【IoT事例】Carl Zeiss 3D Automation:スマートセンサネットワークで現場をリアルタイム監視|カール・ツァイス・3D・オートメーション

【導入事例Carl Zeiss 3D Automationスマートセンサネットワークにより製造現場の環境をリアルタイム監視|カール・ツァイス・3D・オートメーション

Carl Zeiss 3D Automation(カール・ツァイス・3D・オートメーション)について

Carl Zeiss 3D Automationは、Carl Zeiss Industrielle Messtechnik(カール ツァイス インダストリエレ メッステヒニーク)の子会社で、ZEISS(ツァイス)グループの傘下企業です。

同社は、座標測定機向けの付属品の開発を行っています。スタイラス、スタイラスシステム、固定冶具、搬送装置など完全自動化システムにより、ZEISS製の機器は、あらゆる工業生産の分野において生産性の向上に寄与しています。さらにこれらの完全自動化システムを活用し、自社、ZEISS製測定機器の生産性を高めることにもあります。また、サービスプロバイダーとして、自動車産業、医療分野、航空宇宙産業、機械工学分野を対象としてワールドワイドに業務を行っています。

同社は1997年、Frank Richter(フランク リヒター)博士とThomas Frankenfeld(トーマス フランケンフェルド)工学修士が、ドイツ・バーデンヴュルッテムベルグのアーレンにて設立しました。現在、74名の従業員が業務に従事し、世界の多くの地域に向けて製品および技術ソリューションを提供しています。

Industry4.0導入の背景

座標測定機のような機器の最高精度への到達、もしくは、欠陥のない製品製造のためには、室温とその他の環境パラメータが重要となり、ごくわずかの一定の範囲内で誤差しかゆるされません。そのためには、あらゆる品質関連の測定データおよびテストデータを収集する必要があります。むしろ、それだけではなく、生産条件をリアルタイムで監視、視覚化、表示する必要があります。そして、この必要な情報は、いつでもどこでも、適切な人々にリアルタイムで提供可能でなければなりません。そのため、同社は生産条件の制御をデジタル化戦略により解決する方向を目指しました。

「製造現場では、測定技術の重要性がより増大しています。これはパラダイムシフトです。製品の個々のパラメータが目標値に遵守するかどうかを下流工程でただ単に記録する代わりに、測定技術およびテスト技術が、生産を制御する手段へと変化しつつあります。」

と経営責任者のFrank Richterは述べています。

ソリューションの実現

ソリューションの構想
同社のソリューションは、デジタルおよびネットワークで接続された精密センサーをベースにしています。接続されたセンサネットワークにより、生産環境や部品加工のための空気の温度、湿度、気圧、流量を測定します。デジタル精密センサーでは、測定値がリアルタイムにフェールセーフ機能により検出され、インテリジェントゲートウェイで、測定値の変化に関する関連情報が処理されます。次に、その情報がデータベースに保存され、ウェブ対応ユーザーインターフェースで視覚化されます。さらに同時にクラウドベースのサービスにも転送されます。

またスマートセンサー技術により、ネットワーク内の製品に関する情報(製造元、製品番号およびシリアル番号)とそのライフサイクル(機器構成および較正値)に関する情報を半永久的に保存/解析可能とします。

ソリューション実現への準備
外部との研究協力により、小型スマート精密センサーを備えたネットワーク向けに、革新的な技術を開発してきました。また、部品運搬ケース用のモバイルアプリケーションのための無線通信を備えた自律センサネットワークへの拡張、ペーパーレス生産をサポートするための技術も開発してきました。さらに、外部開発パートナーとの緊密な協力により、ウェブ技術に基づくセンサーやソフトウェアの開発のための専門知識を拡充しました。

また、プロトタイプの試運転とシステムテストのために、同社では、Industry4.0準拠の測定室と、センサネットワークで結合された、スタイラスシステム組み立て用の接着ルームを備え、双方ともイントラネット経由でローカルコックピットに接続し、さらに外部クラウドデータストレージに接続されるようにしました。

測定監視システム「TEMPAR®(テンパー)」

このソリューションは、測定監視システム「TEMPAR®(テンパー)」として、製品化されました。

本システムは、測定室または生産現場の温度分析データを正確にマッピングするために、9つのセンサーで構成されています。部屋の中に分布しているセンサーは正確に25ミリケルビンまで温度を測定でき、それらは互いにネットワーク上で接続されています。それにより、ユーザがいなくとも室温分析データは自動的に記録/解析されます。

また、本システムはリアルタイムで異なる温度勾配を記録することができます。

一つは、1時間または1日あたりの一定の期間にわたる変動を示し、もう一つは、部屋に分布するセンサーの距離に応じて温度変化を示します。この両者の主要な指標は測定器の精度を決定するので、座標測定機製造者は、これを目標値として定めます。

例えば、Zeiss Prismo ultra(ツァイス プリスモ ウルトラ)超高精度座標測定機では、温度勾配が1K / d(ケルビン パー デイ)または0.5K / m(ケルビン パー メートル)必要です。 システムにより決定された値が範囲外になった場合、システムは信号ランプ、画面上の色分けされた数字、必要に応じて電子メールでオペレータまたは測定室管理者に警告します。

もちろん、温度に加えて、湿度や気圧、センサーを通る気流を記録すことができます

ソリューションによる改善

測定監視システム「TEMPAR®(テンパー)」により、次のような4つの改善がなされました。

ドキュメンテーションの簡素化
ボタンを押すだけで、すべての測定室の記録データを測定記録のログに添付することができるようになり、従来のデータロガーによる記録とExcel(エクセル)ベースの評価作業から解放されました。また、これにより品質保証において顧客の信頼度が高まりました。

測定偏差に対する迅速な判定と解決
ユーザは、目標値からの測定偏差が、測定室内の温度の影響によるものであるかどうかを、迅速に判断し、問題点を取り除くことが可能となりました。システムはユーザにリアルタイムで警告するだけでなく、測定されたデータを長期間にわたってドキュメント化でき、必要な期間にわたって統計的に評価することが可能だからです。たとえば、すでに本システムを使用している会社は、値が毎日12:00〜12:30の間の制限を超えていることに気付きました。

そのため、従業員の測定室への出入りが関係あると判断し、昼休みの測定室入室禁止を周知徹底しました。その結果、それ以来測定室内の温度は安定しました。

目標値順守による品質の信頼性

室内監視は、製造業者により目標値が順守されているという信頼性を生み出しました。つまり、ユーザは各測定装置から最大精度を得ることが可能となりました。また、システムは、すべての測定室のデータをまとめているので、製造現場のすべての場所で同じ空気条件を簡単に作成することが可能です。

生産コストの削減
本システムでは、生産条件の空間的および時間的変化がリアルタイムで表示されます。それにより、エラー原因を早期に検知し、エラーを回避し、生産コストを削減することができました。同社自体の製造工程は、自動車、医療技術、サプライヤーの各業界の顧客と同様、Industry 4.0基準に沿ってさらに改善することができました。

更なる効果/利点

較正されたスマート精密センサーは、固定して設置された装置用ケースから完全なプラグアンドプレイソリューションとして、もしくは、ZEISSのウェブショップで販売されているスタンドを備えたモバイルバージョンとして利用することが可能です。個々のセンサーを較正のために解体する作業は、ユーザにも簡単に行うことができます。交換較正サービスは、生産条件の監視を止めることなく、ほぼ連続的に監視することを可能とします。

さらに、変更された較正データは、インテリジェントローカルゲートウェイに自動的に転送され、処理されます。全データは、ゲートウェイで評価され、相互に比較され、設定変更可能なダッシュボードに、現場のウェブ対応ユーザーインターフェースによりリアルタイムに可視化できます。さらに、企業のセンサネットワークは世界中の自社工場に設置でき、そのデータは、コックピットデータベースに収集され、モバイル端末上で利用することも可能です。

今後の展望

現在、製造担当者は、リアルタイムに表示された情報に基づいて、偏差にどのように対応するかを決定しています。しかし、将来、TEMPAR®は、このような調整を無人化する方向を目指しています。例えば、測定値が特定の方向に展開されると、ロボットがシステムから指示を受け取り、それに応じて、適切な処理を実施します。また、収集されたリアルタイムデータに基づいて、空調システムや暖房システムを自動的に制御します。これは、Industry 4.0準拠の工場への重要な一歩です。

そのため、同社は、Industry 4.0と「ドイツ技術者協会」・「電気電子技術情報技術協会」から成る「測定・自動化技術連盟」の生産用測定技術の専門家グループ、および、研究グループに積極的に参加しています。これにより、情報の迅速かつ良好な交換、設計への積極的な参加、および研究結果を新製品に迅速に転換が可能となり、同社の次世代のビジョンの実現を推し進める原動力となっています。

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