『レトロアメリカ』産業からの脱却を目指して - マイニング・セクターでのデジタル化

『レトロアメリカ』産業からの脱却を目指して - マイニング・セクターでのデジタル化 – 記事

アメリカではマイニング(石油・ガスも含めた鉱物産業)は巨大産業です。2000年には2,180億ドルの総生産量でしたが、2016年には倍以上の4,880億ドルを記録しました。

2008/09年のリーマンショックの際には、雇用者数が1割ほど落ち込みましたが、その後盛り返しを見せ、2014年には2009年当時の3割増しの84万人強がマイニングセクターで働いていました。オバマ政権下でのクリーン・パワー・プラン及び、21世紀に入ってからの石炭生産量の低下などで、このセクターでの雇用者数は2016年には61万人にまで落ち込みましたが、化石燃料重視の政策を推進するトランプ政権の誕生により、2017年には微増を達成しています。

マイニング産業はその規模と大掛かりな機器を必要とする重厚長大産業の典型です。また、地球温暖化対策などによりアメリカ以外の国々ではこの産業の規模の縮小や他のエネルギー源への転換が積極的に模索されています。

マイニング産業は金の卵?

マイニング産業は、典型的な資産集約型の産業です。機械のサイズや寿命などの理由から今までは超近代化の波からは遅れた、レトロ産業だと理解されてきたことも事実です。
しかし、IIoTの進化により、旧型の機械へも最新のセンサーなどの最新技術を装着できるようになったことなどから、マイニング産業はより安全で生産性の高い産業に生まれ変わろうとしています。

マイニング産業が抱える課題は、資産および人材管理、ロボティックス、人と機械の安全性、車両のモニタリングとトラッキング、遠隔での現場モニタリング、プラントと機械のデータ解析とマシーン・ラーニング、などです。
ここでは、『コンディショニング・モニタリング及びメンテナンス』のテストベッドを紹介します。

コンディショニング・モニタリング及び予測メンテナンス(CM/PM)のテストベッド

インダストリアル・セクターの組織(エネルギー、オイル&ガス、マイニング)では、数多くの旧型の機械が現在でも現役で利用されています。Wall Street Journal(ウォールストリート・ジャーナル)に掲載されたMorgan Stanley(モルガン・スタンレー)の記事によれば、現在使用されているインダストリアル・セクターでの機械はほとんどが少なくとも10年以上は使われている、ということです。このような状況下で、テストベッドでは予測メンテナンスの実現を模索しました。

参加メンバー企業:IBM(アイ・ビー・エム)、SparkCognition(スパークコグニション)
SparkCognitionは、AIシステムを構築する企業で、IBM、GE(ゼネラル・エレクトリック)、Google(グーグル)などとパートナシップを組み、センサーとIoT時代のオペレーションの効率化やシステムの安全性の向上などの支援を行っています。

課題:マイニング産業で利用されている機械は大型で老朽化が進み、そのメンテナンスは高価であるだけでなく、マニュアルの検知が頼りで、その修理には機械を扱う経験が豊富な熟練工を必要とします。

解決策:マルチ・ベンダーで、クラウドベースの予測メンテナンスを提供し、新しいビジネスモデルを証明します。
テストベッドでは、機械を継続的にモニタリングすることで、パフォーマンスの低下や故障などの初期のサインを見逃さないことの重要性を利用者に理解してもらうことを目指しています。CM/PMではまた、最新の解析テクノロジーを利用して、企業が問題を発見するだけでなく、オペレーション&メンテナンス担当者に積極的に問題解決策を提供します。

CMでは、機械に取り付けたセンサーを利用してリアルタイムでのデータのモニタリングを可能にします。PMは解析技術を利用することで、差し迫った起こりうる問題を早期に検知し、オペレーター、メンテナンスやIT担当に解決策を提案します。
このような予測メンテナンスの手法を利用することで、既存の定期的メンテナンスに比べ、費用の軽減やダウンタイムの減少を達成することが可能です。
更に、 複数の機械やプロセスからのデータを組み合わせることで、問題があったり最適でない機械の全体へ与えるインパクトをより深く把握することができ、事業に影響を与える前に問題を特定し解決するプロセスの確立も可能です。

市場の実益:新しい予測メンテナンス解析モデル技術の開発;ドキュメント・スタンダードとアーキテクチャ・パターンの確保及びインダストリアル・インターネット時代での予測麺店ナンスのデータフォーマットを確保します。

アメリカにおけるマイニング産業の未来図

2018年10月、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、早ければ2030年には産業革命以前に比べて、世界の平均気温が1.5度上昇するという特別報告書を発表しました。地球全体の二酸化炭素排出量を2030年までに2010年比45%減らし、石炭使用をほぼ全て中止し、バイオ燃料作物の生産に700万平方キロを使う必要があるという警鐘を鳴らしました。

11月にはアメリカ政府自身が、気候変動に関する報告書を発表し、「温室効果ガスの排出増加が歴史的なペースで継続していることを受け、米経済の分野によっては今世紀末までに年間損失額は数千億ドルに達する見通し」など、地球温暖化の悪化が経済活動に与える影響などを詳述しています。
地球温暖化を真っ向から否定しパリ協定からの離脱を発表したトランプ政権は、化石燃料重視の政策をとり続けています。しかし政権が代われば、この政策も大幅に見直される可能性もあり、マイニング産業は現政権が続く間に最大限の努力を図り、オペレーションの効率化、安全性の向上などを成し遂げる必要があると言えます。

≪参考資料≫
https://www.iiconsortium.org/vertical-markets/mining.htm
https://en.wikipedia.org/wiki/Mining_in_the_United_States
https://www.energy.gov/eere/amo/mining-industry-profile
https://www.statista.com/statistics/193416/gross-output-of-total-us-mining-industry-since-1998/
https://www.statista.com/statistics/193214/employment-in-total-us-mining-industry-since-1998/
https://iclg.com/practice-areas/mining-laws-and-regulations/usa
https://nma.org/
https://www.statista.com/statistics/215790/coal-mining-employment-in-the-us/
https://www.sparkcognition.com/company/

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