第4の産業革命による必要な労働力のシフトにどう対応するか

第4の産業革命による必要な労働力のシフトにどう対応するか – 記事

GM(ゼネラルモーターズ)は11月26日に、米国内の5つの工場を閉鎖し、14,000人の従業員を解雇する計画であることを発表しました。売り上げの芳しくないセダンのモデルを廃止し、今後は人気のトラックや4輪駆動部門及び、電気自動車・自動運転車の研究開発を事業の主力とすることをその理由としています。アメリカの景気が順調な時期だからこそ、あえての英断であるとGM首脳部は語っています。

これに対して、トランプ大統領は激しい不満を表明し、GMへの支援金の停止、外国車への輸入関税の増額などのオプションをツイッターを通じて矢継ぎ早に発言し、GM首脳部に工場閉鎖を思いとどまるように圧力をかけていることも明らかにしています。トランプ大統領の理論を簡単にまとめれば、競争相手の製品が高くなりさえすれば、旧態依然の業界であってもそこで生産される製品への需要は相対的に上がり、そこで働く従業員も同じ仕事を定年まで続けることができ、安定雇用が確保される、ということになります。

果たして、これが本当に国の経済の競争力の向上、継続した発展、を可能にするのでしょうか?

Industry 4.0と労働市場の変化

Industry 4.0はスマート工場の実現とともに、労働市場に変化が訪れることは当初から指摘しており、現在働いている労働者市場を今後必要とされる分野で再教育・トレーニングを施すことの重要性も説いています。

Siemens(シーメンス)のCEO、Joe Kaeserは2018年7月16日付のThe Guardian(ザ・ガーディアン)電子版の記事の中で、AIや工場での自動化が進んでいけば、現在の労働市場の3分の1が職を失うことになるだろうと警鐘を鳴らしています。Kaeserは同じ記事の中で、新しい環境に応じたトレーニングを現在の労働市場が受け、新しい需要に対応することの重要性も強調しています。

Tesla(テスラ)創業者のElon MuskもAIが広く実用化されることによる、労働市場の変革について触れています。Muskや、Facebook(フェースブック)の創業者 Mark Zuckerbergは、グローバル規模でのベーシック・インカムの保証の重要性にも一歩進んで言及しています。

AI・工程の自動化・デジタル化で消える職業・新たに需要が出る職業

製造業に限定した場合、スマート工場が本格的に導入され必要がなくなる職業の筆頭として挙げられるのが、単純組み立て作業でしょう。工場の自動化が進めば、組み立て作業はすべて機械が行い大規模組み立て工場でも必要とされるのは、数人のメンテナンス要員くらいとなるでしょう。センサーにより、機械の不具合なども遠隔で察知することができ、また予防メンテナンスの実施により、計画外の操業停止率などは大幅に減少します。
また、AI・マシーンラーニングなどにより、単純なデータ入力スタッフなども必要なくなります。
逆に必要となるのが、正しく機械に指示を出すことができる、プログラマー、AIが行うデータ解析を精査し、判断を下すエンジニアなどでしょう。

Industry 4.0 - 仕事・教育・トレーニングのワーキング・グループ

Industry 4.0により新しい職業が生まれ、既存の職業に変化が生まれるということを理解し,
未来の仕事の世界を誰にとっても働き甲斐のあるものとするために、企業家から従業員までのすべてが参加する、変化のプロセスの創造と推奨を目指しています。
『仕事・教育・トレーニング』のワーキング・グループの目標は、変化の先を読んで、それに対応できるよう、ソーシャル・パートナーとプロアクティブな行動を起こすことです。

ワーキング・グループは、”Shaping the Digital Transformation Within Companies – Examples and Recommendations for Action Regarding Basic and Further Training(企業内でのデジタル・トランスフォーメーションの形成 – 基本的なトレーニングと訓練に関する行動の例と推奨事項)”を発表しました。これは実際の企業とそこで働くスタッフの参加型プロジェクトで、この中では5つのポリシーを推奨し、企業に対して6つのアクションを勧め、16のベスト・プラクティスの実例を紹介しています。実例では、Boschボッシュ)が実践するクラウドベースの個人ラーニングシステムや、Siemens(シーメンス)の取り組みなどが紹介されています。

また、ワーキング・グループは、雇用主と雇用者が対等の立場でこの課題に取り組むことを推奨しています。

労働市場の将来

Industry 4.0は中小企業からの雇用主や従業員が参加する部会を設けており、そこではAIや組織や今後必要となる資格などに関して深い研究や議論がなされています。
IoTの普及により世界中どこにいても、情報の中核と繋がることが可能になった現代では、旧態依然の業態や働き方が生き残っていくのはとても難しいことです。
会社の首脳部だけでなく、企業で働くスタッフがそれぞれの立場から、変化への対応力を磨いていくこと、そして産業がその機会を組織とそこで働くスタッフに対して提供していくことが、今後の生き残り競争では大切な要因になってくると思われます。

≪参考資料≫
https://www.forbes.com/sites/phillevy/2018/11/26/whats-bad-for-general-motors-is-bad-for-america/#3c06d5701d68
https://www.cnbc.com/2018/06/18/elon-musk-automated-jobs-could-make-ubi-cash-handouts-necessary.html
https://www.theguardian.com/business/2018/jul/15/global-workforce-will-be-decimated-by-fourth-revolution-says-siemens-boss
https://en.wikipedia.org/wiki/Industry_4.0
https://www.plattform-i40.de/I40/Redaktion/EN/Downloads/Publikation/digital-transformation-training.pdf?__blob=publicationFile&v=6

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