少子高齢化社会で十分な医療を提供するために - Industrial Internetヘルスケア・テストベッド

少子高齢化社会で十分な医療を提供するために - Industrial Internetヘルスケア・テストベッド – 記事

産業化された大国・超大国において『第4の産業革命』への真剣な取り組みが行われている背景には、少子高齢化による生産年齢人口の減少に対応する、というある意味必要に迫られた事情があります。製造業での人手不足への対応のために自動化やAIを導入するのは、勿論国の経済発展、競争力の維持・向上のために必要です。

しかし、同時に高齢化社会において人へのケアを充実させるということも、同様に重要な課題となっています。病院での長い待ち時間、高額医療費、投薬間違い、在宅患者にも十分な医療を提供する、医療従事者の長時間労働、独居老人へのケア、などヘルスケア業界は様々な深刻な問題を抱えています。このような状況を改善するために、第4の産業革命が大きく貢献できるのではないかと期待されています。
今回は、アメリカで国や業界の壁を越えてデジタル化を推進するIndustrial Internet Consortiumのヘルスケア・テストベッドへの取り組みを紹介します。

ヘルスケアへのIoTの導入 - より正確でストレスの少ない医療の提供を目指して

PriceWaterhouseCoopers (プライス・ウォーターハウス・クーパーズ)の試算によれば、インダストリアル・インターネットは年間のヘルスケア支出を25%、1,000ドル節約できるということです。医療現場の機器やカルテ、患者や医療従事者がインターネットを通じて相互に交信できるようになれば、病院でのうんざりするほど長い待ち時間を削減することが可能になり、在宅で医療を必要とする患者の状態を遠隔でモニタリングしたり、高額で希少な医療機器を無駄なく多くの患者に利用することができ、装着型デバイスなどにより患者や医師、機器の所在地を常に把握し効率の良い医療サービスの提供が可能で、誤診や投薬間違いを減らすことができるでしょう。また、世界規模でのビッグデータの活用により慢性疾患などへの研究をより詳細で効率よく行うことが可能になり、健康で幸福な余生を送る一助となることでしょう。

ヘルスケア・テストベッドの概要

参加メンバー企業:Infosys(インフォシス)、RTI、MD PnP

インドに本社を置き、ビジネスコンサルティングとITテクノロジー及びアウトソーシング・サービスを事業の主力とするInfosys社が、リーダーとなり、RTI、PTC及びマサチューセッツ総合病院MD PnP Lab (Medical Devices Plug-n-Play Interoperability Programー医療デバイス・プラグ&プレイ相互運用性プログラム)と共同で、このテストベッドを運営しています。

課題:世界の平均寿命の延びが、ヘルスケアシステムに重圧を加えています。高齢者の80%が少なくとも一つの慢性疾患を抱えており、継続ていな医療を必要としているといわれています。身近で利用できるIoTデバイスの出現のおかげで、医療従事者は今では遠隔で患者の様子をモニタリングすることが可能になりました。これにより時間もコストも削減が可能です。

しかし、既存の機器が高額である、研究開発に時間がかかるなどの理由から、医療機器メーカー側での技術適応は決して迅速だとは言えず、また独自のソリューションも遅れているため、初期の診断から生涯にわたる病気の管理まで、患者の治療のパイプライン化されたすべての段階をまとめることができる、費用対効果の高いIoTソリューションを実装することが困難となっています。

解決策:医療機関と遠隔型の医療デバイス用のオープンIoTエコシステムを開発することで、患者のモニタリング・データを単一のデータ管理及び解析のプラットフォームに集約する。同時にメディカル機器の資産管理、患者への正確な投薬と医療の提供、健康被害への可能性のある事象に関するコミュニケーションと警告システムの提供、なども行います。

市場における実益:患者のクオリィティー・オブ・ライフの向上、在宅医療の充実、慢性疾患にかかる医療費の削減、患者やその家族に対しもっと詳細で正確な情報提供を行うことが可能となる、などです。
また、オープンソースIoTソリューションを提供することで、医療施設の負担を軽減することも可能です。

ヘルスケア分野 ー 今後の展望

 

ヘルスケア分野でのIoTの導入・活用が軌道に乗れば、医療機関の都合ではなく、患者を主体としたホームケアの推進が見込まれ、また独居老人宅などでも遠隔のモニタリングで食事やアクティビティを管理しまた転倒や急な体調の変化などの際に迅速な対応が可能になります。
医療機器の利用状況の無駄を省くくこともでき、患者の急な容態変化への対応や医療ミスの発生防止などにも効果が上がることが予測できます。
超高齢化社会の到来や、就労人口の減少などが今後も先進国で進むことを考えるとき、ヘルスケア部門での早急なIoT技術の採用が望まれます。

≪参考資料≫
https://www.iiconsortium.org/vertical-markets/healthcare.htm
https://www.iiconsortium.org/connected-care.htm
https://www.infosys.com/
https://www.iotforall.com/exciting-iot-use-cases-in-healthcare/

関連記事はこちら:【VC/投資家DB集】Plug and Play