旧式の巨大製造業施設を救え-スマート製造業の為のブラウン・フィールド向けコネクティビティ・テストベッド

旧式の巨大製造業施設を救え-スマート製造業の為のブラウン・フィールド向けコネクティビティ・テストベッド – 記事

Industy 4.0やインダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)が目指すのは、スマートファクトリーの実現のみならず、原料から製造、輸送、小売り、そしてカスタマーまでのすべてのバリューチェーンをコネクトし、リアルタイムデータの収集/解析を行い、事業/サービスン効率化や向上を図ることです。

この理想的な地図を完成させる際にネックとなるものの一つが、旧型の機械やシステムを何十年も使い続けている製造業施設(ブラウン・フィールド)です。しかし、製造業の現場が変革することができなければ、すべてのバリューチェーンを包括したデジタル化の実現は不可能です。

この課題に注目したのが、IICのスマート製造業のコネクティビティ・テストベッドです。
2016年にこのテストベッド『Smart Manufacturing Connectivity for Brown-field Sensors Testbed(スマート製造業の為のブラウン・フィールド向けコネクティビティ・テストベッド)』です。このテストベッドの結果が今年11月に発表されました。
今回は、このテストベッドを紹介します。

製造業におけるブラウン・フィールドとは

最初の産業革命がに思いを馳せる時、私たちがイメージするのは、重厚長大な鉄製の大型機械です。
しかし、現在まさに私たちが経験している第4の産業革命では、製造業はこのイメージから最も離れたところで存在しています。スマートでインテリジェントな機械が、産業界レベルにおいても日常生活レベルでも、私たちの生活をより快適なものにしてくれます。

しかし、インダストリアル・スケールの機械は高額で大掛かりなものが多いため、これを導入することは企業にとって大きな投資/リスクとなります。大型機械の耐用年数は長いため、(たとえ機械の寿命が近かったり、寿命を超えていたりしても)、企業は簡単に機械を買い替えることはできません。機械を交換することでの企業への財政負担も大きなものとなります。
また、このような機械が往々にして、固有のシステムを使用しており、従来のテクノロジーでは、他社製品や他のネットワークとの汎用性がないこともその特徴として挙げられるでしょう。

スマート製造業の為のブラウン・フィールド向けコネクティビティ・テストベッド

「このテストベッドの対象となった製造業では、製造サブ・システムは通常プログラマブル・ロジック・コントローラー(PLCs)によって管理されており、これがセンサーから提供された様々なデータを活用しています。」

とTE Connectivity(TEコネクティビティ)社のマイケル・ヒルガー博士は語ります。

「しかし、ほとんどのブラウン・フィールドでは、このPLCsがすでに時代遅れになっており、現状以上のデータ量を処理することが不可能になっているのです。」

これに対処するために、テストベッドは既存のI/OモデルをYゲートウェイに交換することを試みました。

テストベッドの概要

参加企業:TE Connectivity、SAP SE
課題:PLCをリプログラムしインターフェイスを実装し、データにアクセスすることを可能にするには、以下の問題があることが分かりました。

先ずブラウン・フィールド施設では、PLCは通常最初に設定された環境下のみで作動されており、このプログラムが変更されることは稀です。これは、変更には膨大な時間がかかり、この作業にかかわるスタッフの変化への対応力には明らかに限界があるであろうことを示します。
さらに、コストの問題から、PLCはその企業の環境に正確にマッチするものだけが選択されており、追加のタスク(例えば追加のインターフェイスを介してデータの交信を行うなど)を実行する能力がない場合があります。

解決策:このテストベッドでは、センサーをリアルタイムの自動システムに接続するIOモジュールを、センサーデータを抽出して、OPC UA(IEC 62541)を介して追加の通信チャンネスを使ってITシステムに転送するゲートウェイで置き換える、代替えソリューションを実装します。Yゲートウェイと呼ばれるこのシステムは、既存のコネクティビティを再利用して、オープン・スタンダードに基づいた共通デバイスモデルを使用して、IO-LinkセンサーとITの容易な統合をサポートします。これにより、センサーを遠隔でコンフィグすることが可能になります。この、共通デバイスモデルは、SAP Manufacturing Integration and Intelligence (サップ製造統合&インテリジェンス、SAP MII)の製造データオブジェクトを介して実装することが可能です。

市場における実益:旧式の機械にも対応できるハードウェア・ソリューションは企業にとって大きなコスト節約を可能にします。また、共通デバイスモデルは、旧型システムを簡単に新しいITシステムと統合させることを可能にします。
そして、企業にとってリアルタイムのデータを入手できることは、より正確で効率的なデータ解析を可能にし、より革新的なアプリの開発を可能にします。

Robert Bosch Middle East(ロバート・ボッシュ・ミドルイースト)のVolker Bischoffは、旧式の機械に高速のコネクティビティが付加されることで新たな利益を生むと答えます。Bischoffによれば、高速コネクティビティに投資する費用で生産性は向上し、投資に費やした金額も18か月ほどで回収できるということです。
インターネットなどのおかげで製造業のマーケットが世界規模となった現在、旧式の機械やシステムに大規模な投資を行い新規に投資を行うことを躊躇している企業にとっても、既存のシステムを活用できるこのテストベッドの結果は投資額を抑えながら競争力を維持できる、朗報であると言えます。

≪参考資料≫
https://www.iotevolutionworld.com/smart-factories/articles/440407-iic-announces-results-smart-manufacturing-connectivity-testbed.htm
https://www.iiconsortium.org/smart-connectivity.htm
https://www.te.com/usa-en/about-te/news-center/iic-testbed-on-sensor-to-the-cloud-connectivity.html
https://www.entrepreneur.com/article/290501

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