【IoT用語集】Scientific Automationとは?

はじめに

SuAut =Scientific Automationとは、ドイツBeckhoff社によるファクトリーオートメーションのソリューションの一つです。制御・数値測定・モニタリングの機能をPCベースで実現することに成功しています。
より早く、より正確に、そしてダウンタイムをできるだけ0に近づけるのがファクトリーオートメーションが目指すところですが、特にこのソリューションは「正確性」「フィードバックの速さ」において特筆すべきものとされています。
ファクトリーオートメーションは、現在でもPLC(プログラマブルロジックコントローラー)によるものが主流です。しかし、Beckhoff社はファクトリーオートメーションにPCによる制御を持ち込むことに成功しました。EtherCATシリーズのソリューションがその源流となるソリューションです。
なお、EatherCATは、オープンネットワークの中で下位層フィールドネットワークに属し、制御機器と、フィールド機器間をデジタルネットワークでつなぐためのプロトコルです。この技術がベースになって開発されたTwinCATソリューションは、制御機能のソフトウエアへの取り込みまで行っています。

SuAutの構成要素

SuAutの構成要素として、「強力なCPU、高速I/O、高速EtherCATバスシステム、TwinCATソフトウェアなど、ベッコフのPCベース制御テクノロジが、サイエンティフィックオートメーションに必要となる基盤を提供します。」とあるように、1.イーサネットによるオープンプロトコルであるEtherCAT、2.制御機器をつなぐTwinCATソリューションといった2つのベッコフ社ソリューション製品とともに、サーバクライアントサイドでも高速CPUと高速I/Oが重要な構成要素となります。

EtherCAT
EtherCATソリューションは、制御機器とフィールド機器をつなぎ、結果として、ソリューション全体の制御機能の拡張することに成功しました。ネットワークに各種制御装置をつなぐことにより、機械の安定性を図るためのモニタリングやNC加工に利用される数値制御など、コントローラーとなるPCで複雑な多岐にわたる制御とモニタリングを行うことができるようになっています。
各制御機器の性能を高速化すると同時に、フィールド用イーサネットで数種の制御機器とモニタリング計測装置、そしてサーバをシームレスにつなぐことができるようになったために、リアルタイムの制御およびフィードバックを可能にしています。

TwinCAT
オープンネットワークにおいて、制御機能への拡張は当初EtherCATでPLC等をの機器をつなぐことからスタートしましたが、ソフトウェアにおいて拡張機能を搭載することが今度は模索されました。結果開発されたソリューションがTwinCATソフトウェアシリーズです。従来ではPCによる制御は、リアルタイムレスポンス・セキュリティ・動作の安定性には欠けるものと長らく信じられていましたし、過去の制御機器を資産として有効活用する観点から、ソフトウェアによる制御にはあまり積極的な動きがみられない時代が続きました。しかし、2000年代にはいると、Ethernet ベースでオフィスオートメーションとの近接傾向を見せるオープン化の流れの中で従来の指向が薄れていくことになりました。
そうして登場したベッコフのTwinCATにより、例えば大きなファクトリーオートメーション機器を保有しない中堅製造業者も、従来より容易に自動化の促進を図ることができるようになりました。しかも、このTwinCATの利用を核とした一連のファクトリーオートメーション向けソリューションは、従来の制御機器性能よりもはるかに精度が高く、かつ生産性が高いとされ、現在ではファクトリーオートメーションの基盤技術となっています。

強力なCPU
データの高速処理のために、CPUの演算能力が高く、CPUそのものが高速であることは欠かせないとされます。しかし、オープン化されたフィールドネットワークは、CPUをマルチコアにして、演算結果を他のCPUが参照することも可能です。PCに搭載されるCPUそれ自体も高速化が進められています。

高速I/O
制御装置の出入力はPLCにおいても高速化・多機能化が進んだ領域です。Scientific Automationにおいては、サーバとクライアント間のI/Oの高速化が図られています。読み込み・書き出しについて、リアルタイムで行われないと、ファクトリーオートメーションの世界では安全性・信頼性が損なわれてしまいます。ベッコフ社は、データI/O強化モジュールの提供により、I/Oの高速化と信頼性の担保を行っています。

SuAutのインパクト

多彩な制御機能と、精密な計測機能を実現するSuAutですが、ベッコフ社だけでなく、他のベンダーにおいてもこれらの制御と計測のコンビネーションを志向するソフトウェアソリューションの開発を模索しています。また、従来の制御機器・ロボットメーカーも、TwinCATとの組み合わせで機能拡張を行うことを模索するなど、オープン化やハードウェアからソフトウエアへの流れが加速しているといえるでしょう。

まとめ

上記に見たように、制御・計測のコンビネーションをソフトウェアソリューションとして提供できるようになったことは産業界へ大きなインパクトを与えることになりました。中心となっているベンダーであるドイツベッコフ社は、It’s OWLのメンバー企業であり、ドイツ政府の推進するIndustry 4.0を推進する中核企業です。 今後の世界の製造業全体への影響の広がりにも注目したいと思います。

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