マシーンラーニングで製造現場の稼働率の向上を図る-インダストリアル・インターネット・コンソーシアム

マシーンラーニングで製造現場の稼働率の向上を図る-インダストリアル・インターネット・コンソーシアム – 記事

ミルクが切れているのを教えてくれる冷蔵庫とか、常に室内を快適な温度に保ってくれるエアコンなど、私たちの暮らしにIoTデバイスがどんどん浸透してきていますが、IoT専門家によれば、現在のIoT関連の収入の70%ほどが産業界から生み出されているということです。

接続された様々な機械から発信されるデータを収集・解析・活用することで、企業はその活動をより効率的で、データに基づいて迅速に正しい決断を下せるものにするために、努力を重ねています。現在、産業型IoTの恩恵を最も受けているのが製造業でしょう。

旧式で異なるシステムを使って稼働している機械同士を接続し、取り付けられたセンサーから収集される大量のリアル・タイム・データを瞬時に解析することで、機械の自動化や工場のオペレーションの円滑化、部品の搬入や製品の搬出などの最適化を図ります。
このような工程で、近年ますます注目を集めているのが、マシーンラーニングによる機械の予測メンテナンスです。

マシーンラーニングとは

マシーンラーニングという言葉は、1959年にアメリカの人工知能研究の権威として知られるアーサー・サミュエル氏によってはじめて定義された、コンピュータ・システムが特定のタスクにおいてパフォーマンスを徐々に向上させるために使用する、アルゴリズムと統計モデルの研究を指します。マシーンラーニング・アルゴリズムでは、タスクを実行するようにとプログラムされなくても予測または決定を行うことができるように、「トレーニングデータ」として知られるサンプルデータの数学的モデルを構築します。データの中に存在するパターン・規則などをアルゴリズムを基にしてコンピューター自らが学習し、新たに入力されたデータのもたらす結果を予測することを可能にします。

1990年代に入ると、マシーンラーニングは独自の分野として認識されるようになり、AIから離れ、より統計学・確率学的なものとしてとらえられるようになってきました。
製造業におけるマシーンラーニングの真骨頂は、最適化=機会損失の最小化、といえるでしょう。しかしながら、Fabricators & Manufacturers Association(ファブリケータ―&製造業者協会)によれば、企業は予測メンテナンスについて話題にはするものの、実際にこれを採用し、充分に活用するには至っていない、と指摘しています。
Industrial Internet Consortium (IIC)では、マシーンラーニングを活用した予測メンテナンスのテストベッドを通して、機会損失の最小化に取り組んでいます。

IIC予測メンテナンスのためのマシーンラーニング・テストベッド 

このテストベッドは、2017年9月にPlethora IioT(プレトーラIioT)及びXilinx(ジリンクス)主導で開始されました。

その他参加企業にはBosch(ボッシュ)、Microsoft(マイクロソフト)、Titanium Industrial Security(タイタニアム・インダストリアル・セキュリティ)、National Instruments(ナショナル・インストルメンツ)などが名を連ね、工場の自動化、OT及びITセキュリティ、エッジ及びクラウドでのマシーンラーニング及び解析、タイム・センシティブ・ネットワーキング、データ収集、スマートセンサー・テクノロジー、デザインの実装、エンベッデド・プログラマブル・SoCテクノロジー、認証の安全性の確保、などに取り組んでいます。その後2018年3月にMXPro(MXプロ)が参加を表明しました。

この革新的なテストベッドでは、マシーンラーニング・テクノロジーを探究し、迅速な対応がカギとなる予測保守のためのアルゴリズムアプローチの評価を行います。
ダウンタイムは、製造業者に毎分22,000ドルの損失を与えるともいわれているため、計画外のダウンタイムを削減することは企業にとって大変重要な課題です。このテストベッドが成果を上げれば、製造業は従来の“不具合が起こるたびに対応する”スタイルから予測メンテナンスへと移行することが可能です。計画外のダウンタイムを最小化し、システムオペレーションの最適化が実現され、エネルギ―効率の向上や機械の寿命を延ばすことも可能になります。

マシーンラーニングでは、収集したデータを基に予測を行うだけでなく、随時学習を繰り返し“ヒット&ミス”を記録することで正確度を増していきます。

予測メンテナンスの経済効果

McKinsey Global Institute(マッキンゼー・グローバル・インスティテュート)のIoTに関する調査報告書によれば、予測メンテナンスの経済効果は2025年までに2,000億ドルから6,000億ドルに達するであろうと言われています。又、予測メンテナンスにあらかじめ予算をつけて取り組むことは、実際に不具合が発生した時に予算外の出費が発生するよりも、経営にとってはメリットが大きいのは明白です。

予防メンテナンスから予測メンテナンスへ

機械のメンテナンスは、製造業においては最も重要な企業活動の一つです。
製造業における機械のメンテナンスに関しては、予防メンテナンスと予測メンテナンス、という考え方があります。予防メンテナンスでは、タスクは機械をシャットダウンすることで実行されますが、予測メンテナンスにおいては、機械が正常に稼働している間にメンテナンスを実施するため、ダウンタイムによる製造機会の損失やコストの増大を防ぐことができます。

IBMは、IoTに関する自社のブログの中で、予測メンテナンスから最高の効果を引き出すためには、メンテナンスのフォローアップの為のレギュラー・スケジュールをキープすることが重要で、明確なベンチマークを基準とした機械のモニタリングが欠かせない、と語ります。
予測と予防にあらかじめ費用を割り当てるほうが、いざ不具合が起きてから多大な損失を被るよりも、長期的な利点が大きいことは明らかでしょう。

≪参考資料≫
https://en.wikipedia.org/wiki/Machine_learning
https://www.iiconsortium.org/press-room/09-18-17.htm
https://www.controldesign.com/articles/2017/understand-iiot-technology-for-a-smart-factory-future/
https://www.prnewswire.com/news-releases/xmpro-joins-industrial-internet-consortium-smart-factory-machine-learning-testbed-300615361.html
https://www.controldesign.com/articles/2017/understand-iiot-technology-for-a-smart-factory-future/
https://blog.seebo.com/predictive-maintenance-machine-learning/
https://en.wikipedia.org/wiki/Predictive_maintenance
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1687814017751467