次世代情報通信技術-中国は世界市場をリードできるか?

次世代情報通信技術-中国は世界市場をリードできるか? – 記事

イノベーション駆動、品質優先、グリーン発展、構造改革、人材育成の重点化を5つの基本方針とするMade in China 2025ですが、その優先分野の第一として挙げられているのが、次世代情報通信技術です。
実は、中国の次世代情報通信技術への取り組みは、Made in China 2025計画が発表されるかなり以前から重視されていました。
今回は、中国の次世代情報通信技術への取り組みの歴史と現状、将来の予測を行いたいと思います。

Chia Next Generation Internet(中国次世代インターネット)

2003年に中国政府は、China Next Generation Internet (中国下一代互联网、CNGI)という5か年計画を中華人民共和国国家発展改革委員会を始め、教育省などの政府機関の共同事業として始動させました。
CNGIが目指したのは;中国の次世代インターネットのバックボーンの構築;カギとなるネットワーク・テクノロジーの開発;次世代インターネットの機器とソフトウェアの産業化とアプリ開発の推進;世界的な機構への参加を果たしその規格制定に関する重要な役割を果たすこと、でした。中国はこの成果を、2008年の北京五輪で世界に発表することに成功しました。

製造強国となるためのIT/IoT戦略 - Internet +(インターネット・プラス)

中国政府は、2025年までに製造大国から製造強国になり、さらに2035年までに製造業の分野で日本ドイツを超える目標を達成するためには、端末、IC、5G、ストレージ、サーバー、OSなどを重視しすることが必至であると認識しています。

この分野に特化された政策がインターネット・プラスです。このコンセプトは、中国のIT業界の企業家で、Tencent(テンセント)のCEO、Ma Huateng(馬化騰)が2013年に初めて提唱したものです。これを政府が採用し、Li Keqiang(リー・クチアン=李克強)首相が正式に国家戦略として発表したもので、インターネット+製造業、インターネット+金融、インターネット+医療システム、インターネット+政府など、従来はあまりインターネットが活用されていなかった業界にもクラウド・コンピューティングやビッグデータの活用を推進しようというものです。この戦略は、中国を製造強国とするために必要であるというだけでなく、新たな経済活動を促進し、イノベーションが実現できやすい環境の創造にも貢献します。

ここで、著しく利用が拡大したインターネット環境を保持するために必要なのが、高速インターネットサービス、5Gで、中国はこの分野でも競争の主導権を握ろうと邁進しています。

製造強国となるためのIT/IoT戦略 - 中国の5G戦略

世界最大のスマホ市場を誇る中国では、1兆1,000億人が4Gネットワークを利用しています。これは、アメリカインドネシアロシア日本ドイツをすべて合わせたよりも多い数字です。手軽にスマホでネットにアクセスできる巨大なマーケットを背景に、中国ではデジタル・エコノミーがブームを迎えています。ネット・ショッピング、ソーシャル・ネットワーキング、ビデオや映画の視聴などです。

しかし、世界ではワイヤレス・コミュニケーション・テクノロジーの開発が活発に行われています。より高速なインターネット、通信費用の軽減、大容量情報の交信などを可能にする5Gテクノロジーにかかわる機会を中国が見逃すわけにはいきません。

デジタルの時代において、ビッグデータは石油のような価値を持ち、これを支える5Gは重要なパイプラインです。中国では2012年、4Gが国内に紹介される2年前にすでに5Gテクノロジーの研究を始めていました。2020年の第2四半期までに5Gの商業利用を開始するために、中国は2017年以来政略的な計画を遂行しています。この計画によれば2019年第1四半期までに、5Gトライアル・ネットワークの構築が完了する予定です。

5Gテクノロジーの開発と実用化は中国以外でパテントを有する国との交渉力を強化することが期待されており、テレコム機器の製造業者や、チップメーカー、その他サプライチェーンでの製造コストを軽減すると期待されています。

世界市場の40%のシェアを誇る世界最大のテレコム機器メーカー、Huawei(ファーエイ)やZTEは5Gプロジェクトの推進が世界市場でのこれら企業の競争的地位を保持するものになることを願っています。

米中貿易摩擦

このような中国の積極的な世界市場戦略に最も危機感を募らせているのがアメリカです。U.S. Chamber of Commerce(商工会議所)は、2017年に『Made in China 2025 – Global Ambitions Built on Local Protections(メイド・イン・チャイナ2025-国内保護の上に構築された世界への野望)』と題する報告書を発行しました。この中で商工会議所は、中国がR&Dやイノベーションに国を挙げて取り組むのは、国力の発展の軌跡を考えると自然な流れであると述べたうえで、アメリカと中国の持つ難しい競争・競合・共存関係を指摘したうえで、メイド・イン・チャイナ2025に対してアメリカ産業が持つ懸念を表明しています。

トランプ政府も、メイド・イン・チャイナ2025を中国経済に対する政府の不当な介入である、と批判しています。ペンス副大統領も『北京(中国政府)は競争相手である他国、特にアメリカ、の犠牲のもとに自国の製造業ベースを構築している』(オンライン版サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、2018年10月16日)と中国の姿勢を批判しています。

アメリカはまた、自国が関税などで中国に制裁を加えるだけでなく、カナダオーストラリア、日本などの友好国に対しても、ファーエイの提供する5Gテクノロジーなどを採用しないようにとの圧力をかけています。
中国は、自国内ではGoogleなどを排除し、自前のネットワークのみを提供しているため、当面のところは自国内に5Gを提供するだけでも十分な市場規模が確保できます。

しかし、今後の世界展開に関しては、現在批判を繰り返すアメリカが自国でどれほど安価で安定した5Gネットワークを提供できる技術開発が実現するか、も大きな焦点になるかと思われます。

≪参考資料≫
https://en.wikipedia.org/wiki/China_Next_Generation_Internet
http://www.globaltimes.cn/content/1114342.shtml
https://www.uschamber.com/sites/default/files/final_made_in_china_2025_report_full.pdf
https://www.scmp.com/tech/enterprises/article/2168665/made-china-2025-5g-offers-worlds-biggest-mobile-market-chance-seize
https://multimedia.scmp.com/news/china/article/2168346/china-2025-internet-5g/index.html?src:article-launcher
https://en.wikipedia.org/wiki/Internet_Plus

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