世界の風力発電を牽引する中国 - Made in China 2025 環境問題への取り組み

世界の風力発電を牽引する中国 - Made in China 2025 環境問題への取り組み – 記事

世界中を取り巻く環境問題が深刻化しています。公害問題だけでなく、異常気象、旱魃、海面上昇などの話題をニュースで見ない日はないほどです。
世界最大の温室ガス排出国である中国でも、この問題は大変深刻です。G20参加国のうち最も公害がひどい都市のうち5つが中国にあります。しかし、中国国内に高度な教育を受け、経済的に豊かな層が増えてくるにつけ、問題解決に真剣に取り組むべきだと考える人の数も増えてきています。

中国の現在の5ヵ年経済計画には、カーボン濃度を低下させ、水効率を向上させることが含まれており、100以上の石炭火力発電所を建設するという計画は廃止されました。又、電力業界を対象とした炭素排出量取引制度が2017年12月より開始されました。環境にやさしいプロジェクトを支援するグリーンボンドも発行されるなどし、中国は世界で最も再生可能エネルギーの導入を推進する国の一つとなっています。

今回は、広大な国土を利用して中国が推進する風力発電に焦点を当ててみたいと思います。

中国の風力発電開発の歴史と現状

広大な国土と長い海岸線を有する中国には、潜在的に豊富な風力資源があり、発電容量は陸上で2,380GW、洋上では200GWと考えられています。2015年には、中国全土の国内総消費の3.3%を風力発電が賄いました。中国政府は風力発電を経済成長の重要な要素とみなしており、2030年には風力発電により中国国内の電力需要を完全に満たすことができるという試算も行われています。

2005年に中国人民代表会議の常務委員会は、再生可能エネルギーによる電力をすべて買い取ることを中国の電力配送会社に義務づける法案を成立させましたが、この年の容量は1,260MW、発電量は1,927GWhに過ぎませんでした。そこから10年弱の間に中国は容量を114,763MW、発電量を153,400GWhへと飛躍的に向上させます。

中国風力発電市場の主要プレーヤー

中国の風力発電市場をリードしているのは、中国最大の風力タービンメーカー(世界では2017年に第3位の位置につけた)で新疆ウイグル自治区に本拠地を置くGoldwind(ゴールド・ウィンド=金風科技)、Dongfang Electric(東方電気)、Sinovel(華鋭風電)、国電連合動力技術、及び2010年にニューヨーク証券取引所に上場を果たしたMing Yang Electric(明陽風電)などがあります。

ここでは、中国最大の風力タービンメーカーであるGoldwindを取り上げてみたいと思います。

Goldwind(ゴールドウィンド=金風科技)社

中国における風力発電は、2010年に累積導入量がすでにアメリカを抜き、2016年の段階ではアメリカの2倍に達しています。
Made in China 2025のウェブサイトでは、中国全土の705社に及ぶ風力発電機器メーカーによる1万3千弱の製品が紹介されています。
そのような状況下で、中国の風力発電機器業界の牽引車となっているのが、北京に本拠を置くGoldwind社です。同社はXingjiang Goldwind Science & Technology Co., Ltd.(新疆ゴールドウィンド・サイエンス&テクノロジー)の子会社で、2008年にPMDDテクノロジーをドイツのVensys社から買い取り、2011年には中国第2の風力発電機製造業者へと成長を遂げ、2015年には世界最大の風力発電機マニファクチャラーとなりました。

Goldwind社の主力産業

同社の製品は全てPMDDタイプで、ラインアップは1.5MW、2.0MW、2.5MW、3.0MW(オンショア及びオフショアタイプ)、6.0MW(オフショアタイプのみ)、10MW(オフショアタイプのみ)です。アジア全体及びヨーロッパとアメリカで事業を展開しており、6000名以上のスタッフを擁し、6大陸で38GW規模の風力発電機を設置しました。
同社は又、研究・開発・製造及びマーケティングを事業の主軸としており、スマート・ウィンド・ファーム、オフショア・ウィンド・パワー、スマート・エネルギー、資産管理、ファイナンシャル・サービスなどを提供しています。
 

環境保護への取り組み

2013年、Goldwind社は環境保護のリーダーとなることを表明し、風力発電事業に加え、2015年8月に環境保護プラットフォームとなる、Goldwind Environmental Protection Co., Ltd.(ゴールドウィンド環境保護)を設立しました。同社は、水供給、下水処理、リサイクル水の再利用に対しての投資・開発・建設及び事業展開を行っています。

Goldwind Intelligent Agriculture(ゴールドウィンド・インテリジェント・アグリカルチャー)は新しいタイプのエネルギーと農業のコンビネーションを模索しています。北京に設置された3,456平米のスマートPV温室では、グリーンセイフティ、エコサイクリング、及び技術革新に取り組んでいます。この温室の丈夫には65kWの薄型PVパネルが取り付けられ、施設を運営するのに充分な電力を発電し、余剰電力はグリッドへと供給されています。

中国の風力発電、今後の課題

冒頭でも述べたように、2005年以降その発電量、容量を飛躍的に向上させ、2030年には風力発電により国内の電力需要を完全に満たすことができる可能性を秘めた中国の風力発電ですが、その将来には課題も見られます。
例えば、風力発電施設の設置に適した甘粛省などが、既存の産業や居住地から離れすぎている、風力発電で生産された電力を供給する送電線の設置が追い付かない、また中国経済の成長の鈍化に併わせて電力需要の伸びも鈍化している、などです。
現在、解決策が見えないまま長期化の様相を見せている米中貿易摩擦の行方によっては、この分野にさらなる影響が出ることも考えられます。

参考:
https://www.business.hsbc.com/china-growth/the-east-is-turning-green?cid=HBUK:JB:P0:CMB:L20:NA:1:1810:006:China-Int&&cid=HBEU:Gr:P1:XX:01:1707:001:bri2017
https://en.wikipedia.org/wiki/Wind_power_in_China
https://en.wikipedia.org/wiki/Goldwind
http://www.goldwindglobal.com/business/

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