Industry 4.0がMade in China 2025に与えた影響

Industry 4.0Made in China 2025に与えた影響 – 記事

2011年にドイツIndustry 4.0のコンセプトが発表されて以来、多くの産業国家でIndustry 4.0をベースに、自国の製造業やその他基幹産業の国際競争力を強化することを目指した指針が発表されています。アメリカIndustrial Internet中国Made in China 2025ロシアの4.0RU、フランスのIndustrie du Futurなど、各国が産業界での生き残りをかけてしのぎを削っています。

これらの中で、共産主義を維持したまま世界第2位の経済大国に躍進した中国の推し進めるMade in China 2025に注目が集まっています。今回は、Industry 4.0がMade in China 2025に与える影響、Made in China 2025の独自性などを紹介し、この2つのコンセプトの相違点を明確にしたいと思います。

Industry 4.0の重点分野

元々、中小企業が大きな割合を占めるドイツ製造業の国際競争力の向上を目指して生まれたIndustry 4.0を一言で表現するとすれば、『スマート・ファクトリーの実現』といえるでしょう。その中で、以下の5点が重点分野に掲げられています。
1.気候・エネルギー、2.健康・食品、3.モビリティ、4.セキュリティ、そして5. 通信分野です。

Made in China 2025の重点分野

対して、2049年までに製造業で強国の先頭グループに立つことを最終目的に、2025年までに製造強国の仲間入りをすることを目指して設定されたMade in China 2025は、イノベーション主導の製造で業界の可能性を広げ、中国の既存産業の機構を最適化し、環境にやさしい製造業を実現し、量より質に重点を置き、専門技術人材の育成を実現することに焦点を当てています。本計画により強化する産業として挙げられているのが、1. 次世代情報通信産業、2. 先端デジタル制御工作機械とロボット産業、3. 航空・宇宙設備産業、4. 海洋建設機械・ハイテク船舶産業、5. 先進軌道交通設備産業、6. 省エネ・新エネルギー自動車産業、7. 電力設備産業、8. 農業用機械設備産業、9. 新材料産業、10 バイオ医薬・高性能医療器械産業です。

Industry 4.0とMade in China 2025 - 類似した背景、異なる出発点

先進国では、近年少子高齢化の問題が深刻になってきています。ドイツでは2002年が人口のピークで、その後は年々10万人ずつ減少しています。一方、中国では60歳以上の人口が2050年までに4億人に達すると予測されています。中国のワン・チャイルド政策により、労働人口の減少が深刻化することは明白です。このような事実を背景として、両国ともにスマート・ファクトリーの実現、AIやマシーン・ラーニングの推進は、必然であるといえます。

しかし、Industry 4.0が、既に製造大国であるドイツが、近年の新興国を中心とした安い労働力で大量生産を実現する製造業の台頭から自国の製造業を守り、国際競争力を持続・強化するために生み出されたコンセプトであるのに比べ、Made in China 2025は、まさにこの安い労働力を武器に(質は二の次にして)大量生産力により世界の舞台に打って出た中国が、量から質への転換を図りつつ、追い付け追い越せを目指すものであるといえるでしょう。

Industry 4.0とMade in China 2025 - 異なる目標

中国政府は、自国がハイテク製造業分野ではアメリカ、ドイツ、日本などの先進製造業国家に後れを取っていることを自覚しており、デジタルテクノロジーが今後の産業界にとっては不可欠であることを理解しています。近年、コンピューター、スマホ、仮想通貨及びブロックチェーン・テクノロジーなどの分野での中国の台頭には目覚ましいものがありますが、2049年(中華人民共和国建国100周年)までに製造業で強国の先頭グループに立つことを最終目的とする中国にとっては、ハイテク・テクノロジーをその他の産業分野でも推し進めることが必要不可欠です。

Made in China 2025では、また、コア材料の中国国内生産含量を2020年には40%、2025年には70%を達成することを目標としています。現在米中貿易摩擦の影響で、多数の原材料または技術のアメリカからの輸入に深刻なダメージを受けている中国ですが、逆に中国が発奮し益々Made in China 2025の達成への原動力になる、という意見も多く見受けられます。

一方、ドイツでは、Industry 4.0により個々の産業の振興というよりも、国全体としての経済成長を目標値として掲げています。Industry 4.0に関連する取り組みを通して、経済付加価値が2013年から25年にかけて年平均で1.7%成長し、2025年には4,250億ユーロを生み出すと予測しています。

予測される未来図

個々の産業に対して目標値の達成を厳しく要求し、個々の数値の積み上げで経済力・競争力を向上し世界にその効果を知らしめていこうとしていくMade in China 2025に対し、Industry 4.0では産業間の協働により社会全体の経済成長目標を達成しようとすることに重点が置かれているように見受けられます。

しかし、今年8月にはドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)とドイツ商工会議所連合会(DIHK)が『新シルクロードー中国の大規模投資プロジェクト』に関する研究報告を共同で発表し、中国の提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」はドイツに巨大な商機をもたらしたとの見方を示しました。アメリカが中国やEUに対して貿易不均衡を理由として態度を硬化させればさせるほど、両サイドが接近する可能性もあり、実際近年ドイツやフランス企業と中国企業の提携による製造業分野の投資事業が増加傾向にあります。

今後のEU・中国とアメリカとの貿易摩擦の行方と合わせて、Made in China 2025とMade in China2025の今後の進捗に注目する必要があります。

≪参考資料≫
https://www.presenso.com/blog/Industry-4-China
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0040162517307254
https://www.quora.com/What-is-the-difference-between-Germanys-industry-4-0-plan-and-
Chinas-Made-in-China-2025-plan-so-that-the-Trump-administration-considers-the-China-plan-a-
threat-but-not-the-German-plan

http://japanese.china.org.cn/

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