安全で事故・遅延のない運輸システムを目指して - Industrial Internet Consortium

安全で事故・遅延のない運輸システムを目指して - Industrial Internet Consortium – 記事

Industry4.0やIndustrial Internetの活用で、製造業の効率性が最大化されアウトプットが向上したとしても、そこで製造されたモノを小売り分野・顧客まで届ける運輸・運送分野での変革が行われなければ、新たな産業革命も最適化に到達できないかもしれません。

Industrial Internetは、それを活用することで、費用を削減し、システムダウンを最少に抑えることが可能にします。同時に膨大な量のデータを、運輸システムのオペレーターやドライバー、施設などに配信することで、業務改善を達成します。

予測解析により、計画外の機器の不具合を防いだり、衝突防止技術や流通チェーンでの配送タイミングを最適化するための速度管理、自動で行う渋滞回避などの利点を提供することも可能です。

今回は、GE Software(GEソフトウェア)によるGE Transportation(GEトランスポーテーション)とNorfolk Southern Railroad(ノーフォーク・サザン鉄道)のケーススタディを紹介します。(このケーススタディが発表された後、GEソフトウェアはGEデジタルへと社名を変更しました。)

GEソフトウェア(GEデジタル)


 
GEソフトウェアは、2011年GE Intelligent Platforms(GEインテリジェント・プラットフォーム)が 、予測診断および分析ソリューション企業であるSmartSignal Corporation(スマートシグナル・コーポレーション)を買収して誕生しました。この背景には、GEがソフトウェアとアナリティック企業に変革できなければ、自社のハードウェア製品部門を競合相手にとって代わられる、というGE首脳部の危機感がありました。

2016年に社名をGEデジタルと変更して以降は、デジタル・インダストリアル・エコシステムの構築に取り組むデジタル・アライアンス・プログラムを始動し、それ以前にパートナーを組んでいたAT&T、Cisco(シスコ)、Softbank(ソフトバンク)、Vodafone(ボーダフォン)などに加え、Intel(インテル)などを新たな戦略的パートナーに迎えました。
上記に加え、Microsoft(マイクロソフト)、Huawei(ファーエイ)、Apple(アップル)などと個別にパートナーシップを結ぶことも開始しました。

GEトランスポーテーション

GEトランスポーテーションは、GEの子会社の一つであるGE Technology Infrastructure(GEテクノロジー・インフラストラクチャー)の一部分で、主に鉄道車両、船用エンジン、鉱業製品、掘削用モーター、定置型発電機、エネルギー貯蔵製品の製造を行なっています。
それ以外にも、信号機やコミュニケーションシステム、ITソリューションなども提供しています。

ノーフォーク・サザン鉄道

ノーフォーク・サザン鉄道は、アメリカ東部21州およびコロンビア特別区とオンタリオ州に路線を持つ、一級鉄道です。総営業キロ数は34,600キロに及びます。
同社の主要貨物はケンタッキー、ペンシルバニアなどから採掘される石炭で、同社は北アメリカ東部の広範な共同一環輸送ネットワークも提供しています。

ケーススタディ - 鉄道輸送において、スピードと効率性を改善することでキャパシティを向上させる

アメリカにおいて、鉄道貨物は貨物の総輸送量の42%を担っています。主な貨物はミルク、鉄くず、穀物、果物、野菜などです。今後の四半世紀で貨物輸送への需要が倍増するということが予測されている状況で、鉄道のスピードと効率性を向上させ、貨物のキャパシティを増加させることは至上命題です。

課題:貨物鉄道輸送のキャパシティを増加すること
解決策:Movement Planner System(ムーブメント・プランナー・システム)の導入

このシステムは、新しい線路を敷設することなく、より多くの貨物列車をより速くより効率的に同一上の線路で運航できるようにする、言わば航空管制の鉄道版です。
ムーブメント・プランナー・システムは、時刻表やトラフィック・コントロール・システムと実際の貨物列車の走行状況を考慮に入れ、ソフトウェアが線路上で走行しているすべての貨物列車の最適スピードまでを含んだ鉄道運航プランを最適化します。

このシステムはシミュレーションベースのプランニング・システムを採用しており、実際のネットワークモデルを統合することで、駅間の所要時間をコンピューとし、時刻表とは別に実際の到着時間を割り出します。

結果:従来よりも約10%走行速度を上げることが可能となりました。これにより、一時間当たりの移動距離が4.8キロから6.4キロ伸びることになり、鉄道運航会社は年間2億ドルほどの資金と費用を節約することが可能になりました。 
同時に、貨物列車のクルーのスタッフ管理もより効果的に実行できるようになりました。

貨物鉄道の将来に対するIndustrial Internetの更なる貢献

Industrial Internetは、貨物鉄道の将来に関して以下のような貢献を達成できるように努力しています。

  • リアルタイムの出来事を察知して対応できるシステムの創造
  • 運航効率化と安全性の向上
  • 貨物列車の故障による運航への支障を回避(センサーを活用した予測メンテナンス)
  • 最適なルートを選定することでの燃料費の節約

日本では、現在鉄道による貨物輸送は、トラックによる輸送に押され、貨物全体の5%未満という状況ですが、広大な国土を持つアメリカでは大量の貨物の長距離輸送が可能で、各駅での積み込み・積み出しが比較的容易な鉄道への需要は今後も継続するものと思われます。

≪参考資料≫
https://www.iiconsortium.org/vertical-markets/transportation.htm
https://en.wikipedia.org/wiki/GE_Digital
https://en.wikipedia.org/wiki/GE_Transportation