【IoT用語集】RTLSとは?

【IoT用語集】RTLSとは?

はじめに

RTLSとは、リアルタイム位置情報システム(Real Time Location System)の略語です。このシステムは、人や物のリアルタイムの位置を検出して、場所・時間・移動をパラメーターで表示することのできるシステムのことです。IDタグや、IoTデバイスなどの発信機を用いて、人や物とシステムを無線通信でつなぐ仕組みになっています。

RTLSの誕生

アメリカでは1990年代初頭に、コンピューターと赤外線を発信するタグとの組み合わせにより医療機関で用いられたRTLSが最初の利用といわれています。商業ベースのRTLSはそれよりもう少し後のことになります。1998年のアメリカで、ID Expoという見本市において、RTLSがIDタグと一緒に登場し、PCの画面にリアルタイムで位置情報を表示させたのが初めてのRTLSといわれています。

RTLSとGPSの違い

RTLSは、建物の中や、ある区域内の即位を行いますが、GPSの場合は、世界中どこでも制限なく利用することが可能です。しかし、GPSは、建物など、無線通信を遮られることに弱いシステムですので、とくに建物の中ではRTLSによらないとリアルタイムで位置情報を検知する目的の達成は難しいとされています。

RTLSの仕組み

RTLSの仕組みにおいて、最低限必要となる要素は、①コンピューターシステム②発信機であるデバイスないしIDタグ、の要素です。これに通信網を接続するか、あるいはシステムとデバイスを通信で直接つなぐかの違いがあります。

通信を行う仕組みは非常にバラエティに富んでいて、次のような技術が用いられています。

  • ラジオ波
  • 赤外線
  • 長波
  • ビーコン通信網(BLE)
  • 超音波
  • ワイドバンド通信
  • WLAN, Wi-Fi
  • 音波通信

主に、通信距離・室内または室外その双方、といった用途の違いにより、上記のような技術のいずれを選択するべきか決まってきます。赤外線などは壁を通り抜けることは不可能ですが、発信機とコンピューターをつなぐことは低コストで可能ですので、商業施設で現在でも多用されている技術です。シンプルな赤外線システムに対して、同じく商業施設で用いられるビーコン通信網や、Wi-Fiなど、IoTシステムでも多用される仕組みによると、付加情報の発信・受信が可能になります。

測位の方法

さらに人や物の位置を図る測位法としては次のような技術が用いられます。センサー情報を、デジタル情報に変換することを前提とするものと、そうでないものに分けることができます。

  • Wi-Fi測位
  • RFID測位
  • ビーコン測位
  • 歩行者自立航法測位
  • IMES(Indoor Messaging System)測位
  • 地磁気測位
  • 音波測位
  • UWB(Ultra Wide Band)測位
  • 可視光測位

これらの測位方法のうち、電波による干渉を起こしやすい測位法(例えばWi-Fi)などは、その精度が課題となります。また、のちに述べるように、測位情報はメッセージング技術により多くの情報を同時に送信することが可能です。プライバシーや個人情報の保護といった非技術的な課題も検討が必要です。

標準規格

標準規格としては、ISO/IEC 19762-5 ISO/IEC 24730-1がRTLSの標準規格となっています。

用途
RTLSの用途は、次のようなものが挙げられます。

  • 病院施設内での設備の位置探知
  • スーパーマーケット等の手押しカートの探知
  • 工場内のパレットの探知
  • フードコートでの顧客の呼び出し
  • 警備員の施設内配備について、適正人数にあるかどうかの監視
  • 災害等における従業員の避難状況のモニタリング
  • 工場内の工程・生産状況の進捗管理
  • 緊急医療におけるトリアージ管理

効果
RTLSは、生産現場や医療現場で作業の効率化、原材料の効率的な消費、緊急事態への対応を補助する効果が著しいとされます。無駄を排して利益を極限まで上げるIndustry 4.0の発想の実現や、スマートファクトリー・スマート医療の促進に役立つことが期待されています。
特に、医療分野での普及とマーケット規模の拡大には目覚ましいものがあり、一説には2019年には13億ドルほどの市場が、2023年には2倍以上の29億ドル市場になることが予測されており、成長株投資の重要な指標の一つといわれているほどです。

プライバシーに関する懸念点

技術的進化により、RTLSは位置情報だけでなく、個人の同一性を検証する情報を付加情報として提供することができるようになっています。そうなりますと、プライバシーと個人情報の保護が問題点となります。特に、医療現場においては、病気の症状と個人の同一性の結びつきが外部に暴露されることがもしあれば、法的にも倫理的にも大きな問題になります。
しかし、その一方で、RTLSによって、SARSの流行時に患者の発生と患者数を正確に把握したことにより、り患した患者の隔離を適切に行い、院内感染発生数をわずかな数に押さえた例がみられています。このように、プライバシーに対する侵害の度合いと、期待される効果とをきわめて慎重に利益衡量しながら利用の拡大を図ることが必要といえます。特に非常事態・緊急事態に関する利用ガイドラインの策定などは検討されるべきでしょう。

まとめ

以上の通り、屋内で主に使われるRTLSは、その技術の多彩さや用途として用いられる分野の広さから、これからも多くのソリューションの登場が見込まれる技術分野です。技術的な改良や課題の克服が進む一方で、プライバシー・個人情報保護など法的・倫理的課題も適切に克服されることが待たれています。

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