開発競争の場は宇宙に-Made in China 2025の宇宙開発への取り組み

開発競争の場は宇宙に-Made in China 2025の宇宙開発への取り組み – 記事

日本ではそれほど大きなニュースの扱いにはならなかったようですが、2018年12月8日、世界で初めて月の裏側への着陸を目指す中国の無人月探査機『嫦娥(じょうが)4号』が、中国四川省の西昌衛星発射センターから打ち上げられました。中国政府は今年8月の段階で、年内に月の裏側に向けて探査機を打ち上げる、という計画を明らかにしていたので、これが達成された形となりました。

2018年5月5日にアメリカ、NASAが打ち上げた火星探査機Insight(インサイト)が、11月26日に火星に無事着陸したというニュースが流れてからわずか3週間余り後の出来事で、貿易競争だけでなく宇宙開発の分野でも米中の競争が激化しているという印象を世界に与えました。
航空宇宙整備は、Made in China 2025の重点分野では第3番目に位置付けられています。

中国の宇宙開発の歴史

わずか数十年前には、中国が世界の科学分野で話題に上ることは稀な出来事でしたが、現在では、中国のこの分野での調査に関する出費や科学分野での出版物は、アメリカに次ぐ世界第2位に躍り出ています。
このような中国の宇宙開発の歴史は、1970年4月26日に打ち上げられた球面衛星 Dongfanghong 1号から始まります。その後も宇宙開発の研究は続けられていましたが、この活動の大半が秘密裏に行われていました。これは、NASAなどとは異なり中国の宇宙開発が軍部主導で行われていたことと関連があるでしょう。

中国の月計画の主任設計者であるWu Weiren教授は、初の海外メディアとのインタービューとなるBBCとのインタビューで「中国の宇宙開発計画は、その他の取り組みとは異なり、失敗することが許されない」、と語りました。「アメリカやソ連は月の表側に何度か着陸を成功させているが、月の裏側に着陸を成功させた国はまだない。中国はそれを行う」、とも語っています。また、月だけでなく火星への探査にも熱意を見せています。

有人探査機の分野でも、2003年にYang Liweiが中国人初の宇宙飛行士となって以降、さらに9人が宇宙飛行士として成功しています。
中国の月探査計画は3フェーズで構成されており、第1段階が付き軌道への到達(2007年に嫦娥1号、2010年に嫦娥2号により成功)、第2段階が月への着陸(2013年に嫦娥3号により成功、今回の嫦娥4号もこのフェーズに入る)、そして第3が嫦娥5号/6号により月面からのサンプルを収集して地球に持ち帰ることです。2030年代には友人の月面着陸達成も計画の一部に含まれています。

中国はなぜ月を目指すのか

中国の月探査部門と深海探査部門のOuyang Ziyuan教授は、2013年嫦娥3号が月に無人探査機の着陸を成功させるに先立ち、海外メディアに対して「月はヘリウム3やエネルギー源となる魅力ある場所だ」と語りました。このソフトランディングは1976年にロシアが無人探査機を月の表面に着陸させて以降初めての成功例となりました。
中国の月探査への挑戦には3つの動機があるとOuyang Ziauan教授は語ります。
第1が、自国の技術開発、月探査にはIT、コミュニケーション、マテリアル開発など多くの分野での最先端の技術が必要とされ、この分野でのR&Dは綜合的な国の技術力の強化につながると考えられています。第2は、地球以外の場所での資源や進化を学ぶことで地球に対する理解を深める、ということ。第3が人材育成です。

嫦娥4号

嫦娥4号はランダーと月面ローバーを搭載し、嫦娥計画第二段階の一部として打ち上げられました。2016年1月に国家国防科技工業局によって公開された計画の概要によれば、まずラグランジュ点(L2)に中継衛星を配置することが計画され、鵲橋と名付けられた中継衛星は、嫦娥4号に先駆ける形で同年5月20日に打ち上げられています。嫦娥4号の月面着陸は2019年1月3日に予定されています。
本ミッションの目標は、ミッション期間中の月の表面温度の測定、月の岩石と土壌の化学組成の測定、低周波ラジオ天文観測と宇宙線の研究、ソーラ・コロナの観測及びその放射特性とメカニズムの調査、太陽と地球の間のコロナ噴出(CME)の進化と輸送を探る、ことです。

中国の宇宙開発の未来

宇宙開発の共同事業に関して、中国から何度かアメリカに働きかけが行われていますが、アメリカは一貫して、これを拒否しています。この理由として、アメリカは中国の宇宙開発が、軍部主導で行われていること、中国によりアメリカの最高機密が盗まれることを懸念しているからだと、と伝えられています。
中国はヨーロッパやロシアと宇宙開発の部門での協力も目指していますが、アメリカのこのスタンスが障害となっています。
中国が現在できうることは、単独で宇宙開発を行うことです。

2011年9月には天宮1号の打ち上げに成功し、同年11月に神舟八号がドッキングに成功しました。その後、2016年9月15日にもスペース・ラボのプロトタイプ天宮2号の打ち上げに成功しています。
中国政府は科学分野への投資を2020年までにGDPの2.5%とすることを目標にしており、昨年12月に再び有人探査機の月面着陸を目指すと発表したアメリカとの間の開発競争が益々熾烈になるものと思われます。

≪参考資料≫
https://multimedia.scmp.com/news/china/article/made-in-China-2025/index.html
https://www.google.bg/search?rlz=1C1CHBF_enBG820BG820&q=china+moon+mission+2018&sa=X&ved=2ahUKEwjsl-jzlqffAhUrpYsKHVhODkYQ1QIoAHoECAMQAQ&biw=1600&bih=758
https://en.wikipedia.org/wiki/Chang%27e_4
https://www.bbc.co.uk/news/resources/idt-0192822d-14f1-432b-bd25-92eab6466362
https://www.bbc.com/news/25141597

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