Industry 4.0を牽引する世界のビッグカンパニー:絶対知っておきたいキープレーヤーとは

Industry 4.0を牽引する世界のビッグカンパニー:絶対知っておきたいキープレーヤーとは – 記事

Industry 4.0が目指すところは、製造業におけるスマート・ファクトリーの実現です。これを簡潔に説明すると、自ら最適化を実現し、コンフィグを行い、AIを活用して複雑なタスクを完了する機械を開発する、ということです。これにより、費用対効果が高く、高品質の製品やサービスを提供することが可能になり、ひいては国際競争力を強化でき、世界の市場での高ポジションを確保・維持できる、ということです。

Industry 4.0には、データ、コンピューテーション・パワー、接続性、解析及びインテリジェンスと、人間と機械の交信、そしてデジタルの世界と実存の世界の相互交換、などの要素が含まれます。
近年では、Industry 4.0のコンセプトを自国の必要分野に合わせて採用したり、Industry 4.0と協働関係を結び自国独自の政策を執る動きが盛んになってきています。

Industry 4.0のキープレーヤー

インドに本拠を置くWantStats Research And Media Pvt. Ltd(ウォントスタッツ ・リサーチ&メディア)社の傘下であるMarket Research Future®(マーケット・リサーチ・フューチャー)がIndustry 4.0 マーケット・リサーチ報告書―2022年予測を発表しました。この報告書では、市場の解析、スコープ、ステーク、進捗、トレンド、そして2022年までの予測がカバーされています。

この報告書で、紹介されているメジャー・ドライバーとキープレーヤーは以下のようなものです。
Industry 4.0のメジャー・ドライバーは、縦・横のバリュー・チェーンのデジタル化及び統合、製品とサービスのデジタル化、デジタル・ビジネスモデルとそこへの顧客のアクセス、より迅速でフレキシブルで効果的な生産、そしてスマートファクトリーの普及です。
Industry 4.0でこのような動きを支えるキープレーヤーが、Bosch Rexroth AG(ボッシュ・レックスロス)、Maschinenfabrik Reinhausen GmbH(マシーネンファブリック・ラインハウゼン)、Siemens AG (シーメンス)、Wittenstein AG (ヴィッテンシュタイン)、Daimler AG (ダイムラー)、Klöckner & Co. SE (クロックナー)、TRUMPF GmbH(TRUMPFグループ)、Festo AG & Co. KG (フェスト)などです。

この中から、日本でも積極的な事業展開を図るシーメンスに注目してみたいと思います。

シーメンスの歴史

シーメンスは、1847年に当時のプロシア王国のベルリンで誕生しました。日本とのつながりも古くからあり、1861年にはドイツ外交使節団が徳川将軍家へシーメンス製電信機を贈呈しており、1887年には既にシーメンス東京事務所が開設されました。

積極的な企業買収や合弁などで多角化を図っており、現在では情報通信、電力関連、交通・運輸、医療、防衛、生産設備、家電製品等の分野での製造およびシステム・ソリューション事業などでその名が知られています。特に鉄道車両のVVVFインバーターやMRI装置などで大きく市場を占有しています。鉄道部門では、ボンバルディア、アルストムと並んでビッグ3の一つとなっており、世界の鉄道車両製造の約2割のシェアを持っています。

2013年7月にCFOであったJoe Kaeserが新たにプレジデント兼CEOに就任すると、2008 年から取り組んでいる長期計画の見直し・明確化に着手し、『Vision 2020』を作り上げました。このビジョンでは、成長分野を電化、自動化、デジタル化に集中して注力することを明らかにしています。

製造業からソリューションプロバイダーへ

いち早く、スマートファクトリーへの取り組みを開始したシーメンスは、デジタル化への取り組みの実践を先ず自社工場で積極的に進めました。ドイツ、アンベルグのモデル工場では過去25年間で生産効率を8倍に向上することに成功したと言われています。
シーメンスはこの成功法則を、他社の生産工場にも導入し、機械だけでなくスマートファクトリー実現へのソリューションを提供しています。
この中核をなすのが、MindConnect(マインドコネクト)とMindSphere(マインドサフィア)です。

マインドコネクトは、企業のアセット(機械、プラント、データ保存アプリ、企業独自のシステムなど)を安全にコネクトし、データを収集し、それをマインドサフィアに送信します。ハードウェア、ソフトウェアなどのマルチ・レイヤー・コネクティビティを活用し、高速で簡単で、安全なコネクティビティを実現します。
マインドサフィアはオープン・クラウド・プラットフォームで、マインドコネクトから送られたデータをもとに顧客がより迅速で正確なデシジョン・メーキングを可能にするものです。

ただ機械を提供するだけでなく、顧客の企業活動の意思決定の迅速化にも貢献するシーメンスの企業活動は、Industry 4.0の重要性が増すとともに新たな機会を同社に提供するものとなるでしょう。

未来を見据えて

シーメンスCEOのJoe Kaeserは、「シーメンスはもはや製造業ではなく、ソフト企業の世界最大手である。」との認識を示しています。デジタル化の推進も継続して実施していく意向を折につけ明らかにしています。

しかし同時に、第4の産業革命(製造現場の自動化・デジタル化)が推進されれば、世界規模での就労環境の大幅な変革が起こることも理解しています。そもそも、社会の高齢化による労働可能人口の減少への対応もIndustry 4.0への取り組みが開始された一因ではありますが、このままでは単純作業やデータ収集・解析を行っていたスタッフなど、現状の職種の3割までが必要なくなるとの試算もあります。

シーメンスでは、新しい環境に対応できるスタッフの再教育の重要性を認識しており、アプレンティス及びスタッフトレーニングシステムの充実を図っています。

ドイツ製造業の主軸であった自動車産業が、近年の排ガス数値改ざんなどの問題でセットバックを余儀なくされ、又EU諸国とアメリカの貿易摩擦で輸出の伸び悩みが懸念されるなか、グローバル規模で自社システムを通じて市場を席巻するシーメンスがドイツ経済に果たす役割はますます大きなものとなるでしょう。

≪参考資料≫
https://www.reuters.com/brandfeatures/venture-capital/article?id=47737
https://www.marketresearchfuture.com/about-us
https://en.wikipedia.org/wiki/Siemens
https://www.siemens.com/global/en/home/company/about/history/company/2007-2017.html
https://www.theguardian.com/business/2018/jul/15/global-workforce-will-be-decimated-by-fourth-revolution-says-siemens-boss
https://store.mindsphere.io/mindsphere/MindConnect
https://siemens.mindsphere.io/content/dam/mindsphere/partners/MindSphere_Partner_Program.pdf