すべてはより良いカスタマー・エクスペリエンスのため-小売業界テストベッド

すべてはより良いカスタマー・エクスペリエンスのため-小売業界テストベッド – 記事

製造業の効率化・デジタル化が進みより安価で高性能の製品が生産されても、輸送手段の無駄を省いてより迅速で安全に製品が売り場に届けられても、消費者が直接製品に接し購買の選択を下す小売りの場で素晴らしいカスタマー・エクスペリエンスを提供することができて、初めて第4の産業革命が真の意味での成功を収めたといえるでしょう。

77%の小売業者はIoTがカスタマー・エクスペリエンスを変革したと感じており、2016年の段階ですでにIoTを導入していた小売業者の89%が顧客の行動や心理へのより深い理解を得ることができたと感じています。また、既にIoTを事業で導入している小売業者の77%が、製品やサービスの提供において異業種とのコラボの機会を得た、と回答しています。

小売り現場の現状

現在小売り現場で活用されているIoTテクノロジーには、様々なものがあります。
RFIDタグを利用することで、棚卸の正確さは99%を超え、欠品による販売機会損失も50%向上し、2-7%の売り上げ上昇に貢献している、という結果が出ています。
スマート・ミラーやスマート・マネキンなどを利用して、ショッピング客に合わせた商品の提案を行い、個々のカスタマー・エクスペリエンスを演出したり、セルフチェックアウト・カウンターを備えてレジでの待ち時間の軽減を図ったりしています。

売り場のセキュリティに関しても、センサーやセキュリティ・カメラを活用することで、売り場での事故や盗難の予防、早期対応に効果を発揮しています。
小売業で成功するためには、顧客のし好をより迅速で正確に把握して、それを商品やサービスに反映することが大切です。
スーパーマーケットやデパートでは、ショッピングカートに取り付けたセンサー機能で、顧客の動線を把握したり、レシートからの情報で売れ筋商品のパターンを探ったりしています。
ここから一歩進んで、Industrial Internet Consortium(IIC)は、NECの顔認識システムを利用した小売業でのビデオ解析テストベッドを実施しています。

NEC顔認識システム

顔認識システムとは、監視カメラのデジタル画像から人を自動的に識別するためのコンピューター用アプリを指します。その基本的な機能は、ライブ画像内の顔と思われる部分を抜き出し画面画像データベースと照合することで、識別を行うことです。

NECは1989年より顔認証技術の研究開発を開始しました。2009年に米国国立標準技術研究所(NIST)主催のベンチマークでNo.1の評価を得て以来、3回連続で世界No.1の評価を獲得しています。また、2017年には動画顔認証でもNo.1を獲得しました。

NECの顔認証システムは、日本国内のみならず、2016年よりジョン・F・ケネディ国際空港で入国審査用の顔認証システムとして採用されているほか、オーストラリアでの州警察、ユニバーシアード台北大会、ロスアンゼルス郡保安局などでも活用されています。

小売業におけるビデオ解析テストベッド

このテストベッドでは、NECとそのエコシステム・パートナーが、エッジセンサー、ゲートウェイ、ユーザー・コミュニケーション・デバイスとエッジ・ビデオ解析を利用して、IICのオープン・ホリゾンタル・テストベッド・プラットフォームの提供者Microsoft(マイクロソフト)のクラウドインフラ、Azure、を介して、顔認識システムを実施し、顧客の購買動向の分析などに役立てようというものです。

参加メンバー企業:NEC、Microsoft
課題:小売業での事業変革を、ビデオカメラやビデオストリーム解析、マシーンラーニング・アルゴリズムなどを利用して支援する。
解決策:NECの顔認識システムとビデオ解析技術を利用することで、ショッピング客の年齢や性別などの統計資料を収集し、これをもとにデータ解析ソフトがショップのロイヤルティー・メンバー向けのおすすめ商品を選出します。
Brierley+Partners(ブライレイ+パートナーズ)がビッグデータ、リアルタイム・ラーニング、文脈と予測解析、ショッパーの買い物行動などを提供します。

市場における実益:ショップを訪れた人々のカスタマー・エクスペリエンスを向上させ、より洗練されたチェックアウト・システムを可能にし、解析結果の活用により需要予測と在庫管理戦略を強化が実現できます。

大型ショッピングセンターは至る所にオープンしていますが、どこのショッピングセンターでもテナントは同じようなブランドで、差別化を図るのが難しくなっています。
ビデオ解析技術を活用することで、カスタマーが本当に望む商品やサービスを提供することができれば、ショッピングセンターの過当競争に勝利する、または差別化を図ることで共生が可能になるなどの利点が考えられます。
第4の産業革命が、最終消費者まで正しく到達する最後の関門である小売業には、さらなる進化の可能性が多く秘められています。

≪参考資料≫
https://www.iiconsortium.org/vertical-markets/retail.htm
https://www.iiconsortium.org/retail-video-analytics.htm
https://www.i-scoop.eu/internet-of-things-guide/internet-things-retail-industry/
https://jpn.nec.com/solution/face-recognition/about.html
https://en.wikipedia.org/wiki/Facial_recognition_system