ドイツにおける「M2M」の歴史:2020年までに世界で3兆8,100億円の市場規模が見込まれる最新技術 – その②

ドイツにおける「M2M」の歴史:2020年までに世界で3兆8,100億円の市場規模が見込まれる最新技術 – その② – 記事

1. 「ドイツ」にて「M2M」を使用した企業向けサービス

もの作り大国のドイツでは、M2M を使用した企業向けサービスが早くから稼働しています。まずM2M を使用した企業向けサービスの例をあげてみましょう。

  1. 独ドイツテレコムグループ
    独ドイツテレコムグループ(以下ドイツテレコム)は M2M を使用した企業向けサービスの、世界的な大手プロバイダーの 1 社です。同社では M2M は今後も成長すると見なしています。ドイツテレコムの M2M ソリューションには、M2M セールスファクトリー、M2M ソリューションファクトリー、M2M SIM チップなど多様です。

    またグローバルレベルで M2M ソリューションのあらゆる可能性の実現するため、ドイツテレコムでは各分野のエキスパートであるパートナーと協力して活動をしており、ローミングネットワークと、ローミングパートナーを、世界で 550 社保有しています。さらにOrange、TeliaSonera、Telecom Italia、Bell Canada、ソフトバンク、Swisscom 各社と共に、グローバル M2M 協会(Global M2M Association=GMA)のメンバーでもあります。

  2. 独シーメンス&ソフトバンクモバイル
    ドイツ国内の事例ではありませんが、 2007 年にシーメンス株式会社(以下シーメンス)とソフトバンクモバイル株式会社(以下ソフトバンクモバイル)が、ソフトバンクモバイルの日本国内の3Gネットワークで使用する製品である、HC28 ワイヤレスモジュールの発表したことも、企業向けサービスの例として共有したいと思います。
    この2社のM2Mの協業製品である HC28 ワイヤレスモジュールは、シーメンスが HC28 を自社ブランドで販売し、ソフトバンクモバイルがネットワークの提供するというものでした。

    シーメンスが10年以上に渡って培ってきた通信モジュールノウハウを活かして開発された HC28は、国内外の、3 周波数帯の UMTS(3G) と 4 周波数帯のGSMに対応した、日本初のグローバルローミング対応のM2M用通信モジュールであり、ソフトバンクモバイルの国内 3G ネットワークのほか、海外の 3G/GSM ローミングネットワークでの使用が可能になりました。

    HC28 ワイヤレスモジュールをエンドユーザー企業が自社の機器やサービスに組み込むことで、国内外で利用可能な HC28 の特性を活かし、国内、海外問わずにシームレスな国際物流管理や、既存国内サービスを世界規模で展開するといった、これまでにない全く新しいサービスの提供が可能になりました。

2. 「ドイツ」にて「M2M」を使用した消費者向けサービス

ドイツの代表的なカーシェアリングサービスの一社である、DriveNowは、アプリで登録されている自動車の検索から支払いまでを、すべて完結できるサービスです。利用方法を簡単に説明すると次の通りです。

  1. あらかじめアプリをダウンロードし、DrinveNowの会員登録します。その後専用カードキーを、回収センター(Registration Station)で受け取ります。回収センターの場所の検索もアプリで行います。
  2. 現在地近くに、空いている車があるかをアプリで検索し、車を予約すると、そこからは支払いまですべてアプリで管理されます。
  3. 車を見つけて予約すると、車が駐車されている場所までの経路が表示されるので、そこに行き、車に乗車します。
  4. 目的地に着いたら、そこに乗り捨てOK。それは路上駐車が可能なドイツならではです。終了するとすぐに請求書がメールで届きます。DriveNowのすべての車両には、ボーダフォンのSIMカードが搭載されているので、たとえば決済などの重要なデータは、すべて自動的にバックグラウンドで送信されるのです。このサービスを実現させたのは、まさしくM2M のテクノロジーでした。

3. 「ドイツ」での「M2M」導入企業例

独ドイツテレコムグループの一社であるTモバイル社の、M2M 導入企業例(ユースケース)を紹
介しましょう。

  1. ロジスティック/インフラ管理
    M2M は独ハンブルク港を、近未来の物流センターに変化させました。M2M はトラックやコンテナーの場所、ターミナルとデポ情報、建設現場、可動橋の移動時間、無料駐車場など、72 平方キロメートルの港湾エリアに関連する、すべての交通およびインフラストラクチャのデータをリアルタイムに統合しました。それにより港湾管理者、貨物運送業者、駐車場運営者は、24時間体制で港湾内の状況を包括的に把握でき、交通混乱に迅速に対応できるようになりました。

  2. フリート管理
    Blaupunkt、Cargobull Telematics の三社合同で開発された、Inteligent freet management (iTM) は、M2M ソリューションのパイオニアです。車両に搭載されたトランスポンダが、モバイルネットワークを介して、位置、速度、ルート、および車両の状態について、継続的にデータを送信することで、企業のセンターシステムでは、リアルタイムでデータを受信することが可能になり、輸送計画の最適化をもたらしました。これにより稼働時間の最適化、コスト削減が可能になりました。

    M2M ソリューションとしてのフリート管理はまた、テレマティクスだけでなく、双方向通信システムを実現させました。企業はフリート管理システムで、必要な詳細情報を含む新規の指示を、いつでもドライバーに送信することができるようになりました。そしてドライバーには、受信した指示内容の確認、拒否あるいは新たな輸送ルートを提案するというオプションが用意されることになりました。

4. 「ドイツ」での「M2M」の今後の展望(企業側の変化)

従来企業の自社データは、LAN など自社のクローズしたネットワーク内だけで運用をしていましたが、M2M に始まり、インターネットがブレークし、クラウドコンピューティングIoT(Internet of Things=モノのインターネット) が普通になってくると、社内のデータ管理のために、社内ユースのみのシステム管理に投資するより、クラウドを利用する方が安価なため、方針転換したというわけです。

M2M は今後ますます IoT や IoRT (Internet of Robotics Things= ロボットによるモノのインターネット) と連携していくと予想されます。つまり機器と機器の間だけの連携ではなくて、その結果をインターネット経由で、第三の機器あるいは第三者の機器と連携するとか、あるいはその結果を社外にある産業ロボットと連携するなどです。

そして次の点を踏まえ、ドイツを含む世界中の企業で、M2M を IoT 、IoRT との連携を進めながら、今後も利用していくと想定されます。

  1. 新規ビジネス分野
    M2M は製品の開発プロセスに大きな変化を与え、製造業に加えて、貿易、輸送、物流、医療、公共など様々な業界に、利益をもたらすので、業種を問わず引き続き M2M は利用されると予想されます。

  2. サービス品質の向上
    M2M の導入で、サービスエンジニアはシステムにリモートアクセスして、ステータスまたはイベントメッセージが確認できますので、現場に常駐しなくても問題を遠隔で発見し、修復することが可能になるので、時間とコスト削減ができ、サービス品質を向上させますし、また常駐が必要くくなるため、リモートベースでの雇用が推進されるでしょう。

  3. 環境保護
    M2M による遠隔保守で、飛行機や乗り継ぎによる不要な CO2 排出の削減に役立つため、環境保護対策には有益です。環境保護への貢献は、コスト削減をももたらしますので、多くの企業がM2M を継続して利用するでしょう。

5. 「ドイツ」での「M2M」によって今後どんな暮らし方になっていくのか(消費者側の変化)

ドイツのみならず、M2M による消費者の暮らし方も変わっていきます。想定できることをいくつか掲げましょう。

  1. SIM カードを装備した警報システムは、遠隔監視を可能にし、自動的に適切な措置を開始します。ですから臨界温度に達する前に、スマートフォンは警報を受信でき、火災警報が鳴り響く前に、火災を察知できるようになります。
  2. アップルウォッチなどのウェアラブルが、身体機能の確認やそれに対応する警告を、多方面からよりタイムリーに行うことにより、より大きな安全性を保証します。
  3. 消費者の自宅の屋根に太陽光発電システムを設置すれば、消費者は電力消費者であるだけでなく、プロシューマーとして電力生産者にもなります。
  4. スマートホームが、電気、暖房、光などの基本的な家庭機能の外部からの制御を可能にします。家庭内のすべての電気器具の詳細な消費量測定により、より効率的な取扱いと低コストが可能になります。
    M2M/IoTを核とするインダストリー4.0を国策として掲げるドイツにおいては、これらの恩恵にいち早くあずかれることでしょう。
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