【IoT用語集】Twin CATとは?

【IoT用語集】Twin CATとは? – 記事

はじめに

TwinCATは、ファクトリーオートメーションにWindows 汎用機による制御技術を応用し、PCソフトウェアで、PLCによる制御、NC(数値制御)/CNCコントローラ、モニタリングディスプレイおよび操作デバイスの機能を提供するBeckhoff 社(ドイツ)によるソフトウェアソリューション製品群のことです。制御機能だけでなく、モニタリング機能やバックアップ機能・計測機能など、一連のTwinCAT製品群があり、需要に応じて各種オプションを選んで購入・利用することが可能です。最新の製品群はTwinCAT3製品群です。

Beckhoff社は、インターネット用のEthrenetを利用した下層バスユニットEtherCATにより、制御機器とオフィス用のインターネットをつなぐソリューションを従来より提供してきました。
同社はEtherCATを中核技術として、さらに制御用の機器がなくても、複雑・正確・高速で制御を行うことを目的にTwinCATを開発・提供するに至りました。低コストで制御性能が極めて高いソフトウェアソリューションが市場に登場することとなりました。

TwinCATの特徴

  1. TwinCATはWindowsによるファクトリーオートメーションソリューションです。
    したがって、PLCのようにラダー図によるプログラミングに依存するのではなく、BASICやC言語による拡張開発も可能です。Windows NTに始まり、すべてのWindowsOSと互換性があります。また、組み込み用のコンピュータにも対応しています。
    プログラミングシステムとランタイムを1台または複数台のPCにインストールして利用することが可能なので、台数分のCPUを活用し、動作の安定性を容易に確保することができます。また、他のプロセッサの動きが異常である場合、かかる異常値を出したCPUの処理をスキップして、異常値を取り込まずに制御指令を出し続けることも可能です。
  2. TwinCATは制御・計測機器を代替することができます。
    代表例として、PLCやNCをあげることができます。また、センサを接続して計測機器の機能を持たせることも可能です。また、コントローラデバイスもPCの操作に吸収することができました。
  3. 各種Windows対応ソフトウェアとの互換性もあります。
    そのためCADや各種シミュレータ、解析ソフトウェアなど、多数のソリューションを統合することが可能です。
  4. 従来型のPLCやNCの接続も可能です。
    すべてのWindowsシリーズや、従来のPLCやCNCともインターフェースを介した互換性があるので、工場の資産を最適化することが可能です。もともとオープンなEtherCATの技術をベースに開発されているので、フィールドバスとしての機能およびフィールドバス相互の互換性ももそのまま活用されています。
  5. 検証が容易です。
    オフィスオートメーション用のソリューションは、制御ノードから他のノードにリアルタイムで指令が伝わり、かつ、ダウンタイムが限りなく0に近いものでないと安全性・信頼性が確保できません。この点、Twin CATはソフトウェアが正常に機能しているかどうか、自ら検証するシステム診断機能を備えています。専用のテスターなどを利用して検証する必要はありません。
  6. システムクラッシュや停電に強い機能を備えています。
    システムクラッシュにより、PCがブルースクリーン状態になった場合でも、しばらくの間リアルタイム制御を利用することが可能です。また、無停電装置があれば、一度メモリにロードした動作を参照して、システムダウンを防ぐことも可能です。もちろん、PCやバックアップメモリをこの状態で使い続けることはできないので、バックアップPCや電源の設定をすることが必要になりますが、当面の間システムクラッシュ等に対応する手段がすでにソリューションの機能として提供されています。
  7. 通信において、TCP/IPプロトコルと、フィールドバスの双方が利用可能です。
    TwinCATはEthernetを利用していることから、インターネットの通信方式であるTCP/IPプロトコルが利用できます。またEtherCAT技術を利用していることから、とくにバスターミナルコントローラなどとの接続を介して、各種インターフェースの利用により他のフィールドバス対応機器との接続を行うことも可能です。
    また、ファクトリーオートメーションは技術上の限界から、従来は工場の1ラインをコントロールすることが最大の適用範囲として想定されていましたが、TCP/IPプロトコルを用いると、リモートによる操作や監視も可能になります。例えば、世界中の工場の生産をリアルタイムで管理することもソフトウェア上で可能です。他のソフトウェアソリューションを使い、例えば拠点を多国籍間で持っている製造業において、調達・生産工程から一貫したERPシステムを構築することも可能になっています。

まとめ

TwinCATはWindowsPC汎用機によるファクトリーオートメーションを大きく前進させました。小さなロット数の生産や、今までのレガシー資産を持たない中小の製造業にとっても、オートメーション化を進める重要なソリューションとなっています。しかし、すでに見たように大規模な製造業にも多大のインパクトを与えるポテンシャルをもっています。ERPなどとの統合ソリューション例はまだ数が多くないものの、日本でもTwinCATの導入自体は増えています。今後のドイツのIndustry 4.0、日本でのSociety 5.0を実現する手段として動きを注視したいものです。