建物の効率的な利用と資産活用の最適化のために、IICが東芝ディープラーニングファシリティから学んだこと

建物の効率的な利用と資産活用の最適化のために、IIC東芝ディープラーニングファシリティから学んだこと – 記事

2017年第3四半期のNavigant Research(ナビガント・リサーチ)によるスマートビル及びスマートシティの調査によれば、世界規模でのこの分野の市場は2017年当時の36億ドルレベルから2026年までには102億ドルに成長することが予測されています。
企業や都市にとっては、経費の削減のみならず環境保全の観点からも自社ファシリティや都市におけるエネルギーの効率的な活用は重要な課題です。

しかし、東芝デジタルソリューションのソフトウェア&AIテクノロジーセンタ―、チーフスペシャリスト、Ken Hatanoは「エネルギー効率のためには、IoTは重要な成功要因ですが、大規模なビル群に何千ものセンサーを設置し、周辺条件や人の動き、部屋の利用状況などを追跡することは、大変複雑な挑戦となります。」と語ります。
「スマートビルディングは、オペレーション効率を向上し、メンテナンスコストの削減や、資産の有効活用を最適化させます」とDell EMC(デルEMC)のSaid Tabet博士は指摘します。

この課題への取り組みが、IICディープラーニング・テストベッドとして、日本の川崎にある東芝の施設で展開されました。

ディープラーニング・テストベッド概要

ディープラーニング・テクノロジーはソフト・ハードの両面で大きな挑戦を含んでいます。
複数の情報源からの膨大なデータを必要すると同時に、ドメインの専門知識、データサイエンス、そしてニューラル・ネットワークの知識が必要となります。
このテストベッドでは、ディープラーニングのために特別にコンフィグされた、高度なハードウェアとソフトウェアを実装し、このディープラーニング機能を膨大なデータからニューラル・ネットワーク・モデルを教育するために活用します。

参加メンバー企業:東芝、Dell EMC

課題:商業ビルにおけるエネルギー効率は重要な要件で、次世代ビルはエネルギーの需要と供給を最適化し、エネルギー消費量を削減することを目標に、慎重に設計されます。しかし、建物の設備は複雑で又その敷地も広大なものに及ぶことがあります。
それをカバーするためには、様々な種類のセンサーが必要となります。エネルギー効率を達成する目的で、多数のセンサーと監視対象資産から実用的な洞察を引き出すことは、なかなか手ごわいタスクです。
これらの膨大なデータセットを処理し、実用的な洞察を引き出すことができる計算能力の最近の進歩は、上記の達成を可能にしており、これがテストベッドの主な焦点を作成しています。

目標:このテストベッドでは、ニューラル・ネットワークを利用したディープラーニングで次世代のスマート・ファシリティ・ソリューションを実現することを目的としています。ニューラルネットワークは、人間の脳の働きを模倣する数理モデルを指します。
テストベッドでは、特にエネルギー効率、資産の有効活用とメンテナンスに焦点をあてています。又、電力を消費するサービスを調整することでエネルギー効率を向上させ、待ち時間と周囲の気候制御に関連してビジター・エクスペリエンスの改善も目指します。
さらに、テストベッドは最適なディープラーニングのテクニックとベストプラクティスの識別を追求します。
究極的には、IICのその他のメンバー組織が、個別のスマートファシリティでのユーズ・ケースにこのテストベッドの結果を活用できるレバレッジを生み出すことを目指します。

東芝のテストベッド施設概要:川崎市の東芝スマートコミュニティーセンターに設置されたテストベッドでは、毎分35,000の測定データポイントを分析し、建物のアセットメンテナンスの最適化を目指します。
この膨大な量のデータを処理し解析するにはAIの活用が欠かせません。ここでは、オート・エンコーダー機能を活用し、大量のセンサデータから自動的に非定常状態を検出し、その要因を推定する技術を開発しました。
大量のデータを扱う際の学習時間の短縮の必要性に関しては、Dell EMCの超高速ストレージ技術と、東芝の高速並列分散処理技術を組み合わせることで、学習処理の高速化を実現しました。

東芝のディープラーニングへの取り組み

東芝では、今後益々必要になってくるであろうデジタル化の波に対応するために、モノに関わるAI『東芝アナリティックAI-SATLYS』、と人に関わるAI『東芝コミュニケーションAI-RECAIUS』を開発し、普及に努めています。
SATLYSでは、ディープラーニングの活用により、識別、予測/推定、制御の3つの価値を提供します。
適用領域は;エネルギー産業での安定化・高効率化を目指した需給予測や供給安定化、アセット最適化及び災害時の早期復旧;安全で安心な社会インフラの為の予防保全、防犯・防災、サイバーセキュリティ;物流における作業効率の改善、在庫の適正化、輸送ルートの最適化;快適で省エネを実現するビルや施設の為の異常予兆検知、状態基準保全、快適性向上と同時に省エネを実現;モノづくりの現場における品質・生産性向上など、様々な業態で活用されています。

日本におけるAIやディープラーニングは、米中に後れを取っていると言われていますが、IICのテストベッドなどの機会を最大限に活用することで、世界中に日本企業の技術を周知させていくことが可能になる機会がこれからも増えていくことでしょう。

≪参考資料≫
https://www.iiconsortium.org/press-room/12-03-18.htm
https://www.iiconsortium.org/deep-learning-facility.htm
https://www.toshiba.co.jp/iot/en/index.htm

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