アメリカにおける「IIC」の歴史:アメリカでのIoT推進また今後の展望 – その②

アメリカにおける「IIC」の歴史:アメリカでのIoT推進また今後の展望 – その②

1. 「アメリカ」にて「IIC」を使用した企業向けサービス

IIC (Industrial Internet Consortium) は2014年3月27日に、通信大手のAT&T、ネットワーク大手のシスコシステムズ、世界最大のコングロマリットのゼネラルエレクトリック (GM)、IT大手のIBM、半導体大手のインテルの5社によって、アメリカマサチューセッツ州ニーダムで設立された世界最大級のIoT推進団体です。その中核に位置するGEでは、いち早くインダストリアルインターネットのコンセプトを打ち出し、IICの設立以前に、グループ会社のGE Digitalが Predix (プレディックス)という共通プラットフォームを発表し、製品を販売するだけではなく、保守管理を含めたパッケージ型事業の先駆けとなりました。

製造業に特化した改革活動であるドイツインダストリー4.0と異なり、IICでは製造業のみならず幅広い業界を対象とし、相互運用性、セキュリティ要件、標準仕様など、IoT活用時の課題を様々な産業の多くの企業と協力しながら解決することをミッションとしました。「オープンであること」を基本に、IoT技術の活用のために必要な問題を組織的、人的どちらの面からも解決していく、ソートリーダーシップ活動 (Thought Leadership)や、実証の場をテストベッド (Testbed)として提供し、すでに多くのユースケースや事例を有しています。

IICの設立後、アメリカでは国をあげてのIoT推進が、急速に進みました。ここで企業向けサービス例として、アクセンチュア(Accenture)のサービスを紹介しましょう。

石油、ガスの公益業界の安全管理責任者にとって最大の課題は、従業員の安全を保つことです。アクセンチュアでは、Marathon Petroleum Companyと協力し、危険な環境で働く労働者を保護するために、ワイヤレス対応マルチガス検知システムである、アクセンチュアライフセーフティソリューション (Accenture Life Safely Solution) を開発しました。このソリューションは、Wifiとガス検知器を組み合わせることで、以前はワイヤレスネットワークには適さなかった場所での遠隔監視を可能にしました。アクセンチュアのライフセーフティソリューションは、石油、ガス、化学薬品、石油化学製品、金属、公益事業、鉱業などの業界の安全管理責任者に、24時間365日の安全監視とタイムリーな対応を可能にし、より包括的かつ効果的な安全プログラムの提供を可能にしました。

2. 「アメリカ」にて「IIC」を使用した消費者向けサービス(あれば)

IICの設立は、消費者の生活にも影響を与えています。IoTやAIという技術は一般家庭にある家電製品や自動車にも適応し、例えば乗用車の自動運転は、最終レベルのテスト段階まで到達する勢いですし、近い将来には、庫内に保存されている食材で作ることができる料理を教えてくれる冷蔵庫なども、製品化が想定できます。

インダストリアルインターネットを使用した、アメリカでの消費者向け製品とサービスの代表例は、 音声で操作できるAIスマートスピーカーのAmazonのEchoやGoogleGoogle Homeです。音声で指示すれば、検索エンジンを使っての調査、最新ニュースの読み上げ、音楽や動画の再生、家電の操作などが可能となります。AIスピーカー本体だけでなく、その周辺機器や関連サービスも、アメリカのみならず、世界中で増えています。

他の例では、内部にAIを搭載し、ユーザーの生活パターンを記憶し、起床時間に応じて温度を調節したり就寝時には電源が切れるなど自動で行なうNestのNest Thermostatがあります。ちなみにNestは、Amazon の元エンジニアがスピンアウトして立ち上げた、スタートアップ企業です。

3. 「アメリカ」での「IIC」導入企業例

ここでIICを代表するGEのグループ会社の、導入事例を紹介したいと思います。
GEのグループ会社のGE Transportationでは、解決困難な鉄道の課題の多くを解決してきました。米国の経済力に欠かせない鉄道の貨物輸送では、牛乳、スクラップ鉄、穀物、果物や野菜、織物、自動車など、様々な製品や材料を運んでおり、米国の貨物運送全体の42%のシェアがあります。GE Transportationでは、今後25年間で米国お貨物需要が倍増することを認識し、列車の速度と効率を高め、生産能力を増やす方法を模索しました。

そこで登場したのが、同社の鉄道制御システムであるムーブメントプランナー(MovementPlanner)でした。これは言ってみれば、同じくGEのグループ会社の、GE Aviationの航空便効率化サービス(Flight Efficiency Services) の鉄道版です。年間40億ドルをかけて開発されたのち、本番稼働したムーブメントプランナーで、鉄道物流と交通制御システムを統合したので、列車のスケジュール、交通管制システム、列車の動きなどを同時に確認でき、その結果から列車の最適な交通計画を作成し、鉄道全体で最適なプロセスを維持するための最良の速度を維持できるようになりました。ムーブメントプランナーを使用すると、鉄道は約10%の速度増加が見込めます。その結果鉄道は年間最大2億ドルの資本と費用を節約できます。既存の鉄道資源を最大限活用することで、鉄道員の管理の可用性を向上することもできるようになりました。

ムーブメントプランナーを導入したノーフォークサザン鉄道は、燃料使用量を6.3%削減し、速度を10〜20%高めることができました。そしてその高速化によって運航数も減らすことができたのです。

4. 「アメリカ」での「IIC」の今後の展望(企業側の変化)

第4次産業革命の繁栄を後押しする、アメリカのIICやドイツインダストリー4.0に代表されるIoT推進団体のグローバル規模での連携が進むにつれ、市場も勢いを増してきました。世界のIoT市場価値は、2015年の5,982億ドルから、2023年には7,242億ドルに達するとも言われています。第4次産業革命は、それまでの産業革命と異なり、スタートアップ、ベンチャー、中堅企業が中心となって、推進してきました。今後は今まで考えつかなかった異業種との連携が進むでしょう。

自動車業界では、自動車にインターネット接続機能を付加して多様なデータを収集し、それを安全性の向上や自動運転に生かすコネクテッドカーが市場をわかせていますが、このコネクテッドカーの車載情報システム分野にAppleやGoogleが参入してからは、自動車メーカーとIT企業のアライアンスが進んできました。例えばアメリカでの音声アシストなどの情報システムに対する協業では、IBMとゼネラルモーター(GM)、Amazonとフォード(Ford) )などです。

自社内で対応できないなら、対応できるパートナーを探してお互いの技術の組み合わせれば、新たなサービスを早期に提供し続けることができるという、ビジネスモデルが全世界で標準化していくきます。IICの中でも、今後特定の国や産業に限らず、様々なアライアンスが進むと思いますし、流通業や農業、建設業などもIICのメンバーに加わっていくのではないでしょうか。

5. 「アメリカ」での「IIC」によって今後どんな暮らし方になっていくのか(消費者側の変化)

IoTやAIによって、消費者の生活はすでに大きな変化が起きています。すでにお話しした通り、IICでの新たなアライアンスにより、新たな技術基盤が開発され、テストベッドでの検証もより多くなり、新規のコンセプトの製品化が進みます。よって消費者の生活は便利になり、特に障がいのある人には、より効率的な生活ができるでしょうし、仕事は、AIができないことに特化した職種へと変わっていくことでしょう。
IoTがあらゆる領域に浸透し、インターネットを介したビジネスはさらに進化し、いずれはIoTを超える概念が出現するに違いありませんね。

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