははもちろん、文化の理解も必要になります」とS.N.Giri氏。

自社の競合となる企業について「大手開発会社はライバルではない。中小企業がライバル」と考えているとのこと。たとえばベトナム企業と価格競争になったとしても、インドの企業には充分な優位性があると話されていました。

モバイルで管理するスマートホテルの開発も展開

製造業とは少し離れますが、IoTの活用の取り組みとして、インドのホテル向けに客室の予約、オンラインチェックイン、ドアのロック解除、チェックアウトまでスマートフォンやスマートウォッチで管理できる「StayInSmart」をご紹介いただきました。

各部屋には専用コントローラを設置し、テレビのボリュームやエアコンなどを一元管理できます。ルームサービスの注文や、近くのイベントの検索、タクシーの手配も可能です。現在、IoTの分野では、Amazon Echoを筆頭にスマートホームで各社がしのぎを削っています。日印ソフトウェアの提供するシステムは、いわば「スマートホテル」ともいうべきソリューションです。

「日本はモノづくり、つまりハードウェアは優秀であると考えています。しかし、ソフトウェアの面では、ユーザーに魅力的なソリューションがあまりありません。今後はIoTのような、ハードウェアとソフトウェアを連携したサービスが増えていきます。日本のハードウェアをわれわれがソフトウェアで支援して、最新の技術でモノづくりを変えていくことができるといいですね」

海外企業に開発を依頼した経験がない製造業の企業には、欧米に比べて「インドは遠い」という思い込みが多いそうです。しかし、バイリンガルの教育に注力している日印ソフトウェアは信頼できる企業という印象を感じました。

「日本には数多くの需要があると感じています。日本のSMB(Small and Medium Business:中堅・中小企業)のゲートウェイになりたい。中国やベトナムのような安いオフショア開発ではなく、日系企業が海外に進出するときのパートナーになることが理想です」

日本で成功すること。それがS.N.Giri氏の夢です。